歌舞伎座夜の部を観劇。先に感想を書いた中幕以外の狂言について綴る。ほぼほぼ昼の部と同じ位の入り。歌舞伎座本来の狂言立てで、これでお客が入るのはまだまだ令和の見物衆も捨てたものではない。新歌舞伎(と云っても明治期の作品なので、殆ど古典と云っていいが)・丸本・舞踊、これぞ歌舞伎の狂言立てである。ただ終演が九時位になるせいか、最後の舞踊では帰ってしまったお客も多い様で、空席が目立った。豪華な舞踊であったのに、勿体ない事だ。最後を踊りでハネるのは、実に結構な構成であると思うのだが。 幕開きは『松浦の太鼓』。初代の吉右衛門が得意とし、秀山十種にも選ばれている名狂言。亡き播磨屋の絶品とも云うべき松浦候が、…