月が替わってしまったが、十一月大歌舞伎昼の部の感想を綴りたい。まだ亀蔵の急逝が自分の中で嚥下も消化も出来ていない中、昼の部を千秋楽に観劇。入りは超満員とまでは行かなかったが、満席に近い入り。市蔵が必死の舞台を勤めており、その姿を観ただけで涙が出て来そうになる。十七世勘三郎が生前十八代目に「親の死に目に逢える様な役者はダメだ」と云っていたそうだが、本当に辛い稼業だと思う。市蔵の心中を慮ると居た堪れない気持ちになるが、志半ばで旅立った弟の分迄、元気に舞台を勤めて行って欲しいと願うばかりである。 幕開きは『御摂勧進帳』。歌舞伎十八番の『勧進帳』の人気が圧倒的なので上演される機会は少ないが、初演はこち…