明治座花形歌舞伎を観劇。中村屋兄弟は四年前にも明治座に出演予定であった。演目も配役も全て発表になり、筆者もチケットを押さえていたのだが、コロナの影響で何度かの初日延期を経て、あえなく中止となってしまった。勿論筆者も残念であったが、役者達の無念さは察するに余りある。七之助も事前インタビューで「芝居は不要不急と云われ、悔しかった」と述べていた。その後何とかコロナも沈静し中村屋兄弟、八年ぶりの満を持しての明治座登場となった。 まず観劇した夜の部。幕開きは『鎌倉三代記』から「絹川村閑居の場」。丸本の大作であるが、現在上演されるのは七段目に当たるこの場のみだ。配役は勘九郎の高綱、米吉の時姫、鶴松のおくる…