歌舞伎座夜の部を観劇。歌舞伎座では六年ぶりとなる大和屋による「阿古屋」が出るとあってか、開場前には地下から上がって来るエレベーター付近迄長蛇の列になる大盛況。菊之助・中村屋兄弟と今をときめく花形役者も揃っており、まぁこの入りも当然と云ったところであろうか。ロビーも見物衆で溢れ返っていた。 幕開きは皆のお目当て『壇浦兜軍記』から「阿古屋」。戦後歌舞伎界の女帝と称された亡き歌右衛門から直接手ほどきを受け、平成時代は大和屋の専売特許であった当り狂言。琴・三味線・胡弓を弾き分けなければならない故にか、上記二人以外には殆ど演じ手がなく、ようやく近年大和屋の薫陶を受けた児太郎と時蔵によって演じられ、若手に…