3. 可愛い、美しい、と来たら次は?って思いながら、セブンイレブンの前でタバコをふかす。 ヤベー、死に神がこっちに歩いてくる。全身黒づくめで、髪の毛の一部だけが赤い。こんな髪型のヤツは、当時はコイツぐらいしか見たことがなかった。「・・・」「はじめまして。」 ジローッと、下から上まで見られる。「なぁ、はじめまして。」「・・・はじめまして。」 黙って後ろを着いていく。俺はコイツが男なのか、女なのか、はっきりと確証が持てない。 日が暮れてオレンジ色になった空の下、気の触れた二人が何も話さずに歩いていた。工事現場の後ろにあるアパートがソイツの住処だった。 「これ、合鍵。これ、タバコ。これ、今日の食費。…
2章 1. のんちゃんと過ごし始めてから俺は、苦しみに気が付いた。それは、生きてる実感だった。喜怒哀楽の喜怒哀がどどどって、灰色の日々に入ってきた。でも、全然コイツと居るのはラクじゃない。結構タフだ。ちかと彼氏が俺の実家に来て、引っ越しを手伝ってくれた。「じゃあな、親父。生活費75000で頼むわ、ほんまに。」とうとう15000円で、タバコ3カートンと定期代で食費がゼロになっちまう状態から抜け出し、30000円で何とか飯を食えるようになり、そして遂に、生活保護費並みの金で遣り繰りすることになった!「林さんのお父さん、今までの人生で見た中で一番怖いわ。ちかは結構ヤバい人見てきたつもり、でも、あのヤ…