岩川ありさの養生する言葉を読み終わった。とても時間がかかった。神田橋條治、中井久夫、ハン・ガン、津村記久子、というエッセイの中に出てくる作家名が目に入った時、読みたいと思ったのだ。岩川ありさは「物語とトラウマ:クィアフェミニズム批評の可能性」を読んだことで知った。今回読んで、なんて世の中に対して優しくて真摯な気持ちを持っているんだろうと思った。トラウマを抱えつつ養生する言葉を見つけて生きていく。私は文学には全く詳しくないが、例えば本の中に出てくる中井久夫の言葉に何度救われたか分からない。「いじめの政治学」や「昭和を送る」が特に好きだ。癒しという言葉があまり好きではない。私は心が弱った時、あえて…