絶食中の人に末梢点滴を行うと少なくとも一日に必要なカロリーを入れることは困難です。それではいきなり高カロリー輸液を入れたらよいではないかという考えになるのですが、そう簡単ではありません。その理由として再栄養症候群 (refeeding syndrome)を起こしうるからということがあります。 再栄養症候群とは、極度の低栄養状態から、再栄養により栄養状態が急速に改善することによって起こります。 機序としては、まず炭水化物の摂取により、糖代謝の促進がおきます。 その際に大量のリン酸が必要となり、リン酸が細胞外から細胞内に移動し、低リン血症となります。 そのため全身のATPが不足し、赤血球2,3-D…