訓読 >>> 沖辺(おきへ)行き辺(へ)を行き今や妹(いも)がため我(わ)が漁(すなど)れる藻臥束鮒(もふしつかぶな) 要旨 >>> 沖に行ったり、岸辺に戻ったりして、今ようやくあなたのために捕まえた、藻の中の小さな鮒です。 鑑賞 >>> 題詞に「高安王(たかやすのおおきみ)が、包んだ鮒を娘子に贈った歌」とあります。高安王は、敏達天皇の孫である百済王の後裔とされ、後に大原真人姓を与えられ臣籍降下しました。和銅6年(713年)に従五位下。弟に風流侍従として知られる門部王・桜井王、娘に高田女王がいます。 「藻臥束鮒(もふしつかぶな)」は、藻の中に潜むこぶしの幅の長さほどの小さな鮒のこと。岸の深い所…