フリーライター。
1964年東京都出身。東京大学文学部社会学科卒業。
さまざまな自決方法を紹介した「完全自殺マニュアル」は、社会の生きづらさを告発しベストセラーとなった。
“自殺しないで今の世の中を生き抜くマニュアル”としての「人格改造マニュアル」も執筆する。
「檻のなかのダンス」「レイヴ力」では、身体で感じる快感や自然界とのつながりを強調。
その後は、生きづらさの原因としての経済を批判しながら自然農を実践中。
完全自殺マニュアル
ぼくたちの「完全自殺マニュアル」
無気力製造工場
人格改造マニュアル
檻のなかのダンス
レイヴ力―rave of life (単行本)
脱資本主義宣言―グローバル経済が蝕む暮らし
それほど遠くない昔、我々は効果的にシェアを行っていた。小津安二郎監督の1953年の映画『東京物語』のなかにこんなシーンがある。 田舎から出てきた老夫婦が、一人暮らしの娘のアパートの部屋にやってきた。そこで娘は隣の部屋の主婦から酒を借りに行く。一升瓶を借りて戻った後、さらに徳利とおちょこも借りに行くと、ついでにピーマンの煮物も貰って戻ってくるのだ。(鶴見済『0円で生きる』新潮社、2017) おはようございます。前回のブログで紹介した小川糸さんの『針と糸』はベルリンでの生活を舞台にしたエッセイ集で、そのなかにこんなシーンがあります。 大きな荷物を抱えた配達人が、小川さんの部屋にやってきた。その荷物…
人間関係を半分降りる ――気楽なつながりの作り方 作者:鶴見済 筑摩書房 Amazon 『人間関係を半分降りる-気楽なつながりの作り方-』鶴見済著を読む。 人は一人では生きられないといわれる。確かに、そう思う。でも、隣近所や友人、親兄弟、会社の上司・同僚との関わりは、煩わしいことがある。そんなときは、ロビンソン・クルーソー的な生き方に憧れ、南海の無人島で一人で暮らしていることをイメージする。そう考える自分自身へ、いつしかダメだししている。でも、なあ。 なんか生きづらさを覚えているあなた、生き方ベタなあなたへ著者はこれまでの人生で得た「人間関係の作り方」を述べている。『完全自殺マニュアル』で知ら…
檻のなかのダンス 作者:鶴見 済 太田出版 Amazon 当たり前を疑う、、と言っても 日々の生活にどっぷりつかっていると 一般的とか常識とか そんな社会やシステムに都合のよい 固定観念にがんじがらめにされ 何が当たり前なのか、疑うことも忘れてしまう。 この本を読んで、思った。 本って、やっぱりすごい。 固くなった自分の頭を ぐらぐらとゆすってくれるには やっぱり本が一番だと思った。 なぜなら、テレビや新聞の情報は、当たり障りのないものだし ネット情報が膨大とはいえ、そこから自分が掬い取れる情報は 自分好みのものになりがちで なかなか自分の頭に強烈なパンチをお見舞いしてはくれない。 本著は、1…
物書きを始めた90年代に出したすべての本の底流に、この感覚を織り込んだつもりだ。 例えば『完全自殺マニュアル』という本で言った、「いざという最悪の時には死ぬことだってできるのだと思えば、楽に生きていける」。それはこのあきらめの力を生かすひとつのやり方であり、自分にとっても心の支えだった。 もう人生も半分以上がすぎた今、「自分が一生をかけて得た一番大きなものは、この感覚なのかな」という気すらしている。(鶴見済『人間関係を半分降りる』筑摩書房、2022) おはようございます。先週の土曜日と日曜日に場づくりのプロが主催するサードプレイス的なラボに足を運んできました。サードプレイスというのは「家庭でも…
過去所持していた本の思い出を書くのは「読書レビュー」として如何なものかと思ったけれども、未だに心に刻まれているので簡単に書いてみる。苦手な方はブラウザバックを推奨する。 確か13~4年前だっただろうか、地元のSCの本屋で鶴見済氏の「完全自殺マニュアル」を購入した。購入した時は店員さんが厳重に梱包してくれたのが記憶に残っているな 。 完全自殺マニュアルは1993年に鶴見済氏が書いてベストセラーとなった。それと同時に内容が過激であるとされて問題作としても知られた作品だ。 内容としては生き辛さからの脱却、自殺方法や事例などが羅列されている。 出版されたのが1993年で、当時と比べると時代が変化してい…
「人生で最も影響を受けた本は何か。」 そう聞かれれば僕は何の迷いもなくこの本の名前をあげる。もっとも、就活で同じ質問を受けた場合には絶対他の本を選ぶが。「青少年のための覚醒剤入門」。こんなチャプターが含まれる本をあげたら問答無用で落とされるのはわかりきっているからだ。 僕が初めてこの本を手にしたのは大学一回生、18歳の時だ。高校時代、友達がほとんどおらず、本ばかり読んでいた僕は、大学に入っても一人も友達ができなかった。暇つぶしのために毎日図書館に通って本を貪るように読んでいた僕は、1980~1990年代のサブカルチャーに興味を持つようになった。 そんな中で、90年代サブカルを代表する本「完全自…
この記事には希死念慮・自死についてのトピックを含みます。 自己紹介 -斉藤鳩です。 地方に住んでいて、両親は健在です。 友人と言える人もいます。 絵を描くのが趣味です。 文章も読むのは好きですが、あまり書くのが得意という訳ではありません。 AT限定の免許と形ばかりの学芸員資格を持っています。 双極性障害とADHDの診断が降りています。 ぼんやりとクィアです。 鬱病 -自分は双極性感情障害を患っている。と言っても、診断書と手帳に書かれている病名に過ぎなく、薬を処方するためのなんとなくのあたり付けでしかないようにも思う。 困りごとと言ったらもっとこう細分化されていて、カバーされていないようなものだ…
バズる「死にたい」: ネットに溢れる自殺願望の考察 (小学館新書 420)作者:古田 雄介小学館Amazon Kindle版もあります。バズる「死にたい」 ~ネットに溢れる自殺願望の考察~(小学館新書)作者:古田雄介小学館Amazon IT社会の“タブー”に踏み込む!自殺願望の書き込みは、公序良俗に反するのか――ある遺族から寄せられたメールをきっかけに、著者は“死への記述”が綴られた143のサイトを調査する。ネット上に蓄積された「苦悩のデジタル遺品」は、自殺の連鎖を招く単に“有害”なものなのか、それとも全く別の新しい価値があるのか。 膨大な記述を紐解き、投稿者や遺族など当事者たちの心情を追いな…
www.sponichi.co.jp smart-flash.jp www.yomiuri.co.jp 角田大河騎手、川口ゆりさん、フワちゃん、相変わらずSNSは不穏だ。 角田騎手は、残念な結末になってしまったが、僕自身も角田騎手を批判するポストをしていたので、なんだかモヤモヤしてはいる。日経平均株価は2000円以上も下がり、騎手が競馬場の芝コースを車で爆走。コロナ激増で疲労困憊している状況でこのカオスな世界線に絶望している。暑さで僕の認知機能が低下しているのか、これは悪い夢なのか?— FUJIPON (@fujipon2) 2024年8月2日 角田大河騎手に関しては、なんであんなことをしたの…
7月1日、『完全自殺マニュアル』という書籍を特集した動画を自身のチャンネルに公開した。 自殺のススメ!?有害図書指定までされた『完全自殺マニュアル』の意外すぎる真意とは 鶴見済というライターによって1993年に発表された本書には、自殺に相応しい場所や方法、利用できる道具や苦痛の度合いなど、これまでタブー視されて来たが故に言及に具体性を欠きがちであった「自殺にまつわる諸事データ」が網羅的かつ細かに記されており、当然ながら当時の社会に多大な物議を醸した。 どんな人でも閲覧できるYouTubeというプラットフォームの特質上、動画内では前置きと称して本書を取り上げる理由を小煩く並べてしまったが、そこで…
この世からきれいに消えたい。: 美しき少年の理由なき自殺 (朝日文庫 み 16-5)朝日新聞出版Amazonmatsudama*1「1990年代発刊の本を読む」https://matsudama.hatenablog.com/entry/2024/07/21/163453 先ず、藤井誠二氏と宮台真司氏の『美しき少年の理由なき自殺』が取り上げられている。 社会学者である宮台真司の主張や思考に取り憑かれ自殺したS。自身の主張が彼を自殺へ導いたと悔やむ宮台とライターの藤井が、Sの死後、周辺の関係者に話を聞きながら、彼がなぜ自殺に至ったのか分析しようとした一冊。この本の印象はけっこう強くて、この本につ…
米国大統領を目指すトランプ氏が銃撃されるという衝撃的な事件がありましたが、予定通り共和党全国大会が開幕され、トランプ氏が大統領選の候補に正式指名されました。 トランプ氏を正式指名 副大統領候補にバンス氏―米共和党大会開幕:時事ドットコム 「米国を団結させる機会が与えられた」、トランプ氏は暗殺未遂事件を念頭にそう語り、暴力に屈しない姿勢を最終日の指名受諾演説で示すそうです。 バイデン政権への対抗を意識して用意された演説内容を大幅に書き換えるといいます。それぞれのこれまでの主張が逆転するようになるのでしょうか。 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).pu…
前々から読んでみたかった一冊を読んだ。 完全自殺マニュアル 作者:鶴見 済 太田出版 Amazon いろんな自殺の方法が事例とともに紹介されている。 この本は、タイトルからして自殺したい方向けの本のように思えるが、著者の本音はそうではない。 僕の知人に、それを飲んだら平気でビルから飛び降りちゃうほど頭のなかがメチャクチャになっちゃう“エンジェル・ダスト”っていう強烈なドラッグを、金属の小さなカプセルに入れてネックレスにして肌身離さず持ち歩いてる人がいる。「イザとなったらこれを飲んで死んじゃえばいいんだから」って言って、定職になんか就かないでブラブラ気楽に暮らしている。 この本がその金属のカプセ…
最近、マーク・ボイルの「僕はお金を使わずに生きることにした」、同じくマーク・ボイルの「僕はテクノロジーを使わずに生きることにした」、鶴見済さんの「脱資本主義宣言」などの、脱資本主義的な本を読んでいました。 それで思ったのは、お金への依存度を下げようということでした。 お金への依存度を下げれば、お金があまりなくても、生きていくことは出来ます。 でも、お金への依存度が高い社会では、お金がないことは致命的です。 で、特に日本の大都市圏、首都圏は、お金への依存度が極めて高いと思います。 僕も首都圏の都市部に住んでいますが、何をするにもお金がかかるなと思います。ちょっと外で休もうと思っても、カフェに入る…
鶴見済さんの「脱資本主義宣言」を読んだ 面白かった。普段生活していて、感じる「この社会の仕組みってもう無理だよね」という感情がどこから来るのか少し分かった気がした。 今の資本主義は、もう持続可能じゃないよね、と言うことは僕も前から感じていた事だけど、想像以上に環境や「南」の国の人々を犠牲にして、「北(先進国)」の国々の生活が成り立っているのがよく分かった。 少しずつ、そういう構造から、自分の生活を脱却させていきたいと思った。その方が、「楽」で「楽しい」生活になると思うし、そういう方向に行かないといずれ大きな破綻に陥ると思う。 こんな生活を鶴見さんは送っているそうだ。 「経済の仕組みに疑問を持ち…
完全自殺マニュアルをかいた人の本。あの本は良かった。とてもいい本だった。好きな本です。 どんな本にも言える事だとは思うけれど、この本の内容をどう捉えるかは別として知る事は必要と思う。 大量に消費されている、服について。大部分は不要だ。ファッションのための消費だと言及されている。わたしは、それをやりたいのであれば、それもいいと私は思う。 けれど否定してもいい。あまり流行りの影響のない綺麗な服を着る。そのための買い替えでいいのではないかと思う。わたしはそうしたい。無駄な出費も抑えられるし、車であれば気に入った車を長く乗り続ける事はかっこいい。それが流行りでなくても。 汚くなって、修復してどうしよう…
2024年5月25日(土)、不適応者の居場所に参加してきました。 前に参加したのが2023年の11月なので、半年ぶりの参加になります。 今回の会場は、代々木公園でした。 5月なので、気温は暑くもなく、寒くもなく、ちょうどいい感じでした。 代々木公園に着くと、土曜日ということもあり、人が沢山いました。 レジャーシートを敷いて話しているグループも沢山あったので、どこで不適応者の居場所をやっているのか、なかなか見つけられませんでした。 ただ、鶴見済さんのTwitter(X)を見ながら根気よく探して、なんとか辿り着くことができました。 場所がわかりにくいので、今後、参加される方は、事前に鶴見さんのTw…
あのとき売った本、売れた本作者:小出和代光文社Amazon Kindle版もあります。あのとき売った本、売れた本作者:小出 和代光文社Amazon 本を売ることがこんなにも劇的でスリリングだなんて、知らなかった! 米澤穂信手から手へ。小出さんに売ってもらった本は、いまも最高に幸せな旅を続けてると思う。 桜木紫乃日本最大級の書店、紀伊國屋書店新宿本店。 25年間文芸書売り場に立ち続けた名物書店員の、ベストセラー回顧録。 書いた人と売った人、そして読んだあなたの物語。 僕は長年書店に通っているのですが、大きな書店で平積みにされ、POPでおすすめのコメントが書かれている本を見かけるたびに、思うのです…
明日、またドクターに会いに行ってぼくが抱える問題について彼と話し合わなければならない。そしてクスリをもらうことも忘れないようにしないと……大学生の頃、すでにぼくは人生に絶望してしんどい思いをしていた。その頃に読んだ鶴見済『人格改造マニュアル』や『ロッキング・オン』の影響で東京のクリニックの門を叩き、そしてこの毎月恒例のドクターとの面会をはじめたのだった。最初は愚かなことに、クスリをもらって脳を変革させてしまえばすべてが解決するんだと信じ込んでいた。キツいクスリがガツンと問題を解決する、と。でもそんなことあるわけもなく、生きづらい思いはなかなか消えなかった。40になりいまのジョブコーチやその他の…
【出演】 宮台真司(社会学者) 外山恒一(政治活動家、文筆家) 【司会】 ジョー横溝 ・吉本隆明 構造改革派(≒改良主義)/廣松渉 マルクス主義派 共産主義者同盟[ブント](暴力革命路線) ・グラムシ、吉本、松田政男、宮台 表現を通じて世の中を変える ・反スタ=反全体主義 なのに自家中毒的に権威化してしまう ・73~76年 しらけ世代(ノンポリ世代、新人類) → オタク系 と バブルナンパ系 ・86年 登校拒否、ひきこもり、摂食障害、バックパッカー = つまらなさへの抵抗運動 ・管理社会化、法化(リーガナイゼーション) 他分野を串刺しにするために「つまらなさ」という概念 ・地域、自営業 ヤンキ…