京では月日のたつにしたがって 光源氏のない寂寥《せきりょう》を多く感じた。 陛下もそのお一人であった。 まして東宮は常に源氏を恋しく思召《おぼしめ》して、 人の見ぬ時には泣いておいでになるのを、 乳母《めのと》たちは哀れに拝見していた。 王命婦《おうみょうぶ》はその中でもことに 複雑な御同情をしているのである。 入道の宮は東宮の御地位に動揺を きたすようなことのないかが常に御不安であった。 源氏までも失脚してしまった今日では、 ただただ心細くのみ思っておいでになった。 少納言のホームページ 源氏物語&古典 syounagon-web ぜひご覧ください🪷 https://syounagon-we…