『飼育』大江健三郎自選短編大江健三郎岩波文庫2014年8月19日第1刷発行 2023年3月3日、ノーベル文学賞を受賞者である大江健三郎さんが、老衰のため亡くなった。大江さんの本は、若いころに読もうと思って手にしたものの、どうにも重くて、暗くて、、、読み進まず、おそらく読み通した本が一冊もない。新聞の記事で、大江さんの様々な逸話が紹介されるのを読み、やはり、なにか大江さんの作品を読んでみたくなった。 今回、読んでみたのは、『飼育』。1958年、大学在学中、当時最年少の23歳で芥川賞に選ばれた作品。私が生まれるよりも10年も前。そして、戦後20年にもならない頃の作品だ。 大江さんは、1935(昭和…