人類の食生活を語るとき、多くの場合、話は農耕の開始から始まる。しかし時間軸をもっと遡ると、まったく違う風景が見えてくる。 私たちの祖先は、長いあいだ木の実を食べる動物だった可能性が高い。それは縄文時代よりもはるか以前、霊長類の祖先の時代にまでさかのぼる。 森林に生きる小型哺乳類の多くは木の実を食べる。たとえば リス ネズミ といった齧歯類である。 これらの動物は、硬い殻を歯で削り取り、中の栄養を取り出す。ナッツは高脂質・高カロリーで、森林環境では非常に価値の高い食料だからだ。 この「殻の中に栄養が隠れている」という構造は、生態学ではしばしばエンベロープ食と呼ばれる。つまり食べ物が“包まれている…