夜中に目が覚めた。 50の誕生日に末っ子からもらったフランス産の白いスパークリングワインを開けた。名前は「ギヨ ガリーグ」カッコいい名前に気分も酔ってしまう。 今は夜中の湿気いっぱいの部屋が心地いい、昼間の湿気はあんなに不快なのに何故だろう。49の最後の日の曇天な夕方を何度も思い出す、もう明日には50だ。ただそれだけを繰り返し呪文を唱えて50の日の朝を迎えた。毎朝見るニュース番組のシマエナガの祝福がテレビ画面のほとんどを埋めて、50を祝ってくれた。いつものように朝の支度をしたけど、ソワソワしていつもより15分は早く出かけた。朝の日課は110円で買うブラックコーヒーを左手に駿河湾と右手に富士山の…