Ｑ．Ｅ．Ｄ．ｉｆｆ

Q.E.D.iff -証明終了-(27) (月刊少年マガジンKC)作者:加藤 元浩講談社Amazon 「ドールハウスの殺人事件」 割と真っ当なミステリを、ユニークなパッケージに収めた短編。 なので、全体としてなかなかの良作に仕上がっている作品かと思う。 ただ、フーダニットの興味は削がれてるので、そこは大きな弱点。 「臨時特別列車事件」 集団の思惑や行動が連鎖して、変な状況が作られるタイプの作品だけど、 この手のは大抵はユーモアで彩られるんだけど、これは違うタイプ。 シニカルな後味がピリッと残る短編。

Q.E.D.iff -証明終了-(26) (月刊少年マガジンKC)作者:加藤 元浩講談社Amazon 「黒い聖母像」 いつの間にか可奈のオフェンス要員以外のスペックがダンチに上がってしまってるなぁ。 いくら燈馬くんのサポートがあるといっても、米国最大の新聞社でインターンしたり、 ハーバード大学で奨学金貰えるほどまでって。そこまで読者は望んでないような（笑） ミステリとしては、奇妙な動機の問題で、雰囲気のある作品。 「モンティ・ホール問題」 お得意の数学ネタ。たしかにこの説明の方が確率２倍ってのも直感的に理解出来て、良いね。 事件との関係付けもいかにもミステリ的。逆にミスリードとして使ったりと工…

Q.E.D.iff -証明終了-(24) (月刊少年マガジンKC)作者:加藤 元浩講談社Amazon 「ナッシュ均衡と球技大会」 ナッシュ均衡というお得意の数学ネタ自体は興味深いんだけど、 曖昧な現実に応用するのはやっぱ無理があるよね。 ミステリの精度は高くないけど、集団に於いて個々人の思惑や行動が連鎖して、 変な状況が作り上げられる、このシリーズで時々見られる構造の面白味はあったな。 「７つの事実」 これはミステリとしての精度が非常に高い作品。 ７つのポイントを提示して、一つ一つの仮説に対して、 どの項目が当てはまらないかを示して否定していく。 真相自体が高度なわけではないけれど、本格度の高…

Q.E.D.iff -証明終了-(22) (月刊少年マガジンKC)作者:加藤 元浩講談社Amazon 「盗難、収賄そして殺人」 せっかく逆転のキャラを出してきたのに（ミエミエではあるけれど）、 こういう決着のさせ方だと、なんかブレブレですっきり出来なかった。 「他人の生活」 そうそう、キャラの逆転はこういう使い方でなくっちゃ。 その辺の細かいところは良かったけど、今巻はどちらも ミステリ的にはそんなに心惹かれる点は無かったかな。

Q.E.D.iff -証明終了-(23) (講談社コミックス月刊マガジン)作者:加藤 元浩講談社Amazon 「同化」 漫画だからこそ成立するというか、漫画じゃなきゃ成立しない、 ってところで、雰囲気は良いのが取り柄の作品。 犯人決め手の罠は悪くなかったけど。 「形式的真実」 民事事件と刑事事件とで、"真実"の捉え方が違うという豆知識。 そこからこの構図を成立させるという、プロット作りが非常に巧み。 お見事！と感心させられてしまう、このシリーズらしい作品。

Q.E.D.iff -証明終了-(20) (講談社コミックス月刊マガジン)作者:加藤 元浩講談社Amazon 「ファクト」 次の作品もそうなんだけど、本巻はミステリと人情物との バランスが取れた良作揃いで、読後感の良いお薦め巻だろう。 こちらはこのシリーズらしい目から鱗のトリック処理も良いし、 一つ一つの台詞が洒落てて、ラストシーンも秀逸。 「贋作画家」 これはなかなかの秀作。 ミステリと人情物としてのバランスも悪くない上に、 ミステリ漫画だからこそ成立し得る趣向にしびれた。 ミステリ漫画読みには一読の価値ある作品といえるのでは。

Q.E.D.iff -証明終了-(17) (講談社コミックス月刊マガジン)作者:加藤 元浩講談社Amazon 「ポプラ荘の殺人ゲーム」 おお、こういう手で来たか。たしかにこのシリーズであれば、もっと早く描かれてても不思議ではなかったな。 この中盤のどんでん返しに驚かされるが、勿論それだけでは終わらない。 この手の話であれば、という着想がきっちり効いていて、なるほど納得の作品。 「トロッコ問題」 あれれ。作者のトロッコ問題の捉え方が、自分とは全く違う。 公正さとか共同体だとかの問題なんかでは全然なく、あくまで個人の倫理観の問題。 そもそも冒頭の一人か五人かのどちらを選ぶか、という問題では全くない…