2 「綺麗よ、いのり。」 私の名前、いのり。母は韓国人。日本人の父と再婚する時、私は既にお腹の中にいた。 日本人の父には息子がいた。 5歳年上のオッパ。 私には血の繋がらない兄が出来た。 「…いのり、今日で最後にしよう?」 「…大丈夫、今日で辞めるよ。」 親友のヨナ。女性になりたいと望むヨナ。もう充分女性なのに、どうしても転換の手術をしたいと言う。 私は親友を安心させるように、嘘を付いた。 ヨナからメモを受け取る。 いつものホテル。 私はいつものようにカラコンを入れ、ワンピースを来て、化粧をヨナにしてもらう。 そして、もう1人の自分を起動させる。 大概、ホテルの部屋には私が先にスタンバっている…