D・H・ロレンスの書いた原書も、伊藤整の手掛けた翻訳書も、いずれも性愛に関する表現をめぐって「芸術か猥褻か」で論争の的になったと聞くが、実際本作に目を通してみれば、それは純然たる文学以外の何物でもなく、猥褻さは微塵も感じられなかった 新婚早々に戦地で負傷し下半身不随となった夫クリフォードとの生活に倦んでいたコニーは領地で働く森番メラーズの持つ独特な魅力に惹かれ、いつしかふたりの仲は相思相愛へと発展していく。やがて、コニーのなかにメラーズの子供が欲しいという抑えようのない気持ちが強まり、ある計画を遂行する 拝金主義社会、工業化社会、階級社会に対する痛烈な批判を含むこの小説の主題は生の謳歌であり、…