1997年初春、アメリカのR&B界に一陣の新風が吹き抜けました。その名はErykah Badu。10代後半からソウルフルな歌声を磨き、アンダーグラウンドで鍛えた彼女が、満を辞して放ったデビューアルバム『Baduizm』は、リリースからわずか数か月でダブル・プラチナを達成し、グラミーではR&Bアルバム賞を受賞するという快挙を成し遂げました 。 アルバムは「ネオ・ソウル」という新たな潮流の旗手として、D'AngeloやMaxwellらと並び、90年代後半の音楽シーンに安定と革新をもたらしました。ヴィニールのクラックル感を継承しつつも、ヒップホップのビート感とジャズの即興性を融合した音世界は、従来の…