黒猫センターの建屋は、夜になると息をひそめるように静まる。昼間の喧騒が嘘のように消え、黒い壁面は湿度だけを吸い込み、ゆっくり沈んでいくようだった。 お局は、ロボと並んで裏口の扉をくぐった。扉が閉まると外の空気が切り離され、センター特有の黒い匂いが、ひやりと迎い入れる。 カツ、カツ、カツ、カツ。 「お前たち、もうすぐ元巣に戻れるからね。」ロボが虫袋を胸にやさしく抱きしめながら言った。 「やっと、虫騒動の終わりが見えてきたね。」お局は淡々と返すが、その声には疲れがわずかに滲んでいた。 ゆっくりと時計を見上げ、間もなく深夜になるのを確認する。 カツ、カツ、カツ、カツ。 静まった事務所を、大時計の音だ…