「大きな瞳が虚無を映し出す」とよく言われていた沢田さんに注目したのは、ただシラケていただけではなかったからです。シラケを超えていく情熱を、歌やお芝居を信じることで、シラケているものを一生懸命生きて越えていくというメッセージを、表現行為に向かう姿勢から自然と発していたからだと思います。シラケ世代の虚無感とひたむきさは一見相容れないように見えますが、それがひとりの人間のなかに共存しているところが沢田さんの特徴でした。 その沢田さんが参加したPYGというバンドの曲に「花・太陽・雨」というものがあります。…リーダーの井上堯之さんが「これはアルベール・カミュの『異邦人』をモチーフ作ったんだ」というコメン…