前編 「侵入者の正義」 ■本当の夜」を歩く男 この街には、触れてはならない夜がある。 ネオンが届かず、制度も理性も役に立たない場所。 ただ腐った秩序と、黙殺された真実だけが、静かに呼吸している。 そして、その夜を渡る者には、名前すら与えられない。 だが、ヤツには名があった。──スペルマン。 都市伝説でもなく、ニュースにも載らない。 だが確かに、そこにいた。 仮面をつけ、誰も知らない夜の法を執行する。 「本当の夜」を歩く男。 彼が通った後には、“変化”だけが残る。 その存在を知る者は口を閉ざす。 ただひとつ、ささやかれる噂がある── 「ヤツの背後には、WACと深い因縁があるのではないか」と。 ■…