篠田正浩「自作を語る」

 城西国際大学メディア学部では、客員教授篠田正浩監督のアーカイヴを作ろうと篠田正浩監督の「自作を語る」という授業を行っています。

昨年は「はなれ瞽女おりん」、「写楽」、「スパイ・ゾルゲ」を取り上げ、武満徹の映画音楽、映画と芸能、映画と政治のテーマで語っていただきました。

 今年は「札幌オリンピック」、「無頼漢」、「舞姫」について、映画とスポーツ、脚本家寺山修司、東と西のテーマで語っていただきます。

 考えて見れば、これほど贅沢な授業もないでしょう。さまざまなエピソードがあらたに日本映画史に付け加えるべく、明らかにされています。

 先週は、レニ・リーフェンシュタールの「民族の祭典」を見ながら、民族とナショナリズム、この映画のやらせの部分などの講義がありました。

 また市川崑監督の「東京オリンピック」は、望遠レンズで撮ったオリンピック映画で、「札幌オリンピック」は、音で撮ったオリンピック映画という話も印象的でした。

 篠田映画の魅力は、スタッフの豪華さも特筆すべきです。

 学生たちは文化庁「映像スタッフ育成事業」のインターンシップで、映画撮影の現場も勉強しているので、実際の映画現場で、スタッフがどのように映画作りを行うのか、とても関心を持っています。

 先週は「札幌オリンピック」で撮影を担当した鈴木達夫カメラマンも見えました。鈴木達夫カメラマンといえば、篠田作品のみならず、黒木和雄「とべない沈黙」から「父と暮らせば」まで、戦後のアート系の実験精神を映像で支えた特筆すべきカメラマンです。機会があれば、いろいろなお話を伺おうと思っています。

 
 この授業は、今後もさまざまなスタッフも参加してもらい、映画作りの実際をレクチャーしてもらおうと思っています。