おのしゅうのブログ

旧タイトル 注釈の多いオノマトペ

はなれて見つめるぼくの街【前編】

神奈川県の藤沢市という街に住んでいる。

10代の頃には何とも思っていなかったが、このところ藤沢が好きになった。
藤沢が日本でいちばん優れた都市であると思ってしまっている。


最近では、わたしは藤沢市になりたい、むしろわたしが藤沢市でありたいとすら思うようになってきた。
藤沢市民であることがアイデンティティになっているのだ。


これはつまり自己と同一視しているものを偏愛しているということになる。
言い換えれば自分のことが好きということである。
なんという醜く歪んだ自己愛であろうか。
自らの所属する組織を内部から客観的に冷静な目で見るのは難しい。
このねじくれた愛はこのままでは積もって腐る。
そこでわたしは藤沢市を少し離れたところから眺めてみることにした。


藤沢市は、西側を「茅ヶ崎市」「寒川町」
北側に「海老名市」「綾瀬市」「大和市」、東側には「横浜市」「鎌倉市」と接している。
そして南側が海である。
藤沢市を囲むいろいろな市町、方角から少し離れて藤沢を眺めてみることにした。
藤沢を客観視をしてみようという試みである。


茅ヶ崎市から】 〔西から〕

茅ヶ崎市は人口規模こそ藤沢市の半分くらいであるが、サザンオールスターズ加山雄三でそこそこ有名な街である。
それがちょっとうらやましい。
茅ヶ崎から藤沢

○藤沢から茅ヶ崎

茅ヶ崎から見た藤沢も、藤沢から見た茅ヶ崎も静かな住宅地である。
この市境の近くにわたしのよく行くインドカレーの店があるのだが、

アバンティランチ \1,080-
これは藤沢市側である。


[見えてきたこと]
・藤沢はおいしいインドカレー屋がある。


【寒川町から】〔西から〕

寒川は藤沢に接する市町の中で唯一の「町」である。
相模国の一宮である寒川大社があるのもこの町である。
○寒川から藤沢

○藤沢から寒川

どちら側もザ・郊外というような風景であった。
このあたりは藤沢のチベットなどと言う人もいるような地区である。


[見えてきたこと]
藤沢はチベットを内包しているらしい。


【海老名市から】〔北西から〕

海老名市が藤沢市と接していることをこれまで知らなかった。
海老名も藤沢も小田急線の駅があることが共通点なのだが藤沢は小田急江の島線、海老名は小田急小田原線なのである。
文化圏がちょっと違うという認識であった。
○海老名から藤沢

○藤沢から海老名

藤沢側も海老名側もどちらも非常にのどかな風景が広がっている。

川の向こうにちらりと見えるのが新幹線である。
藤沢市には東海道新幹線が通っているのだ。線路が通っているだけで駅はないが。
新幹線の駅などはなくとも藤沢には小田急線が通っている。


[見えてきたこと]
・藤沢は海老名と(小田急線でも)つながっている。


綾瀬市から】〔北から〕

渋滞の名所として有名な「綾瀬バス停」の綾瀬市である。
○綾瀬から藤沢

○藤沢から綾瀬

近くで何かを燃やしているようで非常に煙かった。
ちなみに煙が上がっているのはどうやら綾瀬市側であった。
ところで、綾瀬市は鉄道の駅がない。(線路だけ新幹線が通っているが)
それに対して藤沢市には、「小田急線」「相鉄線」「横浜市営地下鉄」「江の島電鉄」「湘南モノレール」「東海道本線」が走っている。


[見えてきたこと]
・藤沢は(小田急などで)世界とつながっている。


大和市から】〔北から〕

渋滞の名所として有名な「大和トンネル」の大和市である。
○大和から藤沢

○藤沢から大和

大和市側に焼肉屋があってとてもいいにおいがした。
藤沢側は無臭であった。


[見えてきたこと]
・藤沢は(海の近くだけ)潮の香りがする。


横浜市から】〔東から〕

世界に開かれた都市、横浜は藤沢のとなりにある。
藤沢をよく知らない人に「横浜のとなりです」という説明をしたりする。
藤沢が大好きなわたしはそれが少しおもしろくない。
○横浜から藤沢

○藤沢から横浜

黄金色に輝く水田。

稲穂が風にそよいでいてどちら側も美しい風景であった。


[見えてきたこと]
・藤沢方面にも、横浜は開いている。


鎌倉市から】〔東から〕

世界遺産の登録を目指す古都鎌倉も藤沢のとなりにある。
藤沢をよく知らない人に「鎌倉のとなりです」という説明をしたりする。
藤沢が大好きなわたしはやはりそれが少しおもしろくない。
○鎌倉から藤沢

○藤沢から鎌倉

藤沢側に見えるのが江の島である。その存在感はやはりすごい。
日本の象徴が桜と富士なら、藤沢の象徴はカワセミと江の島なのだ。
「へー江の島って藤沢市にあるんだ、鎌倉だと思ってた」
などと言う学のない人がたまにいるが、とても不愉快である。
しかし、この勘違いの裏には鎌倉市の策謀があるのではないか、とわたしは思っている。
まず、鎌倉側から江の島を写した旅行ガイドなどがよく見られる。

  ※鎌倉高校前駅より江の島を望む図
また、観光案内やガイドなどに「鎌倉・江の島」という文言が使われているものがある。
「江の島・鎌倉七福神」めぐりなどというキャンペーンまである。

この書き方では、『鎌倉(及び)江の島』なのか『鎌倉(の)江の島』なのか分からないではないか。
もちろん前者が正なのだが、後者だと勘違いする人が出てきても不思議ではない。
このような鎌倉市の姿勢をここで強く非難しておきたいと思う。

ところで、このあたりは鎌倉市側と藤沢市側ではかなりはっきりした違いがある。
藤沢側には、「休憩〜」「宿泊〜」などという料金表示の宿泊施設が林立しているが
鎌倉側にはそれが一切ない。条例で規制されているようだ。
藤沢市はおおらかである。
どちらにせよ、わたしはそれらを利用したことがないしさしあたって使う機会もないのであまり関係ないが。


[見えてきたこと]
・藤沢は寛容である。
・江の島の存在感はすごい




ひとまず藤沢市を、「西」「北」「東」から見ることができた。


残された方角が一つある。
「南」つまり海である。


後編に続く