常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

slip on a shirt, slop on sunscreen, and slap on a hat

Sugiuchiくんのslip onに関連してひとつ。この表現、オーストラリアでは皮膚ガン予防のための日焼け止めキャンペーンのフレーズ;
"slip on a shirt, slop on sunscreen, and slap on a hat"
としておなじみです。slip onは「シャツを着て」、slop on sunscreen「日焼け止めクリームを塗って」、そして、slap on a hat「帽子をかぶりなさい」という意味です。
なお、最近、これにseek(「木陰をもとめて」)とslide(「すべりこめ」)がくっついていました、と豪州の姉妹校ウーロンゴン大学から帰国した学生が報告してくれました。(UG)
            
Australians suffer the highest rates of skin cancer in the world. Each year, around 1,200 Australians die from what is an almost totally preventable disease. Everyone can develop skin cancer; however, some people may be at higher risk than others, due to a range of factors.

Australia exposed to more UV
Ultraviolet (UV) radiation levels in Australia are higher than in Europe, even during summer. Being located close to the ozone hole over the Antarctic means much higher, more severe levels of UV radiation get through to ground level.

During summer, the earth's orbit brings Australia closer to the sun than Europe during its summer, resulting in an additional seven per cent solar UV intensity. This, coupled with our clearer atmospheric conditions, means Australians are exposed to up to 15 per cent more UV than Europeans.

First launched by a cartoon seagull singing ‘Slip! Slop! Slap!’ on TV screens in 1980,

http://www.theozonehole.com/australianskincancer.htm

立教新座中学・高等学校 渡辺憲司先生のメッセージ

昨年、twitterで話題となり、週刊ポストがとりあげていた立教新座中・高校長の渡辺憲司先生のメッセージ。昨夜の「ニュース9」で大越キャスターが息子さんたちのために印刷して、壁に貼っていると語っていました。言葉が持つ力が具現化されています。(UG)

卒業式を中止した立教新座高校3年生諸君へ。(校長メッセージ)

卒業式を中止した立教新座高校3年生諸君へ。
 諸君らの研鑽の結果が、卒業の時を迎えた。その努力に、本校教職員を代表して心より祝意を述べる。
 また、今日までの諸君らを支えてくれた多くの人々に、生徒諸君とともに感謝を申し上げる。

 とりわけ、強く、大きく、本校の教育を支えてくれた保護者の皆さんに、祝意を申し上げるとともに、心からの御礼を申し上げたい。

 未来に向かう晴れやかなこの時に、諸君に向かって小さなメッセージを残しておきたい。

 このメッセージに、2週間前、「時に海を見よ」題し、配布予定の学校便りにも掲載した。その時私の脳裏に浮かんだ海は、真っ青な大海原であった。しかし、今、私の目に浮かぶのは、津波になって荒れ狂い、濁流と化し、数多の人命を奪い、憎んでも憎みきれない憎悪と嫌悪の海である。これから述べることは、あまりに甘く現実と離れた浪漫的まやかしに思えるかもしれない。私は躊躇した。しかし、私は今繰り広げられる悲惨な現実を前にして、どうしても以下のことを述べておきたいと思う。私はこのささやかなメッセージを続けることにした。

 諸君らのほとんどは、大学に進学する。大学で学ぶとは、又、大学の場にあって、諸君がその時を得るということはいかなることか。大学に行くことは、他の道を行くことといかなる相違があるのか。大学での青春とは、如何なることなのか。

 大学に行くことは学ぶためであるという。そうか。学ぶことは一生のことである。いかなる状況にあっても、学ぶことに終わりはない。一生涯辞書を引き続けろ。新たなる知識を常に学べ。知ることに終わりはなく、知識に不動なるものはない。

 大学だけが学ぶところではない。日本では、大学進学率は極めて高い水準にあるかもしれない。しかし、地球全体の視野で考えるならば、大学に行くものはまだ少数である。大学は、学ぶために行くと広言することの背後には、学ぶことに特権意識を持つ者の驕りがあるといってもいい。

 多くの友人を得るために、大学に行くと云う者がいる。そうか。友人を得るためなら、このまま社会人になることのほうが近道かもしれない。どの社会にあろうとも、よき友人はできる。大学で得る友人が、すぐれたものであるなどといった保証はどこにもない。そんな思い上がりは捨てるべきだ。

 楽しむために大学に行くという者がいる。エンジョイするために大学に行くと高言する者がいる。これほど鼻持ちならない言葉もない。ふざけるな。今この現実の前に真摯であれ。

 君らを待つ大学での時間とは、いかなる時間なのか。

 学ぶことでも、友人を得ることでも、楽しむためでもないとしたら、何のために大学に行くのか。

 誤解を恐れずに、あえて、象徴的に云おう。

 大学に行くとは、「海を見る自由」を得るためなのではないか。

 言葉を変えるならば、「立ち止まる自由」を得るためではないかと思う。現実を直視する自由だと言い換えてもいい。

 中学・高校時代。君らに時間を制御する自由はなかった。遅刻・欠席は学校という名の下で管理された。又、それは保護者の下で管理されていた。諸君は管理されていたのだ。

 大学を出て、就職したとしても、その構図は変わりない。無断欠席など、会社で許されるはずがない。高校時代も、又会社に勤めても時間を管理するのは、自分ではなく他者なのだ。それは、家庭を持っても変わらない。愛する人を持っても、それは変わらない。愛する人は、愛している人の時間を管理する。

 大学という青春の時間は、時間を自分が管理できる煌めきの時なのだ。

 池袋行きの電車に乗ったとしよう。諸君の脳裏に波の音が聞こえた時、君は途中下車して海に行けるのだ。高校時代、そんなことは許されていない。働いてもそんなことは出来ない。家庭を持ってもそんなことは出来ない。

 「今日ひとりで海を見てきたよ。」

 そんなことを私は妻や子供の前で言えない。大学での友人ならば、黙って頷いてくれるに違いない。

 悲惨な現実を前にしても云おう。波の音は、さざ波のような調べでないかもしれない。荒れ狂う鉛色の波の音かもしれない。

 時に、孤独を直視せよ。海原の前に一人立て。自分の夢が何であるか。海に向かって問え。青春とは、孤独を直視することなのだ。直視の自由を得ることなのだ。大学に行くということの豊潤さを、自由の時に変えるのだ。自己が管理する時間を、ダイナミックに手中におさめよ。流れに任せて、時間の空費にうつつを抜かすな。

 いかなる困難に出会おうとも、自己を直視すること以外に道はない。

 いかに悲しみの涙の淵に沈もうとも、それを直視することの他に我々にすべはない。

 海を見つめ。大海に出よ。嵐にたけり狂っていても海に出よ。

 真っ正直に生きよ。くそまじめな男になれ。一途な男になれ。貧しさを恐れるな。男たちよ。船出の時が来たのだ。思い出に沈殿するな。未来に向かえ。別れのカウントダウンが始まった。忘れようとしても忘れえぬであろう大震災の時のこの卒業の時を忘れるな。

 鎮魂の黒き喪章を胸に、今は真っ白の帆を上げる時なのだ。愛される存在から愛する存在に変われ。愛に受け身はない。

 教職員一同とともに、諸君等のために真理への船出に高らかに銅鑼を鳴らそう。

 「真理はあなたたちを自由にする」(Η ΑΛΗΘΕΙΑ ΕΛΕΥΘΕΡΩΣΕΙ ΥΜΑΣ ヘー アレーテイア エレウテローセイ ヒュマース)・ヨハネによる福音書8:32


 一言付言する。

 歴史上かってない惨状が今も日本列島の多くの地域に存在する。あまりに痛ましい状況である。祝意を避けるべきではないかという意見もあろう。だが私は、今この時だからこそ、諸君を未来に送り出したいとも思う。惨状を目の当たりにして、私は思う。自然とは何か。自然との共存とは何か。文明の進歩とは何か。原子力発電所の事故には、科学の進歩とは、何かを痛烈に思う。原子力発電所の危険が叫ばれたとき、私がいかなる行動をしたか、悔恨の思いも浮かぶ。救援隊も続々被災地に行っている。いち早く、中国・韓国の隣人がやってきた。アメリカ軍は三陸沖に空母を派遣し、ヘリポートの基地を提供し、ロシアは天然ガスの供給を提示した。窮状を抱えたニュージーランドからも支援が来た。世界の各国から多くの救援が来ている。地球人とはなにか。地球上に共に生きるということは何か。そのことを考える。

 泥の海から、救い出された赤子を抱き、立ち尽くす母の姿があった。行方不明の母を呼び、泣き叫ぶ少女の姿がテレビに映る。家族のために生きようとしたと語る父の姿もテレビにあった。今この時こそ親子の絆とは何か。命とは何かを直視して問うべきなのだ。

 今ここで高校を卒業できることの重みを深く共に考えよう。そして、被災地にあって、命そのものに対峙して、生きることに懸命の力を振り絞る友人たちのために、声を上げよう。共に共にいまここに私たちがいることを。

 被災された多くの方々に心からの哀悼の意を表するととともに、この悲しみを胸に我々は新たなる旅立ちを誓っていきたい。

 巣立ちゆく立教の若き健児よ。日本復興の先兵となれ。

 本校校舎玄関前に、震災にあった人々へのための義捐金の箱を設けた。(3月31日10時からに予定されているチャペルでの卒業礼拝でも献金をお願いする)

 被災者の人々への援助をお願いしたい。もとより、ささやかな一助足らんとするものであるが、悲しみを希望に変える今日という日を忘れぬためである。卒業生一同として、被災地に送らせていただきたい。

 梅花春雨に涙す2011年弥生15日。


立教新座中学・高等学校

校長 渡辺憲司

http://niiza.rikkyo.ac.jp/news/2011/03/8549/

house v.

もう古いニュースかもしれませんが、アフガニスタンのカブールでは日本時間の15日、政府の機関や各国の大使館が集まる区域などにロケット弾が撃ち込まれました。さらに16日にも再び大使館の敷地内にロケット弾1発が撃ち込まれました。
「政府の機関や各国の大使館が集まる地域」にはいくつかの訳が考えられますが、CNNは「〜を泊める、収容する」の意味を持つhouseの動詞形を使って処理していました。確認程度の知識でしょうが、一応アップしておきます。(UG)

Kabul, Afghanistan (CNN) -- A series of explosions rocked central Kabul early Monday, the day after Afghan security forces said they repulsed a wave of insurgent attacks in the capital and three other provinces.
The explosions persisted for some time, and followed periodic gunfire that lasted well into Sunday night in the Kabul district that houses government offices and allied embassies. There was no immediate explanation, but Afghan authorities had said late Sunday that they were trying to dislodge insurgents holed up in an empty building near the headquarters of NATO's International Security Assistance Force.

http://edition.cnn.com/2012/04/15/world/asia/afghanistan-violence/index.html

辞書の話、再び、三度

今日のNHK朝ドラ「梅ちゃん先生」に辞書が映っていました。
       
装丁から察すると三省堂『コンサイス英和』と思われますが、画像がはっきりとしないので何とも言えません。
ドラマの時代背景(昭和20年秋)を考えると、この「小道具」は戦前のものでしょうか。でも表紙に「New」が見えないですね。戦前のものにも、この写真のようにしっかり「New」は刻まれていますからね。
       
          三省堂編輯所編纂の昭和9年改定80版のもの。
ともあれ、さすがNHKの小道具さん、うまい具合にわからなくしておられます。

ちなみに戦後初の『最新コンサイス』がお目見えしたのは昭和26年でした。
       
          これは昭和26年9月1日発行 改定一版です。
       
          佐々木達(編)。発音表記はGerhard博士です。
それにしても、ドラマ中のこの辞書はあまり使われていないように見えます。もうちょっと引き込まれた感じの方がよかったと思いますが、それはないものねだりでしょう。(UG)

       
       
http://d.hatena.ne.jp/A30/20100408/1270688062
http://d.hatena.ne.jp/A30/20100511/1273567957
http://d.hatena.ne.jp/A30/20100530/1275207561

neck and neck

ブログに初挑戦のMinnesotaです。UG先生からブログで演練するように許可をいただきました。初回はDaily Yomiuri(04/17/2012)の5面から。フランスの大統領選挙で熱い戦いが繰り広げられているそうです。

Neck-and-neck in the polls just one week before the election, France's leading presidential candidates rallied tens of thousands to separate events Sunday to outline two very different visions of the future.

ここでのneck-and-neckは二人の候補者が互角に競っていることを表しています。馬の首(neck)から来ている表現であり、競馬場での情景を思い浮かべることができます。日本語で言う「鼻の差」並みの勝負であることがよくわかりますね。(Minnesota)

bite ~ In the bum

同じく許可をいただき初挑戦します。The Daily Yomiuri (04/17/2012)の18面から英語表現を拾います。

イングランドプレミアリーグで首位を走っているマンチェスター・Uがアストンビラに4−0で快勝しました。
その後のマンチェスター・Uの監督、ファーガソン監督のコメントです。

"The name of the game now is for us to enjoy ourselves and play with the expression we did today," said Ferguson. "You can never be too confident, my experience tells me that there's always something that's going to bite you in the bum. But hopefully we'll avoid that."

ガチガチの直訳では、「私の経験は私にあなたのお尻を噛もうとしているものがいつもあるという事を教える」ですが、ここでのyouは一般的な人を指すyouだと考えられます。bumは「[英略式で]尻、けつ(buttocks)」という意味で、文脈からbite 〜in the bumで「〜に追いつく(=〜のお尻を噛む)」と解釈できます。
よって「経験上、私たちに追いつくものはいつもいるのだ」→「経験上、油断していると寝首をかかれるものだ」となるのではないでしょうか。名門チームの監督を20年以上もやっている人の言葉は深みがありますね。(EnDough)

buttress

1966年に静岡県清水市で起きた「袴田事件」の第2次再審請求審で、袴田巌死刑囚(76)が犯行時に着ていたとされた衣類の信用性を巡ってDNA鑑定が行われたました。その結果、鑑定人が「袴田死刑囚に完全に一致するDNAは認められなかった」としていたことを弁護団が明らかになりました。この鑑定結果が再審請求審に影響を与えることになります。
buttressは「支える、頼りにする」という意味で、元々は教会で使用された「扶壁」(buttressed retaining wall)、つまり「控え壁、(建築、山岳用語で)バットレス」という名詞に由来します。そこから動詞で、「(人・計画などを〉支持する、(…で)強化する」という意味で用いられるようになりました。(UG)

Hakamada appeal bid buttressed by DNA test
Kyodo
SHIZUOKA — DNA analysis of a blood-stained shirt believed to have been worn by the killer of a family of four in 1966 has not found any genetic material from the man convicted of the crime, his lawyers said Monday.

The blood on the shirt was believed to have come from Iwao Hakamada, 76, after he allegedly sustained injuries to his right shoulder at the time of the crime.

But the results of the latest DNA test, commissioned by prosecutors, undermines the evidence linking him to the murders and will strengthen the retrial argument that he was wrongfully accused.

Hakamada, a former professional boxer, was sentenced to death in 1968 by the Shizuoka District Court for the slayings of an executive of a miso maker he was employed by, the executive's wife and their two children, in Shizuoka Prefecture in a trial that became known as the "Hakamada Case."

http://www.japantimes.co.jp/text/nn20120417a7.html

yob

yobは英国の俗語で「不良少年、チンピラ、与太者(今の大学生には新語かな)」という意味で、要するにhoolinganと近い言葉です。その由来ですが、なんとboyを反対にしたものです。どこやらの国の芸人が「ヒーコー」「ワイハ」などというのと同じです。(UG)

A group of 100 chanting yobs went on a rampage at a McDonalds restaurant abusing terrified staff and stealing food.

Some of the huge mob also jumped over the counter at the fast food outlet in Wigan town centre while others hurled rubbish and food.

The incident happened in Standishgate at 10.30pm last Tuesday and has come to light after mobile phone footage of the incident was uploaded to YouTube.

The footage shows the abused staff bravely trying to deal with the foul-mouthed mob before pressing the in-store alarm system to alert the central CCTV control room.

Police will now review the footage, which has been watched over 60,000 times on YouTube, and the store's CCTV as part of their investigation.
http://www.mirror.co.uk/news/uk-news/mob-rampage-in-wigan-mcdonalds-video-797195

recumbent

14日午後11時5分ごろ、茨城県牛久市のペットショップ「猛禽屋(もうきんや)」で、経営者の父親である藤田正二さん(66)が倒れているのを妻(70)が発見、119番しましたが、藤田さんは搬送先の病院で死亡が確認されました。警察はヘビに襲われて死亡した可能性があるとみて司法解剖して死因を調べています。

Police in Ibaraki Prefecture on Monday were investigating the death of a man whose body was found next to a 6.5-meter python.
Shoji Fujita, 66, was found dead outside his home Sunday in Ushiku, 50 kilometers northeast of Tokyo, with a reticulated python sitting next to him, a local police spokesman said.
The snake was kept by his son, who operated an exotic pet store in the same city, the spokesman said.
Fujita told his wife he was going outside to check the temperature of a locked reptile compound next to the couple’s house. When he failed to return, the woman went to check and found her recumbent husband with bite marks on his head and right arm, said the spokesman, adding that an autopsy was being carried out to determine the exact cause of death.
“We believe there is a high likelihood of an accident,” in which somehow the snake got out of its container and killed Fujita, the police spokesman said.
http://www.japantoday.com/category/national/view/police-investigate-death-of-man-killed-by-python-in-ibaraki

記事では「倒れている」に相当する英語をrecumbentと表現していました。これはもちろんrecumbentは"lying down"ですが、「横臥位の, 横臥の」を意味するrecumbentはこんな時にも使えるのですね。美術で「横向きになった姿」 をa recumbent figureやa recumbent Buddha「横向きの仏像ーー涅槃図」というのは知っていましたが、勉強になりました。(UG)