読んだ本

あらすじ

 コクドはなぜ旧皇族の土地を次々と取得し、プリンスホテルを建てることができたのか。その謎と西武王国・堤家支配の仕組みを、〈ミカド〉の禁忌に触れまいとする日本の〈不可視のシステム〉の存在とともに、ひもといてゆく。
 また、欧米人から喝采を浴びるオペレッタ「ミカド」をめぐって、世界史のなかに天皇制がどのように位置づけられていったかを探る。さらに、なぜ明治天皇の「御真影」が西洋人の風貌になったのかを解き明かす。
 近代天皇制に織り込まれたさまざまな記号を、世界一周取材で丹念に読み解いた、渾身の力作。

カバーより

あらすじ

付近の惑星に周期的に災厄を撒き散らす謎の星、〈禍つ星〉。そこに赴けば、誰もが巨万の富と絶対的な力を手にできるという。その秘密を追う学者に雇われた宇宙商人ハヴィランド・タフは、サイバー技術者、用心棒ら、いずれ劣らぬ曲者の五人と現地へ向かう。だが、彼らを待ちうけていたのは、超巨大宇宙船〈方舟〉号からの思いもよらぬ攻撃だった! 表題作ほか、宇宙一あこぎな商人タフの冒険を描く連作集、待望の第一弾

カバーより

あらすじ

あるレストランで、暴漢に襲われた宇宙商人ハヴィランド・タフ。その襲撃者の星では、モーセを名乗る宗教的煽動家が“十戒”を模した環境戦争を仕掛けているという。その共謀者との疑惑を晴らすべく、宗教家と対決するタフを描く「わが名はモーセ」、トリー・ミューンがポートマスターを務める、慢性的な人口問題を抱えた惑星ス=ウスラムに環境エンジニアリングを試みる「タフ再臨」他、全四篇を収録する連作集・完結篇

カバーより

 感想文が書けていません。ちゃんと書くためにはちゃんと本を見ながら書かないと、内容が違うことを書いてしまいそうな本が多いというあたりがネックです。

『イメージを読む−美術史入門』

 イコノロジーについて書かれた絵画入門書。彼女の文章は明確で、わかりやすいです。西洋絵画はある時期までは、物語を題材に描かれてきました。聖書や神話から題材をとったものが多いのですが、その他にも、こうして解説されてみるとさまざまな主張が絵画の中に秘められているのがわかっておもしろいです。とりあげられている絵画は、システィーナ礼拝堂の天井画、モナ・リザメランコリア、テンペスタ。

『山本七平の日本の歴史』

 以前にも少し書きましたが(こちら)、日本人が無意識で信じている思想が、本書では「日本教」として書かれていておもしろいです。これは非常に核心をついていて、『プラネテス』4の理解できない展開も、これに当てはめると分かる気がしました。タナベが孤児だというエピソードがなぜ必要だったのか、これを読んで合点がいきました。


 記憶を頼りに書いているので少しあやふやですが、彼の指摘する「日本教」がどういったことなのか、少し挙げてみます。

  • 自らを「欲望などから切り離された無重力状態である」「利害関係から切り離された無菌状態である」と信じ、「道」との緊張関係にある状態を好む。そしてその状態を「人間的」であると感じる
  • 「道」をつらぬくためには、少しぐらいひどいことをやっても仕方がない
  • 「道」の内容そのものには関心がない
  • 去私に惹かれる
  • 死者の時を生きていて、生存している言い訳をしながら生きている

 現在の日本の犯罪や、社会の問題には、この思想が大きく関わっていると感じます。また、「道」の対象は次第に私的で身近なものへと変遷していっているように感じます。「お国のために」から「企業のために」へとうつり変わり、今では自分自身の「趣味嗜好のために」となってきているように思います。おそらく趣味嗜好でさえも、「道」を掲げてさえいれば、自分の欲望や主体を感じずにすむのだろうと推測します。けれども自分自身の「道」を決めているのは自分自身の主体であり、どこまでいっても矛盾してしまいます。

『ミカドの肖像』

あらすじ

 コクドはなぜ旧皇族の土地を次々と取得し、プリンスホテルを建てることができたのか。その謎と西武王国・堤家支配の仕組みを、〈ミカド〉の禁忌に触れまいとする日本の〈不可視のシステム〉の存在とともに、ひもといてゆく。
 また、欧米人から喝采を浴びるオペレッタ「ミカド」をめぐって、世界史のなかに天皇制がどのように位置づけられていったかを探る。さらに、なぜ明治天皇の「御真影」が西洋人の風貌になったのかを解き明かす。
 近代天皇制に織り込まれたさまざまな記号を、世界一周取材で丹念に読み解いた、渾身の力作。

カバーより

 本書もある意味同じ日本教について書かれているのだと私は思っています。山本七平氏が「虚エネルギー」と台風になぞらえて日本教のことを表現しているのに対し、猪瀬氏は「空虚な中心」という表現を引用しています。両者はイメージが妙に似ているので、この本に興味を持ちました。中心に静謐な去私の象徴の「ミカド」をすえ、周りから次々と大勢の人を巻き込みながら、日本人はどこへ向かうのでしょうか。ついでに言えば、これは「萌え」の構造とも同じなんだろうと私は思います。また、巫女ブーム?なども同じ構造なんだろうと思います。内容としては、皇居近辺のビルが100mにわずかに足りなくて、それ以上の高さのビルを造ろうとしたら、次から次へと反対する人が表れ、落としどころがその高さだったという取材がたいへんおもしろかったです。なぜ100m未満だったら良いだろうと考えられたのか、その根拠を知りたいものです。また、この本は広範囲な取材を元にして書かれていて、取材のおもしろさを堪能しました。

その他

 『タフの方舟』はSFなので、後ほど感想をちゃんと書こうと思ってます。


 現在読んでいるのは『ヒューマン -人類-』(ISBN:4150115206)。『ホミニッド -原人-』(感想はこちら)の続編にあたるソウヤーの新作です。