■■狼よさらば('74米)

狼よさらば [DVD]
監督:マイケル・ウィナー
主演:チャールズ・ブロンソン、ヴィンセント・ガーディニア、ホープ・ラング
パラマウントらしくないなあ、と思ったら製作はディノ・デ・ラウレンティスでした。妻を暴漢に殺されたカタブツの設計師が復讐に燃える話。自警団主義というか、自分の身は自分で守るという考えに目覚めてゆく話はペキンパーの「わらの犬」と同じだが、この描き方では説得力に欠ける、というか欠けてもいい話か!意外にも80'sに入って続編が量産されるが、次作「ロサンゼルス」は音楽にゼッペリン解散後鳴りを潜めていたジミー・ペイジが復帰したことで知られるが、当時「サウンドストリート」で紹介した渋谷陽一は、映画のことやクリス・ファーロウ(vo)についても一切触れなかったぞ。
50'sの20世紀フォックスを代表する清純派のホープ・ラングが、悪漢に殴り殺されるシーンでは、かなりショックを受けたと川本三郎が「女優グラフィティ」で書いていた。
Death Wish、Paramount、1h35

職業#12

Here Come the Girls, Vol. 9: Slow Fizz
■Soldier Baby Of Mine / Candy & The Kisses
これで最後で、兵隊さん。
昨日のダスティ・スプリングフィールドのところで英ガールズ・シンガーの限界みたいな事を書きましたが、これが米ガールズとなるとあまりに多岐に渡っていて(うれしい)困難を極めるという感じでもあります。一般的のガール・グループ・サウンドといえば、ビートルズ以前のヒットチャートをにぎわした一連のグループ〜ロネッツシャングリ・ラス、エンジェルズ、シレルズ、シフォンズ、ディキシー・カップスなどを指しますが、これらは氷山の一角も一角で下の方には有象無象のガール・シンガー&グループがいるわけで、そういうものを紹介するのに玉も石も交じったコンピレーションは実にありがたいのです。
もともとは英ガールズを紹介するSequelレーベルの「Here Come The Girls」シリーズも回を重ねるごとに新鮮味を失ったのか、米レーベルに手を伸ばして紹介するパターンもありました。98年にリリースされたVol.9はジェリー・ロス・ガール・グループスというサブタイトルがついた「Slow Fizz」で、ボビー・ヘブ、スパンキー&アワー・ギャング、キースなどを手がけたMercuryレーベルのプロデューサーのロスが60's初めに手掛けた、Cameo、ABC Paramount、Colossusなどのレーベルのアーティストが収録されています。"The 81"をヒットさせたキャンディー&ザ・キッシズがまあ有名クラスで、サファイアーズ、ハニー・ラヴ&ラヴノーツ、ヤム・ヤムス、スワンズ、ディヴォーション、ディヴォンズなどほとんど無名のグループばかりですが、これがすこぶる気持ちいいのです。大半が黒人ガール・グループで本格的なR&Bにしては、甘すぎるという評価でしょうが、僕にはほどよい感じです。これが白人グループになると、もっと上品なとってつけた感じがしてしまって、ことガール・サウンドに限っては白人ものよりもカラード*1のほうが味わい深いです。

さてキャンディ・ネルソンと妹のスザンヌジーネット・ジョンソンから成るキャンディー&キッシズは、64年にジェリー・ロスが見出したグループで、最大のヒットとなった"The 81"は、90'sのクラブシーンで流れてもおかしくないグルーヴィーなダンス・チューンで#51まで上昇しています。

65年のシングルとなった"Soldier Baby(Of Mine)"は、ピート・アンダース=ヴィニ・ポンシア=フィル・スペクターの共作で、ロネッツのために書かれながら、慎重なスペクターはシングル化を思いとどまり*2、結局それがキャンディー&キッシズに流れたと言われています。
Phil Spector: Back to Mono
実にかわいらしい曲です。今気がついたのですが、河合その子のデビュー作「その子」に収められた"向こう De ギャルソン"に途中のhornソロが引用されていました。恐るべしゴッキー(後藤次利)!

*1:ロニー・スペクターはヒスパニック系なので、あえてこう書いてます。もちろん差別的な発言ではないです

*2:フィル・スペクターのレア音源を集めた「Rare Masters」('75)に収録済みですが、のちのボックスが出た時にも収録されました