バリーシール 



<公式>
ストーリー:バリー シール(トム・クルーズ)はTWAのパイロット。安定の暮らしだ。でも知らない男が持ちかけた話にのってかれの人生は変わる。CIAの雇われになり、中米反政府ゲリラの基地を空撮したりゲリラに武器を輸送したり、いつの間にかコカインを製造するカルテルの運び屋に。レーガン時代の中米政策の末端となってアクロバティックなバリーの飛行は続く…
パイパー・エアロスター。双発の小型プロペラ機だ。ターボ付きモデルの巡航速度は480km/h、この世界の代表的メーカー、ビーチクラフトの同グレードの機体より100kmくらい速い。700〜900kgの荷物を積めて、2000kmくらいノンストップで飛べる。ニカラグアからルイジアナ州までならぎりぎり飛べる距離だ。主人公バリー・シールが最初にCIAに提供されて、中南米各国へひたすら往復した愛機だ。
本作のウリは飛行シーンそのもの。CGもろ出しの派手すぎアクションとかじゃなく、飛行機の性能も限界も分かるような、つまりちゃんとしたカーアクションのようなシーンだ。重すぎる荷を詰め込まれて、短い滑走路ぎりぎりで離陸する(ふつうだと600mくらいで離陸できる)。組織の一味が潜む湿地のポイントに正確に荷を投下する。沿岸警備隊の機から、防空レーダーからにげるため超低速や超低空で飛ぶ…
いちおう政治サスペンスものであり、登場人物もCIAの担当者、コロンビア麻薬カルテルのボス、バリーを追うFBIやシェリフや沿岸警備隊や検察、南米政策にかかわった軍人など、適度にカリカチュアライズしつつマンガっぽくなり過ぎない。ただアレかな、バリーと奥さんが美男美女すぎて、田舎のどんくさい夫婦の成金感がちょっと弱くなったかも。

キングスマン・ゴールデンサークル




<公式>
ストーリー:いまやいっぱしのエージェントになったエグジータロン・エガートン)。きょうもど派手なカーチェイスをキメ、あざやかに敵を振り切った…はずだった。ところが新たな敵が現れる。本部も仲間も全滅させられたエグジーとマーリンは秘密指令に従ってロンドンからケンタッキーに飛ぶ。バーボンの蒸留所にアジトはあった。アメリカ版キングスマンと出会った2人はさらに信じられない人に会う。前回、確実に死んだハリー(コリン ファース)が療養していたのだ…
前回『キングスマン』と同じで、イギリスのかっこいい男たちが間抜けな、または悪どいアメリカ人相手にキレのいいアクションで世界を救う話。テンポはいいし画面は今風だし、それなりに楽しめるのは間違いない。今回はドラッグ摂取がどのくらい罪なのか、みたいな大麻合法化とかも受けたテーマをわりと正面から攻めてもいる。
例によって、ベタなまでにアメリカをこき下ろす。アメリカ人たちはヤボなテンガロンハット姿でイギリス人はびしっとスーツ姿。そして強い。敵役もまたアメリカ人だ。単純に見ればイギリスのアホ層大喜びのつくり。そのへんをメタ的に見てるパロディって感じでもないんだよなぁ…でも泣かせのシーンでイギリス人が歌うのは"カントリーロード"なのだ。
なぜか重要な役になるエルトン・ジョンの使い方はちょっとすべってる感じがした。アクションはすべてCGである事をまったく隠そうとしない『300』直系。カーアクションも実写パートはわずかだと思うとどんなに派手でも『ベイビー・ドライバー』 みたいなはらはらがない。

ローガンラッキー




<公式>
ストーリー:勤め先をクビになった労働者ジミー(チャニング・テイタム)。戦場で片手をなくしたバーテンダーの弟クライド(アダム・ドライバー)、美容院で働く妹といまの人生どうにかしたい。かれが目をつけたのは地元で開催されるNASCARイベント。莫大な売上げをかっさらうのだ。助っ人に服役中のジョー(ダニエル・クレイグ)を巻きこみ、DIY感あふれる壮大な計画はスタートする…
これはアレだな、もっかい字幕付きで見よう。なんだか見落としてるところが多かった。一攫千金モノだから基本ファンタジーだけど、いちおう盗みの段取りには理屈をつけて、ぎりぎり現実世界でありえるラインにとどまっていて、『キングスマン・ゴールデンサークル』よりはしっくりきた。3人兄弟の妹と主人公の別れた妻が最初見分けつかなかった。
田舎の荒くれおじさん役ダニエル・クレイグは微妙にアンソニー・ホプキンス風でもあり、いつもの無理やりクールによそおうジェームズ ボンドと違ってこれもじつにいい。
じーんとこさせる大事なシーンではまたしても"カントリーロード?。飛行機で2回も泣かせのカントリーロードを聞かされるとは…心の一曲なんスね。

奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール



<公式>
ストーリー:おしゃれライフスタイル雑誌編集部に配属されたコーロキ(妻夫木聡)。ちょっと鈍くさかったかれの目の前に異常なまでの美女が現れる。アパレルブランドのプレス、あかり(水原希子)だった。あっという間に恋に落ちるコーロキ。ストーカーめいた彼氏に悩むあかりは高嶺の花かと思ったら速攻で付き合うことに。でもそこからがかれの嵐の日々の始まりだった…
ほぼ『モテキ』と同じ話で、美女に振り回される半人前の男の成長物語を今となってはやや懐かしい〈業界キラキラ調〉を味付けにして描く。序盤のコーロキの芝居は、正直おいちゃん辛かった。ここまでバカじゃないと話としてダメなのか。あかりは、原作の絵だけ見るとこういうファム・ファタールタイプじゃない。微妙に違う小悪魔系かもしれない。急に意識高くなるあたりは、たとえば橋本愛とかのほうがはまりそう。でも映画的には水原のゴージャスな悪女感のおかげでちまっとした内輪の痴話話っぽさが薄れている。監督のエロ演出にもきちんと応えるし…日本の女優さんだから、やっぱり細すぎるけどね。
バクマン』でもおなじみリリー・フランキー新井浩文が固める。最後に急転直下するところで突然リアリティがなくなり、無理矢理クライマックスをもってきた風になってしまった。そしてオチのコーロキのあの感じ。もうちょいほどほどな成長じゃダメなの? ダメなのね…