大耳の猫とエキスポランド

中国のスケールの大きなパクリで取り上げたニセディズニーランドである北京石景山游来園(Shijingshan Amusement Park)だが、サーチナ・中国情報局が伝えたところによれば、日本メディアの報道を受けて中国でも波紋が広がっているようだ。中国メディアの取材に対し、同社広報部はミッキーのコピーだとされたキャラクターを、「ネズミではなく、耳の非常に大きな猫」などと強弁したという。

同社によると、「猫キャラクター」は全国からデザインを募集して、専門家を交えた検討の結果採用した。「猫」の家族は計4匹で、大型連休のパレードに登場する。中国メディアの取材によると、9日の取材時に「猫」の姿は見あたらなかったという。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070510-00000014-scn-cn




なんとアレは、ネズミではなくその天敵とも言えるネコだという。2002年、オーストリア南部のケルンテン州マルタ村の教会を修復していた際に建物外壁から発見された約700年前の14世紀に描かれたミッキーマウスにそっくりなフレスコ画は、ネズミではなくビーバーかイタチではないかと推測されている事例もあることだし、ミッキーマウスに似ているからと言ってネズミと断定するのは誤りである可能性もないわけではない。

ところが、ZAKZAKが報じたところによれば、日本での報道にあわてたのか、北京石景山游来園は9日、疑似キャラクターをすべて引き揚げ、壁に描かれたキャラクターをペンキで塗りつぶしてしまったという(BEFOREAFTER)。彼らはグリム童話を題材にして、石景山游来園が作り上げたオリジナルキャラクターであったというのに、なぜ消してしまったのだろうか。グリム童話由来のドラえもんに似たキャラクタとかキティちゃんに似たキャラクタも撤去されてしまったのだろうか。実に残念である。

どうせなら最後までふてぶてしい態度をとり続けてほしかったところだが、このパクリーランド、エキスポランドの社長が会長を務める泉陽興業株式会社によって企画、建設され、運営指導が行われていたという。同社は、大観覧車など各種の乗り物を製造・販売し、遊園地の運営なども行っている「泉陽グループ」の中核企業であり、なぜか削除された同社のホームページには、北京石景山游来園との関係について次のように誇らしげに記載されていたようだ。

ビッグスケールで世界へ

泉陽は中国、台湾、韓国などをはじめ海外においてもこれまでに数多くの大規遊園地を企画・建設し、世界を舞台に活躍しています。

とくに中華人民共和国においては上海市「錦江楽園」、広東省「香密湖渡假村遊楽園」、珠海市「珍珠楽園」、北京市石景山遊楽園重慶市重慶青少年科普文化中心」、南京市「湖濱公園」など数多くの大規遊園地を企画、建設し、また運営指導まで行うなど中国の遊文化の発展に大きく寄与しています。

こうした実績をもとに現在ではテーマパークやレジャーを核としたショッピング、グルメとの複合開発など、数多くのビックプロジェクトも手掛けるとともに、遊園施設などの輸出業務に加え、中国からの各種物産、製品の輸入業務にもかかわるなど微力ながらも日中の経済交流にも努めております。

おそらく、石景山遊楽園のオリジナリティあふれるキャラクタの創出も同社の指導のタマモノに違いない。会社案内の説明にあるように、集積された豊富なデータと社会情勢、レジャーニーズ、計画地の現地調査などあらゆる角度からの分析を行ない、マーケティングによる分析結果をもとに計画地における基本コンセプトの策定にはじまり施設計画、環境計画、事業計画などクライアントの要望に合った全体プランをまとめあげた結果なのだ。それが耳の大きな猫だったのだ。

きっとジェットコースターなどのアトラクションの安全管理についても、製造・販売元として豊富な実績に裏打ちされた懇切丁寧な指導が行われているに違いない。安全管理において世界一厳しい遊園施設の安全基準をもつ日本にあって、泉陽はさらに様々な角度から安全検証を行い二重、三重の安全管理を実施するなど徹底した安全対策に努めているそうなので、事故なんて起きるはずがないのである。

山田会長の挨拶にもあるように、安全と美観を最優先した高度な技術力と斬新な企画力、そして豊富な経験とノウハウをもって、これからも日中の経済交流に是非努めてもらいたいものだ:-P