『葉桜の季節に君を想うということ』 歌野晶午 文芸春秋
2003年の話題作。あんま面白くなかった。この話は100頁ぐらいの短さでサクサクとやってもらいたかったような気がする。削るとこ無いんだけどな、この作品。とにかく、私はこういうタイプのミステリが嫌いなのだろう。デビュー作に比べたらすごい進歩なんだが好きじゃない。
『仮題・中学殺人事件』 辻真先 創元推理文庫
「読者が犯人』という挑戦的な趣向が盛り込まれたミステリ。時刻表や密室トリックなどがあるが、そんなもんはおまけで、本書のメインはあくまでも、「読者が犯人」という発想だろう。私はこういうタイプのミステリはあんまり好きではないが、処理の仕方はうまかった。なかなか楽しく読めた。
あえてマイナスポイントを挙げるなら、他のミステリのネタを割っていることか。まあ、トリックはバラしていても、タイトルは伏せているので、そこら辺に作者の良心を感じるが…。ちなみにバラしている作品名は(念のため伏字)『黄色い部屋の謎』と『刺青殺人事件』だった。