麻生太郎外相は24日の衆院外務委員会で、台湾統治時代などに関する自らの
発言が海外で批判されていることについて、「(私の)発言は『台湾の偉い人
からこういう話を聞かされたことがある』と言ったのに(発言内容が)ねじ曲
げられて伝えられているのが事実だ」と反論した。麻生氏は先の大戦に関する
見解について、過去の植民地支配などを謝罪した平成7年の村山富市元首相の
談話や、小泉純一郎首相が昨年8月に村山談話を踏襲して出した談話と同じ認
識だとの考えを表明した。麻生氏はその上で、中国が小泉首相靖国神社参拝
を理由に首脳会談などを拒否していることについて、「その種の話をもとに首
脳会談ができないと言っているのは中国だ。他の国からは直接、聞いたことが
ない。首脳会談などをやらないと言っている国はほかにない」と述べ、改めて
中国の対応を批判した。

 

マスコミの常套手段である発言のトリミングであるが、本当にこの姿勢だけは
いただけないのではないか。発言が曲解して伝えられることを意図して、都合
の良い部分だけを抜き出すことは人を貶めることになりかねないわけで、麻生
氏のように政治の舞台にいる者にとっては特にそうであろう。人の話を引用し
て発言するのと、自らの意見として発言するのでは意味合いが根本的に違い、
特に歴史認識がポスト小泉の条件であるかのように報じられている今、麻生氏
を貶めるには絶好の機会とでも思い、このようなトリミングを行ったのであろ
う。あまりに稚拙なやり口だが、トリミングされた記事を読んだ人に麻生氏の
反論がきちんと伝わってたかと言えば、おそらく伝わっていないのだろう。と
なると、意図は成功してしまったことになる。実に恐ろしいことではないか。

 

本当にこれがジャーナリズムだと言うのなら、我が国のジャーナリズムはとっ
くに腐りきっている。人を貶めることを平気でやるのなら、そんなマスコミの
報道を誰が信じると言うのだろうか。