六月の雪

緋色は雪の涙なり

Learn as if you will live forever, Live as if you will die tomorrow.
 
 
  

1984年

体調が悪くてずっとベッドの上なので,眠りながらですが,読書は近年にしては珍しいほど,この上なくはかどります。
この本は,何とコメントしたらよいものか?

1984年 (ハヤカワ文庫 NV 8)

1984年 (ハヤカワ文庫 NV 8)

最近『1Q84』出版を機会に新訳が登場していてそちらの方が読みやすそうだったのですが,古い小説は古い訳で読みたいというわけの分からないこだわりが働いて,こちらを読みました。小説自体1949年に書かれた古いものですが,訳本の出版も1972年,使われている言葉も今ではともすれば滑稽に聞こえてしまう言い回しも多く見受けられましたが,そんな陳腐さすらも,漕ぎ出した形而上の海のただ中でじわじわと恐怖へ変わってゆくような感じでした。古くても新しくても,本質でも嘘でも,重要でも無用でも,抑圧でも自由でも,ユートピアでもディストピアでも,そこにあるのは人間性なのか何なのか。
ともかく難しすぎて,私などが一度読んだくらいでは到底理解できるものではありませんでした。いや,一生繰り返し読んでも首を傾げてただ怖いと思うだけなのかも。別の訳でも読んでみたくなりました。これを原書を読む自信はありません。
ところで『1Q84』ってそんなに面白いのでしょうか。あんな分厚い本を何冊も置く場所ないし,今のところ買うつもりはありませんが…。