大友良英 昼夜連続8公演 年末 4DAYS

ピットインで、『大友良英 昼夜連続8公演 年末 4DAYS』のいくつか観賞。したのでまとめてログする。
初日は、カヒミ・カリィを中心にすえた歌ものライブ。カヒミの歌を聴くのもちょい久々。あのアンニュイな声と表情は、やっぱり、ちょっと、注視してしまうよなあって思ってみつつ、も、気がつくとタブラのユザーンをなんとなく、見てしまう。カヒミの後ろにいるのが悪い。ということでもなく、やはり初見の演奏は気になるし気を引かれる。ユザーンは演奏されたほとんどの曲を知らないという状況で、一応キーは確認したりしつつ、ポコポコと気持ちよい響き。大友への「ギターとか、あんまり好きじゃない感じですか?」には大笑い。見えにくいところに陣取った山本精一は、時々ベースライン受け持ちつつも大友と同じでギターなので、ドラムもいないし、更にSachiko Mのサイン波もあるし、ってな状況なので歌モノの定型のフォーマットとは違うのでそういうのに慣れているとちょっとバランス悪く聴こえたりしないでもないのだけど、それが独特な空気にも感じる。
2日目の夜の部、大友と芳垣安洋のコンビに、ピアノの山下洋輔とサックスとクラリネット坂田明が加わったフリージャズなカルテット。そういう演奏の百戦錬磨な面子なので、熱のあがり方が凄い。基本、山下さんのピアノはあまり好みではないのだけど、これだけ濃い面子だとあれぐらいの音かまさんとバランス悪いか、と、思った。そういうところからあのドシャメシャなのは必要なのか。と、勝手に思った。坂田さんはアルトも勿論良いけど、クラリネットがまた、良かったりする。ワンホーンなのに、フレーズ尽きないなあって、ぐらい続ける。そして途中、あのパンクなヴォーカルもかます! 大友のギター、なんとなくThurston Mooreっぽい音色だなあって思ったり、或いはギターが高揚していくところの感じはシューゲイザーっぽくもあって、フリージャズなのに妙にロックを思う。そして、こんなクセだらけの連中をさばく芳垣がカッコいいんだよなあ。
3日目の昼の部、大友とJim O'Rourkeのデュオ。ステージを見ると、いかにも厳しい事がおきそうなセッティング。O'Rourkeはピアノで、大友のギターはテーブルトップ状態。予想通り、音響的な展開ってなもんなのだけど、これがこの日のオレには当りの日で、そうとう、まいった。終盤に2人のドローンが重なるところとか、恍惚。昨年あたりから若干大友の演奏に飽き気味で、O'Rourkeも時々色々とやりすぎだったりしてなんかなあって思うことがあったのだけど、その結果こういう演奏も聴けるのかも知れん。1時間ぐらいの1セットのみというのも、按配がいい。
3日目の夜の部はONJT+。大友、芳垣、水谷浩章Sachiko Mで1st。このところのONJTは+という要素が必ず加わっているのだけど、なので正直、+無しのトリオ状態がたまには見たいなあって思うのだけど、でもこの+のMの音がさすがに嵌るので、あー、やっぱり、+はあったほうがいいのかも知らん。とか、考え直す。この状態だと、明らかに他にはないジャズ、だしな。2ndはタップダンサーの熊谷和徳がもう1人の+として加わる。タップが演奏に加わるというのを、何度か見たので「おー、こういうことか!」という驚きは無いけれど、でも熊谷のあの体力にはアスリート的なのを思わせるし、演奏とは違うものを見るという要素が+されるのの面白い例だとも思う。
最終日の昼の部は大友とJOJO広重のデュオ。広重を見るのは、あの原爆スター階段の時以来で、それとあわせて今回で2回目という事になるので、興味深さではこのライブが一番だった。黒メガネじゃない広重はと大友がステージに並んで座り、軽くトークが始まる。最初にしゃべっておくパターンか、って思ったら、軽くどころか、殆どトークショー・・・。トークの合間に曲を演奏する、ってなもん。本編が1曲インプロと歌モノ3曲という、合計わずか4曲で、アンコールの歌をあわせてやっと5曲・・・。途中で、「んー、これは・・・」って思った。これは、、、面白すぎるな、と。色々、ツイートNGな話が多く、ツイッターはダメって言われたけどブログは言われなかったのでここに書いてしまおうと思う。とか、そういう空気の読め無い事はしないけれど、今回のトークは演奏を聴くのと同じぐらい興味深い内容だった。特に大友の福島な話は、今年の大友の活動を総括したようなものな気がする。広重はさすがの関西人な喋り術でありながら、時々ジーンとさせるようなことも口にする。かと思うと飛道具的に山本精一の話を混ぜ込んだりするので油断できない。あー、肝心の演奏は、歌モノではお互いにリードをとったりしていて、けどバッキングのギターは思いっきりノイジーで、なんかニヤニヤした。今年のライブ観賞の締めがこのデュオだったってのは、大当たりかも知らん。
って事で今夜のライブは見なかったのだけど、それはこのスケジュールが出たときに、まず仕事をしている以上見るのが無理な初日と2日目の昼の部は外して、それとちょっと他のに比べたら興味の薄いサウンドトラックスなライブはいいか、と。
で、今日の帰路、今年最後の帰路レコファンのコースをかました。狙いは、最近流行の廉価版なジャズのCD。このところ、再生はジャズが多い。夜はPaul Motianを聴く事が多く、ライブ観賞や仕事の帰路とかは、Sonny Rollinsを聴く事が多い。人によっては意外に思うかも知らんけど、実はオレ、Rollinsの音がかなり好きだったりします。どのアルバムも、全く外れない。どれ聴いても楽しいし、凄い!って瞬間がある。フリーとかアヴァンとかがお好みだとこういう超大物な扱いの人を避ける傾向がありがちだけど、なんかなあ。って、違う。別に今日はRollinsのCDを買ったわけじゃない。実は一昨日、仕事収めだったので夜のライブ観賞までは時間があったのでいったん帰ろうと思って帰ったときにもレコファンに寄ったのだけど、その時色々見ていて急にオレはBooker Ervinのテナーが好きだったことを思い出した。20年ぶりぐらいに、思い出した。して、『Cookin'』を手にした。Ervinのテナーを久々に聴いて、あー、もっと追加したい!って思って、それを手に入れに向かった。『Booker'n'Brass』と『Structurally Sound』、更にRoy Hayens名義の『Cracklin'/a>』を手にして、ついでにBookerつながりでBooker Littleの『Booker Little 4 & Max Roach』、更にジャケットを見て懐かしくなってLawrence Marable『Tenorman』も購入。で、ついでに、Nils Lofgrenの『OldSchool』と、Rich Robinsonの『Through a Crooked Sun』も購入。あー。今更James Blakeの『James Blake (Deluxe Edtion)』も買った。なんかちょっとヤバイ。マジで今月のCD購入量はやばいことになっている。帰ってくると、毎日ポストにamazonからCDが届いている。今日もそうだった・・・。多分明日も・・・。なにかが間違っている。