自民党及び自民党的なものの終焉

天木直人氏のブログを読んでいると共鳴できる記事が載っていた。

鳩山民主党政権に残された最後の抵抗勢力、それは官僚組織と大手メディアである (天木直人のブログ)

上記ブログでは既に終焉を迎えた野党自民党よりも、鳩山新政権にとっての手強い敵は官僚とメディアであるとの考察が述べられている。全くその通りだろうと思う。異存はない。

一方で僕は野党となった自民党がどうなるのか、という部分に少し興味がある。天木氏はブログの中で、「1992年のイタリアの総選挙と1993年のカナダの総選挙で大敗北を喫した与党」は「いずれも吸収合併、分裂、解党、などの形で無残に消滅し、新しい政党が誕生している」と述べている。

同じ天木氏の8月3日のブログでは、そのカナダでの例が紹介されている。

誰も書かない1993年のカナダの総選挙 (天木直人のブログ)

 1993年に行われたカナダの下院選挙において、それまで単独過半数151(当時の下院定数は295議席)の議席を占めていた与党の進歩保守党が、149もの議席を失い、なんとたった2議席まで減らしたことがあった。(149議席に減ったのではない。2議席になったのだ!)
 キャンベル党首はもとより一人を除いて全閣僚が落選したのである。

今回の衆議院議員選挙での自民党は300議席から119議席へと一気に181議席を失った。公明党は31議席から21議席へと縮小された。カナダの例ほど極端ではないが、1955年に当時の自由党日本民主党が合併してできて以来、常に日本の政治を取り仕切ってきた自民党が弾き出されてしまった。

まだ119議席という、野党としては悪くない議席数が残っているとの考えもあるようだが、119議席の内容を見ると目を覆うばかりである。小選挙区が64議席に対して比例区が55議席もある。この比例区での当選は、比例単独より小選挙区で落選した議員の復活という事例が圧倒的に多い。自民党比例区名簿は過去に役職にあった大物議員達の名前が優先して並んでいたので、結局自民党を駄目にした戦犯達が比例区で次々とゾンビの如く復活したことになる。また新人議員を見ると、小泉元首相の次男である小泉進次郎ただ一人である。

これは会社に例えると、完全に駄目会社の事例そのもので、明らかに世代交代に失敗している。そしてこの数年の悪政の原因を作った老政治家達が一挙に居並ぶ様は、不気味を通り越して薄ら寒い気持ちがする。

この自民党にどんな未来が待っているのか、と考えると、やはりイタリアやカナダの事例をトレースするとしか思えない。つまり、天木氏の言葉を再度借りると、「吸収合併、分裂、解党、などの形で無残に消滅し、新しい政党が誕生」する他なかろう。

麻生首相が退陣するにあたって、新しい自民党の代表を選ぶ必要に迫られているらしいが、その候補と目された舛添要一小池百合子等は早々と総裁選不出馬を語った。色々と理由をつけているようだが、今自民党の代表などになってしまうと、新党ができた際取り残されてしまうかもしれず、それを恐れているように思う。

現在の民主党が出来たとき、鳩山兄弟や菅直人は、武村正義といった旧来の政治家の合流を拒んだ。自民党が分裂したり吸収されたりする際も、森喜朗などに代表される旧来の政治家は合流を拒まれる可能性が高い。彼らが合流してしまうと新党の意味がなくなるからである。

次の選挙まで最長で4年あるのだが、それまでに自民党の新世代を受け止める新党が出現するのかどうか見所である。みんなの党平沼グループなどが一つのキーになるだろうが、どちらにせよ勢力としては弱い。一体何が出てくるのか興味深く見守るだけである。自民党及び、自民党的な政治は終焉を迎えたのである。当たり前のことだけど。