やしお

ふつうの会社員の日記です。

金井美恵子『軽いめまい』

http://book.akahoshitakuya.com/cmt/7226345

具体的な事々を積み重ねていった上でないと「苛々している」「不安になる」と書いてもダメで<日常的な狂気>も<軽いめまい>も成立しないよ、と実作で実感できる……なんて要約めいたことを言うのはまるで本作に対立してしまうけれど、ここの欄が足りないので分かったような口を利いてみる。ともかく読んでると笑っちゃうし、ひたすら面白いけど、怖い。(対岸の火事じゃないしね)

軽いめまい (講談社文庫)

軽いめまい (講談社文庫)

神坂次郎『元禄御畳奉行の日記』

http://book.akahoshitakuya.com/cmt/7190137

これは面白い! 尾張の中級(?)藩士が30年弱に渡って書いた赤裸々日記「鸚鵡籠中記」の紹介と解説。制度、日々の生活、周りの噂(果ては藩主の生母が淫乱だ、といったことまで書いている)……どれも興味深い。何より執筆者・朝日文左衛門がかわいい。据物切りで罪人の死体を試し切りした後、食卓に出てきた刺身を見たら気持ち悪くなって寝込んだとか、同僚の家に起きた心中事件を頼まれもしないのにいそいそ見に行ったりとか、魚釣りと嘘ついて芝居を見た後ばれて父親に激怒されるとか。最後に45の若さで死んでしまうとしんみりしてしまう。

 最近、中公新書から中公文庫へ鞍替えして出版されなおしたみたいだから手に入りやすいかもしれない。(私は古本屋でたまたま中公新書版(透明ビニールカバーがついてた時代の)を見つけて買いました。)

元禄御畳奉行の日記―尾張藩士の見た浮世 (中公新書 (740))

元禄御畳奉行の日記―尾張藩士の見た浮世 (中公新書 (740))

五十嵐太郎『現代建築に関する16章』

http://book.akahoshitakuya.com/cmt/7129264

もともとキーワードを絞ってそれについて語るスタイルなので仕方がないにしても、あまりに真っ当すぎてちょっとつらい。他ジャンルへの参照も当たり障りがなさ過ぎて悲しい。批評ならたとえ妄言みたいでもはみ出し、飛躍、取り出し方で人を唖然とさせて欲しい! よく勉強している人のまとめは有難いなと思う反面あまり読んでいてわくわくはしない。ただ「あるテクノロジーの出現→それに基づいた批評言説の完成→その批評体系で過去を別視点で語り直し可能 という構造がある」という指摘はまあ、なるほどなあ、と思った。(思っただけだけど)

マーク・ピーターセン『心にとどく英語』

http://book.akahoshitakuya.com/cmt/6375398

過去の話でもないのにふいに現れるwouldやcouldについて「不可視のif節」があるんだよとマークが言うのでなるほどと思った。そして大西/マクベイは著書で仮定法は過去形の遠い距離感を利用しているのだと言う。なるほど。別に完璧に体系だった文法が欲しいわけじゃないから適当につまみ食いして使わせてもらおう。ところで本書でちらほら顔を出すちょっと関係ない話が楽しかった。かつての同級生について<しばしば学校をサボるダイアナは、「馬鹿っぽく見えるが、実はクール」というのではなく、実際馬鹿だった。>とか。

心にとどく英語 (岩波新書)

心にとどく英語 (岩波新書)

蓮實重彦『「知」的放蕩論序説』

http://book.akahoshitakuya.com/cmt/6398245

大学、ジャーナリズム、9・11、資本主義、小説、批評等々について普段の、実際の映画や小説に生じた現象を豊かに掬い上げるスタイルの著作では書かないことを語っていたりする(書かない理由についても語っている)のでかなり面白い。いろいろある中で一つ。<誤認というのは、(略)無責任な選択の問題であり、その責任を取っているのであれば、誤認であってもいいんです>というのは、公理の選択が主観的であることを認め、かつそこから生まれた体系が無矛盾であれば、体系が現実を必ずしも反映していなくてもまずはOK、ということかな。

「知」的放蕩論序説

「知」的放蕩論序説

マイミク申請を断る話

 たまーに見知らぬ人からマイミク申請がくる。昨日、きた。
 同じ神奈川在住だから申請してみたとのこと。ギャル(?)っぽい女性。「お酒とかドライブとか好きですかぁ?」「リア友になれればいいなと思って」とのこと。こまった。たぶん「リア友」にはなれない。来るもの拒まず去るもの追わずの方針なので、mixiが勝手に登録できて外せるシステムならいいんだけれど、こちらは登録したくはないので断らなければいけない。相手を不快にさせないメッセージ……ああ、考えるのが面倒くさい……
 と思いつつも小一時間かけて考えて、実は私はオカマなのだ、と言えば「じゃあしょうがないね」と素直に思ってくれるかな、と思いついた。オカマってのは嘘じゃない。人って、たとえ男性でも、女性の部分やオカマの部分も数パーセントは併せ持ってると思うの。

マイミク申請、ありがとうございます。
でもドライブしないし、お酒も飲まないし、その上あたしはオ・カ・マ♪
なの。あたし的には関ジャニ∞より、オードリーの若林ね。
ごめんなさい、ちょっと気が合いそうにないかも。
せっかく申請してくれたのに、本当にごめんね。
あたしはあたしで精一杯生きていくから、あなたも生きてね。ありがとう。


 メモ帳に書き終えた後、mixiに戻って「登録しない」ボタンを押したらメッセージ欄も何もなくそのまま終わってしまった。登録しないときは何もないのね。それはそれでかすかに礼を失しているような気もしなくはないけど、まあ、いいか。

急に、たぎってきた。

「ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ」(id:norishiro7)、面白い。
 2年間ほったらかしにしておいたはてなブックマークでお気に入りしてみるくらいに。(Yashioではなく本アカ(?)のOjohmbonXの方)過去の全記事をひとつずつブックマークしてもたぶん大丈夫なんじゃないかなと思わせる程度に面白いけど、そんなことをすると気持ち悪がられるに決まっているので、しない。


 失礼な言い草かもしれないけれどただ、自分が書いたものを読んでいるような感覚がするのは、同じようなものを読んでいて同時代に生きているからなのか、少し興味深い。


 と、いうところまでを昨日書いておいたのですが、先に「OjohmbonX」のコメント欄でnorishiro7さんに「同じメーカーの釜のメシを食っているような親近感がわきました」と(たぶん)同じようなことを割と肯定的に指摘されてしまった。
 その後でこのエントリを書いてしまうと、まるでただの、ちょっと過剰な返礼にしか見えないけれど、ちがうちがう、好きになったのは、俺のほうが先なんだ! という本人以外どうでもいいことを書きながら、急に学生時代のことを思い出した。


 ある同級生が教室で、その場にはいない別の同級生について「○○のこと、俺キライなんだよね。うざいし」と言った。これに対してすかさず別の同級生が「いやいや、俺の方がお前より先に○○のことキライだったし」「え、なんでそこ対抗してくるの?」遠くで聞いていてつい吹き出してしまった。