現代語訳・源氏物語を読む  

chiaki50612008-10-20


随分と涼しくなってきましたね(^^)

  前回は林真理子さんをお届したのですが、

  今回は『源氏物語』を特集してみようかと思います。

  今年は『源氏物語』が描かれてから千年目の年。

  色々なメディアで紹介されているので、
 
  このことをご存じの方は多いと思いますが、

  改めてこの壮大なスケールの物語を読み返してみましょう。


  
  では、まず手始めに・・・

  超初心者の方や

  興味はないけど読まなくちゃいけない!(笑)という学生の方へ

  瀬戸内寂聴さん訳の『源氏物語』(講談社文庫全十巻)と

  大和和紀さんの『あさきゆめみし』(講談社まんが文庫全七巻)を

  おススメします。

源氏物語 巻一 (講談社文庫)

源氏物語 巻一 (講談社文庫)

あさきゆめみし(1) (講談社漫画文庫)

あさきゆめみし(1) (講談社漫画文庫)

  『源氏物語』を原文で読むのは至難の業。

  その点寂聴さん訳はとっても読みやすくて、

  昼メロを見ているような感覚で読めてしまいます。

  『あさきゆめみし』も同様。

  こちらの方がマンガである分更にイメージし易いかも

  しれません。

  余談ですが、寂聴さんの『源氏物語』は箱入りハードカバーが

  おススメかも。とっても美しい表装で、

  お部屋の本棚に飾っておくだけで箔が付きます。

  わたくしこの本の刊行当時京都の書店にいたので、

  沢山売らせて頂きました(^^)

  
  
  『源氏物語』は寂聴さん以外にも訳をされています。

  代表的なところでいきますと、

  与謝野晶子谷崎潤一郎円地文子さん、田辺聖子さん

  といったところでしょうか。

  其々個性ある口語訳をされていて大変面白く、

  読み比べをしてみるのもまた興味深いと思います。

  与謝野晶子は自身が歌人であることから

  短歌により焦点を当てています。

  自身の歌が各章ごとに散りばめられた香り高い文体を愉しめます。

  谷崎潤一郎光源氏嫌いで(!?)

  主人公にちょっと批判的(笑)

  けれども、さすがは谷崎潤一郎

  豊かな表現力で原文に忠実に訳された麗しい文体です。

  田辺さんは谷崎潤一郎とは打って変わって

  光源氏大好き(笑)

  とっても庶民的な感じのする源氏物語が楽しめます。

  円地さんの訳はとっても艶麗な文体にもかかわらず、

  与謝野晶子谷崎潤一郎に比べるとぐっと

  読みやすくなっています。

  『源氏物語』を更に追及したい方には

  これらの本もおススメです。

  

  口語訳以外にも『源氏物語』は

  エッセイや評論など数多くの本が出版されています。

  海外に及ぼした影響も量り知れず、
 
  フランス人女性作家マルグリット・ユルスナール

  『東方綺譚』(白水社Uブックス)という短編集の中で

  『源氏物語』の中の「雲隠」の章の補足をしています。

  死にゆく源氏に最後に寄り添ったのは花散里だという物語です。

  他には同じくフランス人で二十世紀を代表する作家の一人と

  言われるマルセル・プルーストの『失われた時を求めて

  (集英社文庫ちくま文庫

  も源氏物語に一番近い文学だと言われています。

  本当に凄い影響力ですね。


  話がどんどんそれてしまいそうですが、

  最後に一点だけ。

  俵万智さんの『愛する源氏物語』(文春文庫)。

愛する源氏物語 (文春文庫)

愛する源氏物語 (文春文庫)

  俵さんはこの本で2003年に紫式部文学賞を受賞されています。

  短歌に重点を置かれたエッセイなんですが、

  万智訳(!)をされていて大変興味深いです。

  与謝野晶子紫式部を評価してあえて短歌の訳をしなかった

  ところから考えると、さすがは俵さんといったところでしょうか。

  源氏物語の入門書としても最適です。

  

  いかがだったでしょうか?
 
  今回は少し長くなってしまったのですが、

  『源氏物語』に関するお話は沢山あって、

  書ききれなかった部分もあります。

  またいつか特集してみたい記事ですね。