ゲド戦記外伝
- 作者: アーシュラ・K.ル=グウィン,Ursula K. Le Guin,清水真砂子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2006/02/16
- メディア: 単行本
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(…)こうして人びとはゆるがない確かなもの、遠い昔からある真実、変わることのない単純さを、ファンタジーの領域に求めるのである。
すると、多額の金がそこに注ぎこまれる。需要に供給が追いつくようになる。ファンタジーはひとつの商品となり、ひとつの産業になっていく。商品化されたファンタジーは危険を冒すことはしない。新しい何かを創り出すことはせず、模倣と矮小化に終始する。商品化されたファンタジーは、昔からある物語から知的で論理的な奥の深さを消し去って、そこに描かれている人間の行為を暴力に変え、登場人物を人形に変え、彼らが語っていた真実のことばを、陳腐な、ありきたりのことばに変えてしまう。ヒーローは剣を、レーザー光線を、はたまた魔法の杖や棒を振りまわし、コンバインが機械的に刈り取りをしていくように、ガッポガッポと金をもうけていく。読む者を根底から揺るがすようなものの考え方はことごとく排除され、作品はひたすらかわいく、安全なものになっていく。すぐれた物語作者たちの、読者の心を熱く揺さぶった発想あるいはものの考え方はまねされ、やがてステレオタイプされて、おもちゃにされ、きれいな色のプラスチックにかたどられ、コマーシャルにのせられ、売られ、こわされ、がらくたの仲間入りをさせられ、ほかのものに置き換えたり、取り替えたりされていく。(pp.8-9)
村上春樹 既読本 (読了日)
- 『風の歌を聴け』(2006/01/22)
- 『1973年のピンボール』(2006/??)
- 『ノルウェイの森』(2007/05/13)
- 『神の子どもたちはみな踊る』(2007/10)
- 『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(2008/05/29)
- 『海辺のカフカ』(2008/07)
- 『羊をめぐる冒険』(2008/09/25)
- 『ダンス・ダンス・ダンス』(2008/09/26)
- 『蛍・納屋を焼く・その他短編』(2008/11/02)
- 『国境の南、太陽の西』(2008/11/02)
- 『ねじまき鳥クロニクル』(2009/04)
- 『東京奇譚集』(2009/04/22)
- 『アフターダーク』(2009/06/10)
- 『1Q84』(2009/05/31)
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しずかな部屋で涙を流す どうしたらいいかわからないまま