マスとソーシャル

 最近ある新聞記事を読みました。
 お寺の住職がネット情報の危険性を訴えているものです。全否定するわけではなく、一理ある部分もあるのですが、私の場合は新聞記事だからこその偏った内容に感じてしまいました。

 違和感を覚えたので、ソーシャルネットワークソーシャルメディアに関して振り返ってみたいと思います。
◆多様化しているため、ネット情報・ネット世論といっても一概には言えない。
独断と偏見で私のイメージをまとめると、
2ちゃんねる
 中心層:オタク?   匿名
 情報の質・量:玉石混合。匿名前提なので信頼はしにくい。マスメディア同様に誰が見ても同じ情報。
 イメージ:ダーク。アンダーグラウンド
 かつてはネット世論といえば、ほぼ2ちゃんねるのみでした。

mixi
 中心層:若者、全国。20代以下で75%強(2009年)
 かつては招待制だったので、比較的クローズドなSNS

・グリー(モバゲータウンも同様と考えられる)
 中心層:若者、地方中心。40代以上は18%(2010年6月現在)
     PCの約90倍ガラケーでの利用。
 ゲームがメインで、メディアという要素は薄い。

Twitter
 中心層:都市部の30代、40代。 実名・ハンドルネーム混合
 情報の質・量:オープンで情報量が非常に多い。玉石混合でデマが広がりやすい反面、信頼できる発信者をフォローすることで信頼できるネットワークとする事が可能。フォロー関係は十人十色どころか、一億五千万人一億五千万色であり、フォロー関係の築き方で全く違う性質を持つ。

Facebook
 中心層:アーリーアダプター 実名
 情報の質・量:実名が前提ということもあり、日本ではまだ律速段階。
 今後、Twittermixiからどれだけ以降するかが鍵。mixi的な使い方もTwitter的な使い方も可能。

 さて、ソーシャルネットワークソーシャルメディアに関する偏見・誤解がなぜ起こるかというと、現在起きている変化に気づけない層・世代(高年齢 又は 強い成功体験を持っている高役職者)が未だに2ちゃんねるのダークさ=ネット世論と考えていることに起因するように感じます。

◆情報源の多様化
 インターネット普及以前の情報源はテレビ・新聞・雑誌しかありませんでした。
 他に情報源がないため、テレビ・新聞が大々的に取り上げると、すべて事実であると思う人が多かったのです。

 インターネットが普及→HP→ブログ→ツイッターという流れで、マスメディアを経由しない情報というのが情報の洪水となってあふれてきました。
 マスメディア以外の情報が量的・質的に増える事で、マスメディアの信憑性や公正性に疑いを持つ人達が増えてきています。

 未だ記憶に鮮明な尖閣諸島の漁船事件はその典型であり、流出先がYouTubeだったために、「インターネットの動画サイト(YouTube)への流出」という断りをつけてテレビは映像を流していました。これはマスメディアのネットメディアに対する典型的な態度だったと思われます。
 このような動画投稿サイトに限らず、ソーシャルメディアの情報をマスメディアが取り上げる時、そこが匿名による誹謗中傷や無責任で事実無根の情報が氾濫するダークな世界であることを強調する事が多いと感じます。
 しかしながら、コストがかかるマスメディアの限られた時間の中で報道しきれない情報をネット公開したりすることは、報道の信憑性や公正性を曲げる行為ではなく、情報を得たい人々のニーズを保管することであると思います。マスメディアがネットメディアに対立するのではなく活用した方が良いと思います。
 また、北朝鮮の韓国への砲撃のような事件においては、当事者が現場にいて正確かつ充分な情報を提供できにくい状況であり、そのような状況においては、マスメディアの持つ力が存分に発揮され、ネットメディアはマスメディア報道に関する感想を取り上げる役割に留まる。

 このように、最近起きた事件だけ見てもマスメディアとネットメディアは相互に補完しあっており、対立ではなく、協力・融合していかなければならないと思います。
 ソーシャルネットワークの中には、「匿名による誹謗中傷や無責任で事実無根の情報が氾濫するダークな世界」が存在する事も事実ですが、そうではない広い広がりと双方向性を持つ新しい優れた存在としてソーシャルネットワークソーシャルメディアを認識できるように、より多くの人が理解してくれると良いなぁと思う次第です。
 また、グリーほど極端でなくても日本のネット利用は携帯からが多いという特性もあり、IT先進の国々よりもPC利用率が低く、メディアリテラシーが低いと言われる状況にも日本人として悔しさを感じます。したがって、ガラケーを脱してスマートフォンタブレットに移行する人が増えていくと良いなぁとも思うわけです。