米国株に連れ安する形で、東京市場も急落やむなしとの見方もあったが、杞憂に終わったようだ。日経平均は寄り付き段階で心理的な節目の13000円を割り込んだが、4月14日につけた直近安値(12858円)の手前で下げ止まった。下値を確認したことで買い戻しが膨らんだうえ、きょうは7月限オプションの最終売買日ということもあり、13000円が多分に意識されていた側面もあったとみられる。日経平均は6月中旬からの12日続落などで、14500円から13000円まで調整したが、きょうの値動きを見る限り13000円が当面の下値として意識されよう。とはいえ、米金融不安の高まりなど外部環境は悪化しており、予断を許さない状況が続くことに変わりない。今後の相場を占う意味でも、あすの日経平均終値が7月限SQ値を上回るか否か注目される。SQ値を上回って取引を終えれば、相場反転のきっかけになりそうだ。ちなみに、13日の金曜日となった6月のメジャーSQでは、日経平均がSQ値に一度もタッチしない「幻のSQ」となり、その後調整色を強めた経緯がある。

 不透明要因が多すぎて、リバウンド機運は高まっていないが、割安を示唆する指標が散見される。その1つとして、配当利回り長期金利を上回る「逆転現象」を挙げたい。6月中旬に1.9%目前まで上昇した長期金利は、リスク回避姿勢の強まりを背景に再び1.6%台を割り込んだ。一方、足元の相場下落で東証1部の配当利回り(加重平均)は1.85%、日経225銘柄で1.68%に上昇。長期金利東証1部のみならず、日経225の配当利回りをも逆転している。また、東証1部の騰落レシオ(25日平均)は前日に売られ過ぎの目安とされる「70%」を5ヵ月半ぶりに割り込み、きょうも小幅ながら低下した。


2008年7月10日 15時26分

平均株価は15円高と小幅続伸、アジア株高などが下支えに=東京株式市場・10日後場


10日後場の東京株式市場は、平均株価が前日比15円08銭高の1万3067円21銭と小幅続伸。アジア株の切り返しなどを背景に小高い水準でもみ合った。

 香港・ハンセン指数が上げに転じるなどアジア株の堅調推移を背景に、平均株価は後場寄りにプラス転換。「国内経由で年金買いやオイルマネー流入している」(外資系証券)との指摘も聞かれ、一時87円高まで上昇した。ただ、11日に平均株価オプションSQ(特別清算指数)算出を控え、見送りムードも強く、上値は限定された。

 市場からは、「方向感なく気迷い相場。SQ算出を前に先物主導で上下に振らされたが、1万3000円をにらんだ動きに終始している。平均株価はおおむねボトムゾーンと言えるが、主力株中心に売りがしつこく、SQ通過後に下ブレる可能性も十分ある」(ちばぎんアセットマネジメント・運用部長・大越秀行氏)との見方が聞かれた。

 東証1部の騰落銘柄数は値上がり804、値下がり778。出来高は20億1354万株、売買代金は2兆938億円。午後3時時点の東京外国為替市場は1ドル=106円台後半(9日終値は1ドル=107円52銭)で取引されている。

 東証業種別株価指数では、全33業種中、値上がり18業種。買い戻し主体に住友不 <8830> 、東建物 <8804> など不動産株が大幅高。仏金融大手BNPパリバとCBの買取契約締結が明らかとなったURBAN <8868> は東証1部値上がり率トップとなった。三井住友 <8316> 、三菱UFJ <8306> など大手銀行株も上げ基調。JFE <5411> 、新日鉄 <5401> など鉄鋼株や、ファストリテ <9983> 、ユニー <8270> など小売株も堅調に推移した。

 半面、国際帝石 <1605> 、石油資源 <1662> など資源開発株や、丸紅 <8002> 、伊藤忠 <8001> など商社株に売りが継続。キヤノン <7751> 、東エレク <8035> など値がさハイテク株も下押した。三菱UFJ証が投資判断「4」(やや弱気)に2段階引き下げたベルーナ <9997> が連日のストップ安比例配分となった。


本日の株式市場の全般的な動き

 ■□ 本日の株式市場の全般的な動き □■

 2008年7月10日の東京株式市場は日経平均株価が小幅続伸いたしました。
昨晩の米NY株式市場は大幅反落。DOWは−236ドルの11,147ドル、NASDAQ総合指数は−59.55ポイントの2,234.89ポイントでした。
 シカゴ平均株価先物大証終値−85円の13,035円。寄り付き前の外資系証券13社経由の注文状況は、売り2140万株、買い1700万株で、差し引き440万株の売り越し(金額ベースも売り越し)観測でした。

 東京株式市場は銀行株や不動産株に見直し買いが入り小幅ながら続伸いたしました。日経平均株価始値12,934円と前日終値13,052円から118円安くスタート。売り一巡後は前日終値水準まで戻し、後場は小高い位値でもみ合いとなりました。引けは+15円の13,067円で取引を終了しております。
 東証1部の騰落数は、値上がり804銘柄、値下がり778銘柄、変わらずは140銘柄。東証1部の売買代金は2兆938億円、売買高は20億1,354万株となっております。

 ■□ 主力株・1部2部銘柄などの動き □■

 本日の東京株式市場は朝安後に押し目買いが入り反発。日経平均株価は小幅続伸となりました。
 個別では、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)、りそなホールディングス(8308)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)など大手銀行株が続伸。
 三井不動産(8801)、三菱地所(8802)、東京建物(8804)など大手不動産株や、クリード(8888)、パシフィックホールディングス(8902)、ケネディクス(4321)など不動産ファンド関連株も買われ大幅上昇。
 また、新日本製鐵(5401)、ジェイ エフ イー ホールディングス(5411)など鉄鋼株の一角や、住友金属鉱山(5713)、三菱マテリアル(5711)、東邦亜鉛(5707)など非鉄金属株が上昇いたしました。

 反面、国際石油開発帝石ホールディングス(1605)、石油資源開発(1662)、新日鉱ホールディングス(5016)、AOCホールディングス(5017)など石油関連株や、丸紅(8002)、住友商事(8053)、伊藤忠商事(8001)など商社株、キヤノン(7751)、東エレクトロン(8035)、ファナック(6954)などハイテク株の一角は売り物に押され下落いたしました。
 その中目立った銘柄では、「ザラ場の銘柄情報」ピックアップのアーバンコーポレイション(8868)が+41円の248円と大幅続伸し東証1部上昇率ランキングトップに君臨。
 2009年5月期の連結業績予想を発表したクリード(8888)や、大きく売り込まれていたリソー教育(4714)、「高純度水素を低コストで製造する分離膜を開発した」との報道から人気化した日本精線(5659)のそれぞれがストップ高。その他、ジョイント・コーポレーション(8874)、GSIクレオス(8101)、ダイワボウ(3107)、ソネットエンタテインメント(3789)などが幅のある上昇を演じております。

 ■□ 新興市場銘柄の動きと投資戦略 □■

 本日の新興市場は売り物に押され下落いたしました。主力株では、SBI証券(8701)、インテリジェンス(4757)、フィールズ(2767)、アルデプロ(8925)などが上昇いたしましたが、サイバーエージェント(4751)、スタートトゥデイ(3092)、スパークス・グループ(8739)、フルスピード(2159)などは売られ下落いたしました。
 新興3市場は、JASDAQ平均、マザーズ指数、ヘラクレス指数が揃って続落いたしました。

 個別では、サイバーファーム(2377)、プロパスト(3236)、コムチュア(3844)、ダヴィンチ・ホールディングス(4314)、中小企業信用機構(8489)などがストップ高となった他、MCJ(6670)、日本レップ(8992)、トレジャー・ファクトリー(3093)などが幅のある上昇を演じました。

 さて、米NY株式市場の大幅安から安く始まった東京株式市場ですが、押し目買いが入り反発。昨日に引き続きこれまで売られてきた大手銀行株や不動産ファンド関連株が買われ続伸。未だ不透明感は払拭できませんが「底堅いではないか。これから1・2週間反発するぞ」とリバウンドに期待する見方も高まっております。
 銀行株、不動産株がこのまま反発継続となり、そして11日のSQ後も売られるようなことがなければ、反発の動きを強めてくるものと思われますが、SQ通過後に先物へ売り仕掛けが入り、また下げだしてしまうと反発に転じた個別銘柄の動きも弱まってしまいます。
 ですので、トレードは大きく下落した銘柄の反発狙いか、当日動きある銘柄の飛び乗り飛び降りとなります。個別では、FDK(6955)にそろそろ動きがありそうです。

 ■□ 日経平均株価の動向と予想 □■

 本日の日経平均株価は+15円の13,067円と小幅続伸いたしました。昨晩の米NY株式市場は大幅反落。米格付け会社フィッチ・レーティングスメリルリンチの債務格付けを引き下げる可能性があると発表したことから金融株が下落。またシスコシステムズCEOが景気低迷が長期化する可能性を指摘したことからハイテク株も大きく売られ全面安。S&P金融指数−5.2%となり過去6年余りで一番の下落を記録いたしました。

 東京株式市場は、米NY株式市場の下落やシカゴ平均株価先物大証終値−85円の13,035円と売られたこと、円高方向に振れた為替などを嫌気し売り優勢で取引を開始いたしました。
 日経平均株価は−118円の12,934円と安くスタート。しかし安寄り後は先物主導で反発し13,000円台を回復。後場も上値は重いもののしっかりと推移し+15円の13,067円で本日の取引を終えました。

 中期基調は下向き。短期基調も下向き継続となっております。日経平均株価のサイコロは●●●●●●●●○●○○と、「3勝9敗」。25日移動平均線は13,764円と下向き継続。日足は短い上ヒゲを持つ陽線を形成いたしました。
 11日のオプションSQを意識し13,000円の攻防となっており、市場では徐々にSQ通過後の動きに意識が向かっております。SQ通過後に上に向かうか?下に落ちるか?実際に振れたほうにつく形となりますが、昨日今日の上値の重さを見ても「下」有利とも見られますので注意も必要です。