文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

金正日は安倍ほど馬鹿ではない。


デボドン騒動を契機に、日本本土がミサイル攻撃を受ける前に北朝鮮のミサイル基地を先制攻撃しようという先制攻撃論まで飛び出して大いに盛り上がっているようだが、この過剰反応振りを見ていると、安倍官房長官や麻生外務大臣、あるいは額賀防衛庁長官やらの「頭の程度」が想像されて、ちょっと寒くなるのは僕だけだろうか。どう見ても、頭脳の確かさという点ではキム・ジョンイルの方が上であろう。


しかし、わが国の論壇やジャーナリズムには「キム・ジョンイルは阿呆である、基地外である、ナラズモノである」というような、荒唐無稽なポスト・コロニアリズム的な言説が蔓延して、日本国民の思考力や判断力を低下させ、理性的な対応を不可能にしつつある。特に、安倍の言動を見ていると、かねがね思っていたのだが、「ネット右翼」以下の思考力しか持ち合わせてはいないように見受けられる。少なくとも、僕の見るところでは、金正日は、安倍ほどの馬鹿ではない。


言い換えれば、キム・ジョンイルは、ヒットラー東条英機になれるほどのの度胸も才能もない。その意味ではきわめて凡庸で、健全な精神と思考力の持ち主である。たとえば、これは、死後、人類の歴史に「悪の権化」として残ることをも懼れないほどの強烈な支配欲・独占欲の持ち主ではないということだ。キム・ジョンイルは、立派な指導者として歴史に名を残すことを真面目に考えいているはずだ。したがって、キム・ジョンイルが実権を維持している限り、北朝鮮ミサイルや核の暴発や暴走はない。つまり、ジョンイル君は、日本本土にミサイルや核を撃つ込めるだけのタマではないということだ。


ちなみに韓国では、キム・ジョンイルは政治指導者としてかなり人気がある。それは、彼が儒教社会のモラルや秩序をを重んじ、且つそれを実践する存在だからだ。われわれ日本人の目から見たら予想外のことだろうが、彼の上品・高潔な立ち居振る舞いや言動は韓国の青年達にも好感を持って迎えられている。「キム・ジョンイルは阿呆である、基地外である、ナラズモノである」というような言説こそ、荒唐無稽なポスト・コロニアリズム的な言説そのものなのだ。


その意味で、小泉・安倍的な「チンピラ外交」はまことに危険である。キム・ジョンイルが、小泉・安倍レベルのチンピラなら、「お互い様」ですむだろうが、残念ながら、キム・ジョンイルはチンピラではない。礼儀作法をわきまえた真面目人間である。そういう真面目人間を本気で怒らせたら怖いのだ。


それを小泉も安倍もわかっていない。キム・ジョンイルに対しては何をやっても許されると勘違いしている節が見受けられる。相手の神経を逆撫でするかのような二枚舌外交や裏切り外交を平気で繰り返している。危険である。もっと真剣に、且つ真面目に立ち向かうべきである。


キム・ジョンイル体制崩壊なくして拉致問題の解決も核ミサイル問題解決もない。つまり、北朝鮮外交は、目標としては「キム・ジョンイル体制打倒」を目指すべきであり、その為には、早目早目の経済制裁や貿易制限の措置などを冷静に打ち出していくべきである。そうすれば、キム・ジョンイルも真面目に対応してくるはずであり、いずれはクーデターか何かでキム・ジョンイル体制は、内部から崩壊していくはずである。イタズラに経済援助や国交回復という餌をちらつかせて、延命に加担した上で、だまし討ちにするというような奇襲戦略をとるべきではない。


ところで、日本政府は、国内向けに、ミサイル着弾地に関する情報で情報の隠蔽工作と情報操作を行っているようだ。北海道沿岸に着弾しているにも関わらず、北海道からははるかに離れたロシア近海に着弾したと情報を偽装している模様だ。たとえば、安倍や麻生や額賀らが、「敵地爆撃能力」問題に、つまりミサイル発射基地への先制攻撃論に積極的に言及し始めたことからも、彼らが北朝鮮ミサイルに慌てふためいていることが推測できる。


一方、小泉は、いつもの調子で、平城宣言の無効を宣言し、国交断絶にまで突っ走るのかと思っていたら、逆にまだ話し合いの余地が残っているという対話重視の穏健発言にトーンダウンしている。小泉も、今回のミサイル10発発射には確実にビビっていると見るべきだろう。小泉は意外にというか、予想通りというか、神経質で気の弱い軟弱な政治家のである。こういう感情の起伏の激しい神経質な政治家こそもっとも危険な政治家というべきだろう。出来るだけ早く引退してもらいたいものだ。


さて、ミサイル発射はアメリカ向けだと、政府もマスコミもさかんに言っているが、それも嘘だろう。このミサイル発射は明らかに日本向けである。安倍や麻生や額賀ら、チンピラ政治家たちにこの問題の処理を全面的に預けることは危険である。暴発し、暴走し、自爆するのは、キム・ジョンイルではなく、むしろ安倍や麻生や額賀ら、日本のチンピラ政治家達の方ではなかろうか。


出来るならば、先の訪中やその際のコキントー会談などで、アジアの政治的リーダーとして、政治的指導力や政治的人徳だけではなく、その上にさらに政治的貫禄もあることを見せ付けた「小沢民主党」に政権を早めにスイッチすべきである、というのが僕の考えなのだが…。


◆参考。(スポニチ)

金総書記「全面戦争には全面戦争で」

 ミサイル発射問題で北朝鮮に対する制裁論が高まる中、同国の朝鮮中央放送は9日、金正日総書記が「全面戦争には全面戦争で」などと話したことを伝えた。一方、小泉内閣の閣僚が相次いで同日、次のミサイル発射を見据えて、憲法の範囲内で「敵基地攻撃能力」は必要との見解を示した。
 これも挑発なのか。共同電が伝えるラヂオプレスによると、朝鮮中央放送は政治解説の番組で「かつて敬愛する将軍(金総書記)は、不倶戴天(ふぐたいてん)の敵の米帝侵略者らには少しの譲歩もあり得ないと宣言した」と報道。発言の時期は不明だが、金総書記が「報復には報復で、全面戦争には全面戦争で応えるという立場が決して空言ではないことを明らかにした」などと話したことも伝えた。

 米国で10日午前(日本時間同日深夜)、国連安全保障理事会に日本など4カ国が提出した制裁決議案が採決されるため、論議をけん制する思惑もあるとみられる。

 とどまるところを知らない北朝鮮の強硬さには、日本政府も黙ってはいられない。額賀福志郎防衛庁長官は記者団に対し、現在自衛隊保有していない発射基地などへの敵基地能力について言及。「独立国家として、一定の枠組みの中で最低限のものを持つという考え方は当然だ」として、憲法の範囲内で可能な装備を検討すべきだとの考えを表明。フジテレビの番組でも「敵国が日本を狙って攻撃的手段を持ち、ピストルの引き金に手をかけたようなときは、日本を守るため(攻撃の)判断が許される」と述べた。ただ「自民党、与党内での合意が必要」とも話し、当面は自民、公明両党内の議論の進展を待つ意向を見せた。

 また、麻生太郎外相はNHKの番組で「(核が)ミサイルにくっついて日本に向けられているのであれば、被害を受けるまで何もしないわけにはいかない」と述べ、一定の条件下で北朝鮮のミサイル基地攻撃は自衛権行使の範囲内との見方を示した。<後略>



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