マンチェスター・ユナイテッドが大方の予想とは違って、左にクリスティアーノ・ロナルド、右にオーウェン・リー・ハーグリーヴスを起用する4-4-2を採用。即ちロナルドとアシュリー・コールのマッチアップをアレックス・ファーガソンが避ける選択をしたわけで、ミスマッチになったマイケル・エッシェンはヘディングで競り負け失点。コーナーキックのカウンターから大ピンチということにもなったが、前半終了間際エッシェンのオーバーラップにロナウドの守備は甘く、ミドルシュートのこぼれ球をフランク・ランパード・ジュニアがゴールを決めて同点と、奇襲は成功もあったが、失敗も引き起こしてしまった。というよりかそれがクラックの運命たるモノよ。
前半の主導権は明らかにユナイテッド。理由はチェルシーのバックラインが深く、攻撃もディディエ・ドログバから有機的に繋がらなかった。後半はバックラインが明らかに高くなりミスマッチのケアも左右のウィング、特にジョー・コールの守備の貢献が良くてロナウドは仕事にならず、フルバックの効果的な攻撃参加、セントラルハーフの力が後半は上回り、ブルーズの攻撃が良くなる故にウェイン・ルーニーも守備に回ることが多くなる始末。セカンドボールを拾うことも多くなってこれまたポゼッションを大事にするブルーズが主導権を握っていた。しかし失点しなかったことは特にドログバマンマークしていたネマニャ・ヴィディッチの動きが良かったといえる。
延長も終わる頃には互いに運動量が低下してしまった試合。早めに選手交代を考えられたのかもしれないが、監督同士、腹を探り合って交代が遅かった。ユナイテッドのアウトサイドは危なかったのだからもっと早く変えてライアン・ギグスを投入すればと思うのは私の頭の中。ロナウドが右に回ってさぁどうなると。得点こそあれロナウドのキレキレのドリブル、ミドルシュートで魅せるプレーが少なかったことは残念だ。加えてパトリス・エヴラの効果的な攻撃参加も多く見られなかったわけで。
PK戦は、チェルシー5人目、スキッパーのジョン・テリーの場面で決まったと思った。胃が痛い試合だった。映像で映るロマン・アブラモビッチオーナーと同じような心境で見ていた。
予想通りの硬い試合だった。