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2017-04-12 音楽で表現すること〜永井宏作品展ライブ

先日巣巣にて行われた美術家永井宏さんの作品展オープニングライブ音楽表現すること」にオープニングアクトとして、我々草とten shoesも出演させていただきました。この日は満員御礼だったそうで、会場はたくさんの人たちで溢れておりました。ご来場下さった方々、本当にどうもありがとうございました。

我々が会場の巣巣に到着するとすでにこの日のメインアクトである山田氏とヒックスヴィル中森さん、カーネーション直枝さんがリハをしており。この初めて見る3ショットの見た目の豪華さと3人が織り成すギターアンサンブルハーモニーのかっこよさに「おお!」と初っ端からテンションが上がってしまいましたね。ウルトラマン仮面ライダーが合流したみたいな、ヒーローの競演といった様相で。そこへこの日のスペシャルゲストである女優片桐はいりさんが会場に現れまして。はいりさんはとても華やかで可愛らしく、いつもテレビ映画で見ている方が巣巣にいるという見慣れない光景に「おお〜」と思わず感嘆の声を上げてしまった私です。その片桐はいりさんが3人の並びに加わってセッションを始めるのだからそれはもう大変です。ウルトラマン仮面ライダーゴジラが合流するかのような(はいりさんが怪獣ぽいという意味ではないですよ)豪華さで。その場で「キーを下げましょうか?」「ここからはいりさんが歌いましょうか」などと打ち合わせをしながら仕上げており、そのプロ仕事っぷりを見ながら「おおおお〜」と感心してしまった私です。

ここまで「おお」という母音しか発声してない私ですが、続いて草とten shoesリハーサルを行いまして。短い時間でしたがざっと曲を通しました。この日女子メンバーはSa-Rahの衣装で揃えており、私は普通にシャツだけだったのですが、「五十嵐くんだけ服のテイストが違うじゃん。私の上着貸してあげようか?」とスタッフのりえさんに急きょ衣装を貸してもらいまして。さらにこの日のために全員分の可愛い花のコサージュを作っていただき、取り敢えず格好だけはいっちょまえになったんですけどね。肝心の演奏の方はどうなることやらという感じで、いよいよ本番を迎えまして。

前回は私が主に喋ったんですが、今回は永井さんをよく知る岩崎さんとアユミさんがメインで喋った方が良いということになり。岩崎さんは「え〜、私うまく喋れない〜、どうしよう〜」と事前にMC原稿まで用意して備えていたのですが、いざ話し始めると原稿関係なくベラベラと喋りまくり、客席の笑いをドッカンドッカンかっさらっており、「この人の度胸凄いな!」と感心してしまった私です。岩崎さんと永井さんの出会いや、その流れで弟子アユミさんに出会った話や、「誰にでも表現をすることが出来る」という永井さんの教えによってバンド結成に至った話などを滔々と語り、結果的に一番永井さんと密な関係であったアユミさんが口を挟む余地がないという状況でしたけどね。でも岩崎さんの話によってこの日の音楽会趣旨が伝わったので良かったのではないでしょうか。ボーカルのあやは満員のお客さんの視線に緊張がマックスになっていたのか前半2曲は声が震えておりましたが、後半は何とか落ち着きを取り戻してしっかり歌えておりました。山田氏のペンによる巣巣のテーマソング「小さな巣をつくるように暮らすこと」を巣巣で鳴らせたのは意義があったかと思います。岩崎さんもアユミさんもバッチリでした。新曲「草とテンシューズ」も初披露出来ましたし。初々しさが良かったという感想をいくつかいただきましたが、今後はその初々しさを残しつつ技術の方も上げていかないとなと思った次第です。曲を書いている私的には直枝さんから「何回か聞いてると曲をすぐ覚えちゃいますよ。とてもキャッチーですね」というありがたい感想をいただいたので、今後はこの言葉ポケットに入れて持ち歩こうと決意した次第です。

前座として草tenが場を温めた(温められたのでしょうか)後は、山田氏と中森さんによるデュオが始まり永井さんが聞きたがったであろう洋楽カバーというテーマで、CCRや、永井さんが訳詞をしたジョナサン・リッチマンカバーなどを披露してくれました。中森さんは「いやー低気圧でね…」という気圧トークでお客さんをつかみ、山田氏もいつもの軽妙なトークで場を盛り上げておりました。そしてアユミさんが加わっての本家による「小さな巣をつくるように暮らすこと」がまたしみじみ良かったですね。中森さんのスライドギターが泣けて。山田氏は「さっきの草tenとは別腹」という表現をしてましたが、この日のお客さんは名曲を2バージョン聞けてある意味お得だったんじゃないでしょうか。

その後はそこに直枝さんが加わりまして。直枝さんは「いやー低気圧がね…」と中森さんが先にネタにしていた気圧話でお客さんをつかんでおりましたが、アレルギーのせいでリハ中はずっと鼻をかんでいて辛そうでしたね。(本番ではそれが止まっていたようなので流石だなと思いました。)ここではAMERICAのカバーを2曲演奏してくれまして。「ヴェンチュラ・ハイウェイ」では中森さんと直枝さんの息の合ったツインギターが炸裂してこれがまたかっこよかったですね。(直枝さんはこれの練習にかなり時間を費やしたそうです。)3人のコーラスが重なるところも鳥肌ものでした。

そしてその後山田氏と中森さんが捌け、直枝さんのソロステージとなりまして。直枝さんも永井さんに向けたカバーということで、まずはトッド・ラングレンニール・ヤングの曲を歌ってくれました。直枝さんのこれまでの生き様が滲み出るような男の色気溢れる歌声にグッと来てしまいましたね。もう日本ニール・ヤングに対抗出来るのは直枝さんしかいないよという感じで。郷ひろみの「ハリウッドスキャンダル」と島倉千代子の「愛のさざなみ」のカバーも素晴らしく、直枝さんが歌うともはや直枝さんのオリジナルしか聞こえないのですよね。その凄みのあるパフォーマンスに震えました。直枝さんによる歌謡曲カバー集とか聴いてみたくなりましたね。ちなみに直枝さんは永井さんの「マーキュリーティ」という著書を愛読していたそうで、その文章を絶賛されていましたね。その後永井さんの展示も見に行き、中森さんに紹介してもらいご本人にも挨拶出来たという思い出話を語ってくれました。「マーキュリーティ」は絶対復刊して欲しいと力説しておりましたね。前に「貸切り図書館」に直枝さんに出演していただいた時には永井さんの著書は挙げられてなかったので、次回はその辺の話も詳しく聞きたいなと思った次第です。

その後、再び山田氏と中森さんが合流してビートルズの「Two of Us」を演奏したのですが、冒頭のジョンの台詞から終わりの口笛まで再現していて、直枝さんと中森さんのビートルズ愛が伝わって来ましたね。直枝さん曰く「永井さんはビートルズよりもストーンズ派だったんじゃないかな」とのことでしたけどね。その後山田氏のリクエストによりカーネーションの「Edo River」も演奏してくれまして。これがまたかっこよくてシビれましたね。「ロックンロールッ!」の掛け声に「おおおお!」と我が心に燃え滾るものがありました。この3人でこの曲を演奏するのは勿論初めてとのことなので、とても貴重なものを見られました。

そしてこの3人にこの日のスペシャルゲスト片桐はいりさんが加わりまして。4人でそれはもうスペシャルセッションを繰り広げてくれました。そもそもなぜに片桐はいりさんがゲストなのかというと、永井さんがマガジンハウスブルータスという雑誌編集仕事をしていた頃に、はいりさんが劇団広報担当としてよくマガジンハウスに出入りしていたそうで。その縁で永井さんがバンドライブをする時にボーカルとしてはいりさんが参加するようになったのだそうです。ちなみにその当時ブルータスカメラマン仕事をしていたのが中森さんという繋がりなのだそうで。山田氏は司会役としてはいりさんから上手に話を引き出し、お客さんに永井さんとの関わりをわかりやすく説明していて良かったですね。この日は永井さんのことをよく知らないお客さんが多かったようですしね。当時そのバンドでよく演奏していたという「ローハイド」とドアーズの「Hello,I Love You」とボブ・ディラン「くよくよするなよ」の永井さん訳詞バージョンカバー演奏してくれたのですが、はいりさんは舞台女優だけあって歌の発声表現力も素晴らしく、また見た目にも華があるし、自分がどうパフォーマンスすべきか瞬時に理解して1.2回のリハだけで完璧になっていたので凄いなと思いましたね。歌う姿に思わず釘づけになりました。「くよくよするなよ」は最後が何故か「イッツオールライトやで」と関西弁になっているのですが、実はそこだけはいりさんが訳詞をしたのだそうで、永井さんはそれを気に入ってずっとはいりさん訳詞バージョンを歌い続けて来たのだそうです。はいりさんは関西人ではないのですが、当時フォークソングを歌う役を与えられた時に関西弁訳詞してこの曲を歌ったことがあり、それをライブでも採用したのだそうで。はいりさん、山田さん、直枝さんと順番に歌い分けていたのですが、3人の「イッツオールライトやで」の歌い方がそれぞれらしい歌い方で何だか沁みましたね。優しく励ましてくれるような、力強く背中を押してくれるような、自らを鼓舞するかのような。はいりさんはこの日のために「くよくよするなよ」の他の部分の歌詞書き下ろして来てくれたそうで、それも印象に残りました。「桜の花を見ながら思った 死んでも終わりじゃないんだって」という内容でしたが、はいりさんが語っていた「死んだ人って凄い、生きている人には出来ないことが出来るんだもの」という発言にはなるほどなと思いましたね。実際永井さんの亡き後にも未だこうしてイベントが行われ、永井さんを知らない人たちが新たにその作品に触れたり、これをきっかけにして知り合う人たちがいたりと世界が広がっているわけですからね。このイベントを定期的に催している岩崎さんからしたら、はいりさんが歌いに来てくれたことはとても感慨深かったことでしょう。私もこのようなライブに少しでも関わらせていただき感謝です。良い夜でした。

終演後は長男堂さんの美味しいご飯をみんなでいただきまして。この日は元フィッシュマンズ小嶋さんとか高橋徹也さんとか色々な方が見に来ていて、よくこんなステージ初心者の草tenは堂々とライブをやったなと思いましたけどね。山田からタカテツさんからも「俺らは直枝さんと共演するのに何年もかかった(笑)」と言われましたけどね。私もバンドカーネーションと共演するのに7年かかって、この日共演するのはそれ以来16年振りだったので、そういう意味でも感慨深かったですけどね。直枝さんと中森さんは「俺はタカテツになりたいよ、理想だよ〜」とタカテツさんをイジっており、「いやーそんなこと言わないで下さいよ〜」と恐縮していたのが可愛くて面白かったです。良い光景を見ました。

巣巣での永井宏さんの展示は4月23日まで続いてますので、興味ある方はぜひご来場下さい。草tenのライブも夏頃あるかと思います。そちらもぜひにということで。


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2017-04-07 桜青春テンション

気が付けば4月なのです。本当に早いのです。時の流れは。桜もぼちぼち咲き始め、カメラスマホでその淡く儚い春の花の姿を永遠に閉じ込めようとしている人の姿をよく見かけるようになりました。しかし年配の方に多いのですが、桜の花びらを撮るのにそんな望遠機能必要ある?と問いたくなるようなバズーカ砲の如く長くごっついカメラ三脚に立てて覗き込み、暗殺する対象を眺めるかのような鋭い視線を注ぎながら撮影している輩がたくさんいらっしゃるのですよね。そんなゴルゴ13テンションで写さなくても良いんじゃないと毎回思ってしまうのですが。ああいう輩に男性が多いのはある種の狩猟本能みたいなものが働いているのでしょうか。桜を狩るぜと。俺の手中に収めるぜと。そんなカメラ小僧ならぬカメラおじさんに狙われながらも桜は優雅にその美しき花を風にそよがせているのです。春なのです。

先日は草とten shoesリハーサルを巣巣で行いまして。今週末のライブに向けての最終リハということで本番さながらにみっちり演奏しました。片桐はいりさん含む豪華メンバーの前座ということで場を温められればと思う次第です。岩崎さんは相変わらず演奏を間違えても「うん、大丈夫〜」と南国の太陽の如き笑顔を見せポジティブであるのできっと本番でもそのパワーを発揮することでしょう。

練習後は岩崎さんの自宅にお邪魔し、手巻き寿司パーティのようなものを行い。山田氏もミルブックス藤原さんも合流しわいわいと賑やかに寿司を巻きました。新鮮な刺身岩崎さんが手配してくれたので、それはもう美味しいのであり。みな凄い勢いで海苔酢飯を敷き具材をえいやと乗せパクパク食べておりました。手巻き寿司楽しいし美味しいし、最強だな!という結論に至りつつ。一応花見という名目ながら、この日は夕方に雷が鳴り強い雨が降り桜どころではなく。花よりも寿司という感じだったのですが、夜帰る頃には雨も止み。外に出ると夜桜が綺麗なのであり。雨上がりの夜の独特な空気に桜はどこか儚げで、我々の頭上で静かに春の到来を告げておりました。その下できゃっきゃとはしゃぐみんなの姿を見て私は密かに「青春だな」などと思ったのです。バンド青春説がここでも登場して来たのです。みんな40代のおじさんおばさんなんですけどね。桜の木の下ではそういうことで良いんじゃないすかとワインで酔った頭の片隅で思った次第です。そんな青春テンションでお送りするライブは今週末です。どんなイベントになるのでしょうか。果たして。(まあ我々は前座なんですけどね。)

4/8 等々力巣巣「音楽表現すること」

18:30 Start

3200円 (toricotのお菓子とSwan Coffeeのコーヒーつき) 

出演 山田稔明 中森泰弘ヒックスビル直枝政広カーネーション)イシカワアユミ 片桐はいり

草とten shoes(Opening Actf:id:fishingwithjohn:20170407083746j:image

2017-03-29 カルテット(小さな声で語られる)

先日、蕎麦屋にてざる蕎麦なんぞを嗜んでいたところ、突然後方からズズズボゥ!!!」という気の狂った猿が他者に威嚇をする鳴き声のような、古い掃除機が大きめなゴミを強引に吸い込んだような不穏なノイズが何度となく聞こえ、何事かと見やればおじさんがざる蕎麦を啜る音なのであり。昨今ヌーハラなどと、外国人日本人蕎麦を啜る音が不快であると唱える風潮があるそうで、日本蕎麦は喉越しで味わうんでい、てやんでい、音を立ててなんぼじゃい、郷に入れば郷に従えい、とその訴えに抗う気持ちでいた私でしたが、おじさんの蕎麦を啜る音はその意見を覆す程酷いのであり、これほど不愉快な音があろうか、いやない!と思わず反語を用いて激おこ状態になってしまった私です。外国人の方の気持ち何となく理解出来ました。蕎麦の啜る音は適度がよろしいのではないかと思った次第です。音もそうですが「蕎麦の啜り方が豪快なほど粋」と思っているその思想がうるさいのかもしれません。基本おじさんという生き物は蕎麦に限らず、喋り声や笑い声や咳やくしゃみなど自身が発信するサウンドが大きい傾向があると思うのですが、私はそれが苦手なのかもしれないなと思ってしまいましたね。がさつに感じてしまうというか。(まあ私もれっきとしたおじさんなのですが。)猫は声の大きい人や動作のうるさい人が苦手で、物静かな人や物腰の柔らかい人を好む傾向があるのですが、ついそれに同感してしまう私です。一緒に暮らすうちに猫の気持ちに近くなってしまったのでしょうか。声の小さい生き物の発するメッセージにこそ耳を傾けたい自分がいます。声の大きさに惑わされてはいけないのです。良いニュースというのは多くの場合さな声で語られると村上春樹小説にも書かれていたように思います

さて、これを読んでいる方にとって良いニュースなのかはわかりませんが取りあえず小さな声で発表すると、来る5月14日に鎌倉molnにて久々にfishing with johnバンド編成でのライブが行われるのです。これはもう是が非でも来ていただきたく思う次第ですが、先日それに向けてリハーサルなど行いまして。今回は楽曲再現出来る最小人数のカルテット編成で音を引き算しながら再アレンジしてみようと思い立ち、ひじきさんとあぐちゃんと鎌田さんと私の4人で集まったのですが、ちょうどドラマの「カルテット」を見出したタイミングでもあり、「fwjカルテットだ」「別府さんだ」「誰が松たか子なんだ」などと盛り上がったのですが、ドラマと違うのはすでに長年一緒にやっている仲なのであり。ドラマの話もそこそこにいつも通り黙々と練習したんですけどね。偶然集まったメンバーという点に於いては同じですが。まあ私もドラマを途中から見出したので初期の設定や伏線をかなり見逃したまま「え、どういうこと?」と戸惑いつつ見ていたんですけどね。後追いながらも良いドラマだなと思ってしみじみ見ておりました。ライブ時、高橋一生松田龍平のような仕草が見られたり、MC唐揚げレモンみたいな深読み出来そうな会話をし出したら完全にドラマの影響だと思っていただいて構いません。

カルテット」はコメディかと思えばサスペンスだったりラブストーリーだったり、親子や夫婦物語だったり、感情あっちこっちに持って行かれる凄いドラマだったなという印象でしたが、複数人数で音楽を鳴らしたことのある人にとってはあれはやはり音楽ドラマなのですよね。バンドもそうですが様々な人生を抱えた他人同士が集まってひとつ音楽を鳴らすという物語には惹かれてやまないものがあるのです。私が思うにそれって「青春」なんですよね。それを職業にしている人も趣味にしている人も多少ならずともそれがあるような気がします。箸にも棒にも引っかからないカルテットに対し「煙突から出たけむりのようなもの」と痛烈に批判する手紙へのアンサーが、満島ひかり演じるすずめが語る「自分たちの鳴らす音楽が人に届いた時のささやかな喜び」であるのは青臭いけれども真実であるのだよなあ、てへへ、と思ってしま自分がいるのです。それで言うと世の中けむりだらけになってしまうけど、出さずにはいられないのですよね。楽しいから。私も長年やって来て自分のけむりで真っ黒になっている人をたくさん見て来ましたけどね。

最近になって草とten shoesというバンドに参加し始めて、初心者岩崎さんが「今回はうまく演奏出来た!」と大喜びする様子を見て「そういや昔は自分もこんな感じだったな」と思い出したりしたのですが、初期衝動をたまに取り戻すのも大事なのかもしれません。fwjカルテット、届くと良いなあと思っています。すずめちゃんの気持ちで。(小さな声で。)f:id:fishingwithjohn:20170329222126j:image

2017-03-28 曖昧な音を捉える思考 貸切り図書館43冊目

先日は恒例のイベント「貸切り図書館」の43回目をゲスト宮内優里さんを迎えてお送りしました。たくさんのご来場をありがとうございました。

宮内さんははるばる千葉八街市からギターとたくさんの機材を抱えて鎌倉に来てくれたのですが、いざそれらをセッティングしてみると音響関係で急きょスピーカースタンドが必要となり。鎌倉在住のギタリスト宮内さんと親しい秋元さんがたまたま現場にいて「あ、家から持って来てあげるよ」と、自宅に取りに行って貸してくれるという鎌倉連携プレーにより何とかリハーサルにこぎつけることが出来まして。(秋元さんありがとうございました。)

宮内さんはギターハードケース上に鍵盤やらエフェクターやらルーパーやらをずらりと並べ、横には七つ道具よろしくトライアングルやらブラシやら打楽器系をまたずらりと並べて、ちょっとしたラボ様相でしたね。長年かけてこのスタイルに落ち着いたのがわかる完成された形で、見た目にもかっこよかったです。この日は満員御礼でお客さんがぎゅうぎゅうだったんですが、みなさんまずその目前のラボをパシャパシャと写真に収めておりました。

そして始まった本番では宮内さんはギター、鍵盤、打楽器生演奏ループさせながらエフェクトをかけながらその場で楽曲を見事に構築しており、さながらその様は素材を包丁で刻み、味付け調理盛り付ける敏腕シェフのようで素晴らしかったですね。美しく心地良いサウンドに酔いしれてしまいました。星野源さんをボーカルでフィーチャーした「読書」も貸切り図書館にちなんで歌ってくれたのですが、魅力ある低音ボイスで、宮内さんはボーカリストとしてもいけるのかとそのマルチぶりに感心してしまいましたね。ちなみに「宮内優里」で検索すると関連ワードに「宮内優里 星野源 何で」と出てくるそうで(笑)最近星野源さんのファンになった人は何でこの宮内優里という見知らぬ人の曲にスターであるところの星野源が参加しているのか的なことを検索しているようで、「そりゃまあそうですよね」と自虐的に語っておりました。元々宮内さんが星野さんの歌を好きでボーカルを依頼したそうなんですが、その直後に星野さんが人気者になってしまったそうで。しかしこの曲を入口に聞いてくれる人が多いので感謝しているそうです。実際この日も曲名を告げた時点で客席から拍手が起こっておりました。

そして本の紹介のくだりでは以下の本を挙げてくれました。

原田宗典「十七歳だった!」

五十嵐大介「リトル・フォレスト」

クリス・アンダーソン「FREE」

プチ鹿島教養としてのプロレス

斉藤斎藤渡辺わたし

宮内さんは若い頃色々な本を読んだり音楽を聞いたり映画を見たりとひたすらインプットばかりしていて、その頃に自分でも音楽を作り始め何とかデビューを目指したもののなかなか結果が出ず。そこで一旦インプットをやめてテレビバラエティを見たり漫画を読んだりして、音楽も変に気負わず楽に作るようにしたらデビューが決まったそうなんですが、原田宗典エッセイ本はそのインプットをやめてた頃に読んだそうで。私も一時期ハマって読んでましたが、軽妙な文体とユルい内容でさくさく読めて面白いんですよね。宮内さんは今回紹介するにあたってまた読み直してみたらおじさんになった今の目線だとまた違う読後感があって良かったそうです。私もちょっと読み直してみたくなりましたね。

「リトル・フォレスト」はこれの映画音楽宮内さんが担当したとのことで。依頼を受けて原作を読んだら面白かったので快諾したのだそうです。この映画のために書き下ろしたという曲を続けて演奏してくれたのですが、とても美しい曲で映像が浮かぶようでした。

あと宮内さんは一時期ビジネス書にハマってかなりの量を読んだそうで、「FREE」はその頃読んだうちの1冊だそうで。無料という手段を使ってどう売り上げに繋げるかみたいな話で、実際宮内さんもフリー自分音源を配ったり、色々試みたそうです。結局たくさんビジネス書を読んでもあんまり変わらない、良い音楽を作るのが一番大事だと語っておりましたが、フリーで配布した音源を聞いて映画音楽の話が舞い込んだりしているのだから決して無駄ではなかったのでしょう。

宮内さんはプチ鹿島さんがマキタスポーツサンキュータツオ両氏とやっているラジオ東京ポッド許可局」を愛聴しているそうで、プチ鹿島さんの半信半疑物事を見る視点や、プロレスのようなグレーで曖昧もの面白がる姿勢共感を覚えるのだそうです。この「教養としてのプロレス」は世の出来事プロレスを通して解説する鹿島さんの語り口の面白さが味わえる1冊だそうで。私も東京ポッド許可局のリスナーなので何だか嬉しいセレクトでしたね。プロレスに明るくないのでこの本は未読だったんですが、読んでみようと思いました。

斉藤斎藤氏は歌人で「渡辺わたし」は彼の歌集なのですが、テレビで「変わった短歌を詠む人」として取り上げられてるのを見て興味を持ち、電子書籍で買ったら後日何故か紙の本が送られて来たそうで。この本の中から宮内さんの気に入った歌をいくつか選んで読んでくれたのですが、一回聞いただけだとよくわからない歌も宮内さんの「これはこういう状況でこういう気持ちを歌ったと思うんです」と解説が付くとみなさん「なるほど〜」と感心していて。私も短歌が好きなんですが、短い文章ゆえ読む側の読解力や感性も問われたりするのですよね。言葉の背景まで面白がる力や想像力必要というか。宮内さんの秀逸な解説を聞きながらこの人の短歌を読む感性考察力は素晴らしいなあと感心してしまいましたね。

宮内さんの音楽は主にインスト即興なのですが、ひとつひとつの音に対して「この音はこういう気持ちで鳴らしている」と向き合いながら演奏しているそうで、また同時に曖昧で答えのないグレーなもの面白がりながら演奏をするようにしているそうで、その姿勢が今回の本の紹介から垣間見えてとても興味深かったですね。インストながらもかなり言語的な思考で鳴らされているのだなと。インプットを一旦やめて気楽に音楽に向き合ったらデビュー出来たみたいな、発想の転換試行錯誤を経てここまで来たという話もそれこそビジネス書のそれみたいでトーク面白かったです。ぜひまたライブ体験したいなと思いました。

貸切り図書館、次回は5月7日ゲストに金佑龍さんを迎えてお送りします。そちらもぜひよろしくお願いしますということで。

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2017-03-16 草とten shoesの周辺

私の参加している新バンド「草とten shoes」の次回ライブが4月8日に予定されており、近頃はそれに向けあれやこれやと準備などをしています。今回は私の書いた新しい曲を演奏する予定なのですが、アレンジやらメンバーの演奏するフレーズやらを考えたり、リハでみんなの演奏をまとめたりと奮闘中です。等々力の巣巣にて4月7日から23日まで永井宏さんの作品展が行われるのですが、それのオープニングライブとして山田稔明さん、ヒックスヴィル中森泰弘さん、カーネーション直枝政広さんという豪華な面子が出演し、そこにしれっと前座として新人の草とten shoesも出るという、店主の特権をフルに活かしたブッキングなんですけどね。直枝さんは去年貸切り図書館でmolnに出演していただいたり、山田氏のバンド広島フェスに出演した時にご一緒したりと最近縁があるのですが、ライブで共演するのは各駅停車カーネーション対バンした時以来なので実に16年振りくらいでしょうか。中森さんとライブで共演するのも15年振りくらいかもしれません。先輩方の前座として勉強させていただこうと思っている次第です。前売りはすでに売り切れたのですが、そこにさらに追加ゲストとして生前永井さんとご縁のあった女優片桐はいりさんの出演も決まったそうで。店主岩崎さんの神ブッキングたるやです。ご予約をされた方はぜひ楽しみにしていただきたく思います。私もはいりさんと共演出来るのを楽しみにさらに練習せねばと思っているところです。

片桐はいりさんも出演とのことで、ボーカル担当する妻も気合いを入れて今回ボイトレなんぞを受けたりしたのですが、ボイトレを受けた次の日こそ絶好調に声が出てピッチも安定し、効果絶大や!と喜んだものの、その次の日にはまた元の状態に戻ってしまい、何だトレーニング効果は1日しか保たぬのかと叱咤しつつ練習しているのですが、取りあえず以前よりは格段にうまくなって来ているようです。もうライブも今回で3回目ですしね。岩崎さんも演奏を間違える度に「間違えちった!」とテヘペロ的な可愛い仕草のあと「でも大丈夫〜」と相変わらずのポジティブぶりを発揮しているので当日もきっと大丈夫なのでしょう。(大丈夫だと良いのですが。)安定のアユミさんは草tenだけでなくメインのステージでも山田氏たちと演奏するそうなのでこの日は大活躍です。当日はぜひ女子メンバーたちの活躍をぜひ見ていただきたく。

フロントに立つシンガーとしてもダイエット継続中の妻ですが、ストレスが溜まると物を食べてしまうきらいがあり、近頃はなかなか苦戦しているのです。「あれ、また太ったんじゃないか?」などと言うものなら「シャー!!」と凶暴猫の如く威嚇して来るので、注意を促すのも大変なんですけどね。この件に関しては山田氏がなぜか監視役を買って出ており、定期的に「おま、間食してないやろな?」「あれから体重増えてないやろな?」とラインが入り、「このままだとアラバマシェイクスみたいになるで!」とアラバマシェイクスの画像が送られて来たり、「キャ〜!」というおぞましい楳図かずおのスタンプが来たり(山田氏が楳図スタンプを多用するのは吉祥寺つながりなのでしょうか)、「ママス&パパスみたいになるで!」とママス&パパス画像が来たり(どちらのビジュアルもピンと来ない方は画像検索して下さい)、何かと注意をしてくれるのです(これをネタに遊んでいるだけという説もありますが)。私も「山田兄さんが監視してるで!」と日々呼びかけているのですが、油断すると隠れて間食に走るのであり。先日も気が付くとお徳用サイズポテチの袋を購入しおもむろに開封しボリボリ食べ出したので、「少しだけにしときや」と注意したものいつまでもポテチを摘むその手がブレーキの壊れた汽車の如く止まらぬので「いい加減もう終わりにしろ!」とポテチの袋を奪おうとすると「まだ食べるんだ!シャー!!」と威嚇してくるのであり。これに怯んだら負けだとばかりに私がポテチの袋を引き剥がそうとするも強力にくっ付いた磁石の如く、運命によって結ばれ永遠の愛を誓った恋人たちの如く離れないのであり。仕方なく私はミル坊を操作し「ほーら可愛いミル坊が甘えてるよ〜」と注意を逸らし、「わ、ミル坊〜」と妻が油断した隙に電光石火のスピードポテチをガバッと奪い取り「で〜い!!!!」と渾身の力を込めて遠くへ捨てやり、何とか間食の完食を防ぐ事に成功したんですけどね。斯様な事件山田氏に報告すると「おま、ライブの日は留守番な」「来なくていいからな」と突き放され、「え〜ん、すみません〜」と反省するという、そういう繰り返しを経ている我々なのです。そのやり取りを見ながら岩崎さんやアユミさんは「ガンバ!」などとスタンプを送ったり「歌うにはどっしりとした身体必要だし!」などと無責任ポジティブなことを言ったりするのであり。困ったものです。

そんな草tenと山田氏と豪華ゲストの繰り広げるステージ、ぜひ来られる方は楽しみにしていただきたく。よろしくお願いします。f:id:fishingwithjohn:20170317000204j:image