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2016-10-25 山田稔明バンドツアー記〜広島編

大阪から広島世羅町に移動してこの日は「ケ・セラ・セラワイン・アンド・ミュージック」というフェスに出演ということで、山田稔明バンド一行は朝8時半に会場である世羅町せら夢公園にインしまして。会場の公園はかなりの広さで駐車場スペースも広大で。車で園内にズンズン進んで行くとすでに広場に巨大なステージが組まれており、まさにフェス!といった様相になっていましたね。その手前に出演者の控え室としていくつかテントが張られていたのですが、よく見ると世羅町地元高校テントで。「90年度卒業生寄贈」などと書かれており、その地元協力な感じが良かったですね。ちょっと学園祭ぽい雰囲気もあり。

そんなテント内に荷物を運び、外でスタッフさんが用意してくれたコーヒーなど飲んでいたら雨がぽつぽつ落ちて来て。この日の天気は一日中曇ったり雨がパラついたり、かと思えば晴れ間が覗いたりと猫の目のようにくるくる変わり、読めなかったですね。我々は一番手だったので早々にリハを行ったのですが、結構風も強く、譜面が飛ばされないようクリップで止めたりと対策に追われました。今回のフェスでは気球に乗れるイベントがあったんですが、それも風のために中止になったらしく、屋外イベントは天気に左右されるなあと改めて実感した次第です。

そんな風に吹かれたリハを終えて前室で待っていると現在広島在住のカスタネッツケンイチロウ氏が遊びに来てくれたので「ご無沙汰ですね〜」と挨拶などしつつ、公式カメラマンの方にオフの様子を撮影などされつつ待っていたらいよいよ本番の時間と相成りまして。

いざステージに上がってみるとすっかり雨は止んで晴れ間が出ていて、絶好のフェス日和なのであり。リハの後「俺、晴れ男だから大丈夫っしょ!」と山田氏が得意げに言った直後にパラパラと雨が降り出した時はその神通力もここ世羅町では叶わぬのではと一瞬疑念がよぎったのですが、本番ではその晴れ男っぷりを遺憾なく発揮してくれました。出番が朝の11時半という何とも健康的なタイムスケジュールだったんですが、お客さんはすでに結構入場されていて。みな草の上にシートを敷いて座ったり寝そべったりしながら、何とも良い雰囲気でしたね。冒頭、私のベースの音量が突然大きくなるというトラブルもありつつ(別に私が目立ちたがり屋なわけではないのです、単にトラブルなのです)、最後まで気持ち良く演奏ができました。今回急きょ「どこへ向かうかを知らないならどの道を行っても同じこと」がリストに加えられたのですが、というのも旅立ちの前日にボブ・ディランノーベル文学賞受賞のニュースが舞い込んだからで、ディランオマージュである「どこへ向かうか〜」をやらない手はないということになったのですが、やる理由としてこの曲の歌詞内に「ケ・セラ・セラ」という単語が出て来るというのもあったのですね。何で今回のイベント名が歌詞に入ってる曲を前日まで忘れてたんやという向きもありますが、「その答えは、友達よ、風に吹かれている」ということなのでしょう。まあそんなこんなでこの曲を相応しいタイミングで演奏することが出来ました。最後の曲の「calendar song」を演奏しながら「ああ、まだこれから1時間半くらいは出来るのになあ、やりたいなあ」と、昨日2時間ステージを行った身としては短くも感じましたね。いやー楽しかったです。

本番後テントに戻ると地元のお母さんたちが出演者用にと美味しい料理をたくさん用意してくれていて。我々は出番を終えたのですでに打ち上げといった感じでその料理の数々を堪能させていただきました。世羅牛も美味しかったし、松茸ご飯も美味しかったですね。

その頃には他の出演者の方々も会場に到着しまして。カーネーションの直枝さんや嶺川貴子&Dustin Wongさんなど以前molnでの貸切り図書館に出ていただいた方々とも再会出来ました。こういう場所で会えるというのも嬉しいものですね。

ご飯を食べた後は普通にお客さんとしてフェスを楽しんだのですが、公園内をうろうろ歩いたり、出店を覗いたり、走り回る子供たちを眺めたり、音楽に身を任せたり、しみじみ「良いフェスやなあ〜」と思ってしまいましたね。

バンド編成のカーネーションは本当にロックで最高でしたし。「メテオ定食」「アダムスキー」の畳み掛けにはアガりました。鍵盤で参加のカメラ=万年筆佐藤氏のプレイも素晴らしかったですね。「EDO RIVER」を広島聴くというのも不思議な味わいがありました。

嶺川貴子&Dustin Wongさんも屋外で聴く気持ち良さ全開で。実に良かったですね。ギターとボイスと秋の風とちょうどパラパラと舞ってきた雨のハーモニーたっぷり堪能しました。ダスティンさんのナイスガイっぷりを声を大にしてアナウンスしたい私がいるのです。

高野寛さんはトリオ編成でのタイトな演奏が素晴らしかったですね。山田氏のカバーで初めて聴いた時に「何だこの名曲は!」と震えた「確かな光」も初めて生で聴けましたし。「虹の都」「夢の中で会えるでしょう」にもぐっと来ましたね。

トリの二階堂和美さんもまた素晴らしかったですね。空気を一瞬にして変えるその天性の歌声に心を掴まれました。全身を使っての渾身のパフォーマンス(時にはステージを飛び出してお客さんを巻き込んでの)を見ていると、もうこの人自身音楽というか、音楽が全身に憑依して発せられているかのような力を感じて感動してしまいましたね。(テニスコーツのさやさんと似たような音楽力を感じました。)夕方から夜になる時間帯もあって、どこか神秘的なステージでしたね。素晴らしかったです。

そんなお客さんとして楽しんでしまったフェスも無事終わりまして。そこから地元公民館のような場所へ移動して打ち上げとなりました。日帰りでそのまま帰られた方もいたんですが、残っていた出演者さん、スタッフさん大勢で打ち上がって楽しかったですね。カーネーション大田さんとイトケンさんが親しげにしていたので、何の繋がりなのか聞いたら2人のリズム隊あがた森魚さんのサポートをしていたそうで。そこで私も「実は私もあがたさんのサポートやってたんですよ!」と盛り上がり。それを横で聞いていた真里さんも「実は私もあがた森魚さんのサポートやったことあるんです」と告白して来て、みんなであがた森魚さんあるあるで盛り上がるという謎の展開がありました。今回の山田バンドのバックメンバーは全員あがた森魚経験者ということが世羅町で判明したのでした。その後も宴はカオスに盛り上がり、楽しかったですね。雨に降られて身体が冷えてたんですが、お酒と会話で温まりました。素晴らしい仕切りをしてくれた主催者さん、スタッフさんの働きには感謝しかありません。本当にありがとうございました

そして宿に戻る頃には土砂降りになっており、ライブ中降らなくて良かったと言いながら帰りまして。長い1日がようやく終わったのでした。ベッドに倒れ込むようにして眠りについたのは言うまでもありません。雨の音を聞きながら。


というわけで無事怒涛のツアーも終わりました。2日とも来てくれたお客さんもいたようでありがたかったですね。また機会があれば同行したく思った次第です。

ケ・セラ・セラツアー人生もなるようになるのです。f:id:fishingwithjohn:20161016092431j:image

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2016-10-24 山田稔明バンドツアー記〜大阪編

先日は山田稔明バンドツアーにメンバーとして同行し、大阪広島に行って参りました。前回のツアーの時はギター鍵盤ハーモニカでの参加だったんですが、今回はベースエビちゃんスケジュールの都合で参加出来ないとのことで、急きょ私がベースを弾くことになりまして。3年半ぶりのバンドツアーベースが私、ドラムイトケンさん、鍵盤が佐々木真里さんという4人編成での演奏旅行と相成りました。結論から言うとそりゃあもう楽しかったですね。大人修学旅行といった趣きで。

初日大阪に前乗りというスケジュールだったので、山田カーに4人乗り合わせて移動しまして。(私がインスタに「山田カー」と書いたらそれを「山田りきいち」と読み違えた方が複数いらっしゃったんですが、そんなどこぞの地方議員みたいな名前人物ではなく山田Carで高速を飛ばしたのです。)そんな山田Car内では高橋久美子さんがMCを務めるNHKの「ごごラジ!」から始まって、宇多田ヒカル海援隊薬師丸ひろ子坂本九DJ ymdのナイス選曲で車内は盛り上がり。海援隊を聞きながら私と山田氏は「金八先生のあのシリーズは良かった」「やっぱスタートラインが一番ええ曲やな」などドラマ目線で話しているのに、イトケンさんと真里さんは「この弦のアレンジは誰々さんかな」とか「このCDマスタリングいまいちだな」などと音響目線で話していて面白かったですね。あと薬師丸ひろ子を聞きながら全員昭和の良き時代を回想するムードになり、微妙に年齢差のある4人でも昭和歌謡曲キーワードに共有出来る感覚があるんだなあと思いましたね。今後薬師丸ひろ子を聞く度に今回のドライブを思い出すような気がします。そんな感じで途中休憩などしながら間食などしながら、山田カーは大阪に着きまして。

この日は男子チーム3人が相部屋だったんですが、ツインの部屋にベッドをもう1個無理矢理詰め込みましたみたいな間取りで、ベッド3台がぎゅうぎゅうに並んでいる部屋で寝る事になり。それはそれで寮みたいで楽しかったんですけどね。イトケンさんは急ぎの仕事があるらしく夜もPCを開いて作業をしているし、山田氏もロングドライブで疲れているはずなのに翌朝私が目が覚めたらすでにPCに向かって仕事をしているし(山田氏は何と朝風呂も堪能していたそう)、2人ともタフというか働き者だなと感心してしまった次第です。私はというと普通に飲んだくれて寝ていたんですけどね。

翌朝は関西芸人がたくさん出ている朝の情報番組で雑にボブ・ディランが弄られているのを眺めつつ、ホテルをチェックアウトし。車内で山田氏の参加しているトイレバンド音源を聞きながらこの日のライブ会場である雲州堂へ移動しまして。思えば3年半前のツアーの時もここでライブをしたので懐かしかったですね。担当楽器こそ違えどまた帰ってきたなという感じで。ここはステージが少し高いので独特な雰囲気があるんですよね。

この日は昼ライブだったんですが、気温もかなり上がって会場にも明るい陽が差し込んでおり。山田氏もMCで言っておりましたが、会場が午後の教室のようで、まるで学祭ライブをやっているような不思議気持ちでしたね。前半は夜の曲が多かったんですが、光に満ちた空間で聞く夜の曲というのもそれはそれで良かったんじゃないでしょうか。今回は新曲を3曲披露したのですが、うち1曲は吉祥寺テーマにした「吉祥寺ラプソディ」という曲で、バンド演奏での初披露舞台吉祥寺じゃなくてなぜか大阪と相成ったんですが、歌詞に描かれる吉祥寺光景大阪空気感が妙にマッチしていて良かったように思います。もう1曲の「ぼくのノート」という曲ではかなりぐいぐいと攻めたベースを弾いたんですが、客席のリアクションも良く、演奏していて楽しかったですね。終わった直後にもう1回演奏したかったくらいです。もう1曲は「Saturday Song」という曲で、歌詞に「車で海まで出かけようぜ」という男らしい言い回しが出て来るので私と真里さんで語尾の「〜ぜ」をさんざ弄ったら、その後のMCで「ノートを作ろうぜ!」などカブせて笑いを取っていたので山田氏さすがなりと思ったりした次第です。「みずいろ時代からもたくさんやったし、古い曲も織り交ぜてアンコールまで2時間強、充実の内容だったのではないでしょうか。たくさんのご来場をどうもありがとうございました。楽しかったぜ!(と、早速私もカブせてみる。)

今回は「物販で招き猫も持ってくれば」と山田氏に言われたのでいくつか持参したらたくさん買っていただき。ありがたかったですね。地元のお客さんたちとも色々交流出来て良かったです。(メンバー全員に差し入れで美味しいパンをいただいてしまいました。)また大阪に来たいなあと思ってしまいましたね。そして終演後は近くの商店街にあるお店でメンバーみんなでお好み焼きたこ焼きを食べて軽く打ち上がりまして。しばし関西の味を堪能いたしました。私だけビールを飲んでしまい申し訳なかったんですけどね。ホンマすまんでーという感じで。

その後は広島に向けて再びタフなロングドライブを開始しまして。今度の車内はDJ itokenによるDJタイム突入し。ピンクレディーなど昭和歌謡ドラえもんサザエさん宇野誠一郎やらバカラックやらを聞きながら移動しているうちに夜になり。夜の闇に街の灯りが浮かぶ光景を見ながら「あれ、光の葡萄じゃない?」などと言いつつ山田カー(notりきいち)はひた走り。後半はGOMES THE HITMANの「ripple」を最初から最後まで丸々聞きながら走ったのですが、夜のドライブにぴったりでしみじみと染み入りましたね。このアルバムの発表された後くらいに山田氏とイトケンさんと私と3人で高田渡トリビュートアルバムに参加したんだよなあなどと回想しつつ。もうそれが10年前だというのだから早いものです。それから時を経て今一緒に旅をしているというのも何かの縁なのかしらと思いつつ。

そんなこんなしているうちに明日ライブ会場である広島世羅町に到着しまして。街灯も少なく対向車も少なく、大阪繁華街とのギャップ遠くへ来たんだなあという実感が湧きましたね。宿の近くの居酒屋食事をしたんですが、隣のテーブル明日フェスで共演するバンドの方がいたり、徐々にチームもフェス気分へと移行していきました。

この日の宿はペンションのような風情の平屋の建物で、昨日のベッド3台ぎゅうぎゅう部屋とうってかわってメンバーひとりずつにツインの部屋という素敵な部屋割りで。部屋に入ったらもう爆睡でしたね。昼間に大阪ライブをしていたのに夜には広島にいるという不思議感覚を味わいつつ。車内から見える風景や流れる音楽を共有しながらの旅というのも良いものだなとドライブを思い返しながら眠りにつきました。

明日は朝8時半会場入りというこれまた長い一日確定のスケジュールで。ツアーは続くのです。翌日はフェス出演なのです。f:id:fishingwithjohn:20161014164553j:image

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ミューミューミューミュー 2016/10/25 14:18 ここで リキイチ がでてくるとは!
やられた!

fishingwithjohnfishingwithjohn 2016/10/25 18:33 リキイチネタ、いただきましたよ(笑)

2016-09-11 たまにはさかさまに世界を見てみる 貸切り図書館36冊目

先日は恒例のイベント「貸切り図書館」の36回目を、ゲストカーネーション直枝政広さんをお迎えしてお送りしました。たくさんのご来場をどうもありがとうございました。直枝さんが本についてじっくり語る機会もあまりないと思われるので、貴重な一夜になったのではないかと思います。

前日も江ノ島ライブだったという直枝さんですが、打ち上げの後に朝まで大谷能生さんとカラオケをしていたそうで、それでも「いやー、さっき円覚寺に行って来てね」ときちんと鎌倉を散策してから会場入りされたとのことで、タフだなあと感心してしまいましたね。リハーサルでも全然疲れも見せず張りのある声で歌われて、この声カラオケボックスで独占していた大谷さんが羨ましいなと思ってしまった私です。リハ中、直枝さんから「なぜに貸切り図書館というタイトルで本を紹介するイベントなの?」と尋ねられたので「通常のライブに何かもう1個違う要素を乗せたいと思った時に、店主が元図書館司書本が好きというのもあって、本を紹介してもらう内容になったんです」と応えると「おお、なるほど!」と合点がいったようで、実際本番ではこのイベント趣旨に沿ったステージを展開してくれました。

そんな本番は「やるせなく果てしなく」からスタートしまして。個人的に聴きたいと思っていた曲なので冒頭からグッと来てしまいましたね。直枝さんはアコギを繊細に爪弾き、時には激しくかき鳴らし、それぞれの曲の表情をギター1本で巧みに表現していて、改めて素晴らしいギタリストだなと感心してしまいました。ストロークの際にギターのボディにピックがカチカチ当たる音が生々しく響き、これぞ小さな会場で間近で聴く醍醐味だなと思いましたね。そのギターに乗る直枝さんの艶のある渋い歌声がまた切なくかっこよく果てしなく。特に「ANGEL」の熱唱には泣かされました。「いつかここで会いましょう」や「アダムスキー」など新譜からの曲もたくさん聴けて良かったです。(「アダムスキー」はすでにライブでは大人気曲なんですね。)ニール・ヤングカバーにも痺れました。後で聞いたらDJのようにその場で選曲しながら歌っていたそうで、「本のトークと選曲もしなきゃいけないし大変だった」とのことでした。

ちなみに私がカーネーションを聴くきっかけになったのは、20年くらい前、当時各駅停車というバンドをやっていた時にドラマー横山さんから「五十嵐くん、これ良いから聴いてみて」と彼が編集したカーネーション私的ベストカセットを貰ったところからなんですが、この日はその横山さんも会場に見に来ていて、そのカセットに入っていた「1/2のミッドサマー」「市民プール」を一緒に生で聴けて何だか感慨深かったですね。実は15年くらい前に各駅停車カーネーションは一度対バンもしたことがあるんですが、楽屋カーネーションの面々を目前にして緊張してひと言も喋れなかった我々なので、当然直枝さんは「え、ライブで共演したことあるんだっけ?」と覚えてませんでしたけどね。当時カーネーションギタリストだった鳥羽修さんに1曲プロデュースしていただいた縁での共演だったんですが、あれほど緊張したライブはなかったように思います。そんな過去の思い出も加味されてついしみじみ聴き入ってしまいました。素晴らしい歌と演奏でした。

そして本の紹介のくだりですが、直枝さんのセレクトは以下のラインナップでした。

芥川龍之介著「トロッコ

アンドレイ・タルコフスキー著「ストーカー

上林暁著「花の精」(上林暁傑作小説集「星を撒いた街」所収)

平野威馬雄著「お化けの本」

岡本かの子著「渾沌未分」(「岡本かの子全集」所収)

深沢七郎

「言わなければよかったのに日記

「秘儀」(「みちのく人形たち」所収)

青柳瑞穂著「ささやかな日本発掘」

小林秀雄 講演「信ずることと考えること」(カセットテープ

水木しげる著「悪魔くん千年王国

ゲオルゲ詩集

サム・シェパード著「ローリングサンダー航海日誌 ディランが街にやってきた」

高見順著「敗戦日記

小津安二郎著「小津安二郎全日記」

さらに持参して来たものの、紹介し切れなかったものがこちらです。

三島由紀夫著「美しい星」(この日molnの隣の古本屋で購入したもの)

海猫沢めろん著「全滅脳フューチャー!」

宮脇俊三著「終着駅へ行ってきます」

オムニバスアルバム「陽気な若き博物館員たち」収録の「トロッコ」という直枝さんソロ名義の楽曲は、元々はアンドレイ・タルコフスキー監督の「ストーカー」という映画を見た時に「トロッコ」というキーワードが浮かんで作り始めたそうなんですが、結局出来たのは子供の頃に読んで好きになった芥川龍之介版の「トロッコ」に近いものになったそうで、その芥川の「トロッコ」の一節を朗読してくれました。(直枝さんの朗読はどこか無骨ながら味があって素敵でした。)その後「トロッコ」も歌ってくれたのですが、この曲は「EDO RIVER」とコード進行が全く一緒だそうで(笑)、すべてはトロッコから始まったと笑いながら語ってくれました。

上林暁の「花の精」は昔国語教科書に載っていたものを読んで感動し、その後古本屋で再会した作品なんだそうですが、そのあまりに美しい文章ゆえに一度全文を自ら書き取りし、身体に取り入れたことがあるという話には驚きましたね。曲を完コピするのと同じような感覚なのでしょうか。さらには好きが高じてこの小説サントラまで勝手に作ってしまったそうで、直枝さんにそこまでさせる文章とあれば読まねばなるまいと思った次第です。本当はこの日そのサントラCDも持参して来てくれたのですが、再生する機材がなくて流せなかったのが残念でした。(これは次回のお楽しみに取っておくということでぜひ。)ちなみに山本精一さんも教科書でこの「花の精」を読んで好きになったそうで、後に直枝さんとその話で盛り上がったそうです。この世代の国語教科書グッジョブだなと思った次第です。私もセンター試験の問題に出て来た三好達治文章に惹かれてその後全文を読んだ経験がありますが、教科書試験もたまには役に立つものです。この「花の精」の一節も朗読してくれたのですが、駅の描写に合わせて外から電車の音が聞こえ、臨場感がありましたね。

平野威馬雄さんは平野レミさんのお父さんだそうで(ということはトライセラ和田氏のおじいさん)、直枝さんと同じ松戸在住ということで親近感を持ってよくテレビで見ていたそうです。直枝さんもお化けとかUFOとかに興味があるそうで、本番前にもmoln近くでとても星とは思えない不思議な光が見えたと大騒ぎしていたのですが、その後星座表で確認したらそこにあるべき星を確認して「なーんだ」と思ったというオチを後で語ってくれました(笑)

岡本かの子さんは岡本太郎のお母さんだそうで、この「渾沌未分」という小説の文体は今読んでも全然古くなく、当時の東京の懐かしい光景も伺え、とても良い作品だと絶賛されていました。荒川放水路舞台にした水泳監視員の話だそうですが、無心になって人が泳ぐ姿というのは絵になるし、作品になりやすいというようなことを語っておりましたね。ネットで少し本文を読みましたが、確かに水中の描写がとても上品かつ官能的で、直枝さんが「完璧」と評するのもわかるなと思いましたね。直枝さん曰く岡本かの子作品はブックオフなどで全集が108円で買えたりするのでお勧めとのことでした。

深沢七郎の本はその語り口が好きでよく読んでいるそうで、「言わなければよかったのに日記」内の正宗白鳥と七郎の会話のくだり(壷井栄銀座で見かけたが知らなかったという話)を紹介してくれました。小説「秘儀」に関しては直枝さんのストーリーの紹介の仕方が巧く、思わず続きを読んでみたくなりましたね。「人形の裏側を見てみるとそこには…」というような語り口で。日常なかにふと紛れている非日常物語が生まれるという話が興味深かったです。後で直枝さんに「深沢七郎ギターアルバムも良いですよね」という話をしたら、「あれのアナログ盤をずっと探しているんだよね」とのことでした。どこかで見かけた方はぜひ直枝さんに知らせてあげて下さい(笑)

青柳瑞穂さんは仏文学者で、この「ささやかな日本発掘」は日本全国各地で出会った骨董民藝についての随筆だそうで、杉並の古道具屋で尾形光琳肖像画発見したという驚愕のエピソードも書かれているそうです。私もよく何かお宝がないかと地方骨董のお店やリサイクルショップ古本屋などを眺めるのが好きなので、ちょっと読んでみたくなりましたね。

小林秀雄の「信ずることと考えること」は彼の講演を収めたカセットテープとのことでしたが、現在はその音源もCD化されているそうです。この講演で語られている「民俗学者柳田國男が真昼に星を見た話」というエピソードを紹介してくれました。柳田國男少年だった頃に近所のおばあさんのほこらに侵入し、そこにあったご神体とされる蝋石を手に取った瞬間に突然興奮状態になり、空を見上げたら昼間なのに無数の星が見え、そこから心神喪失になりしばし記憶が途切れたという、有名な逸話があるのだそうで。こういう科学で説明出来ない話がたくさんあるということを小林秀雄は講演で熱弁しているのだそうです。先ほどのお化けやUFOの話ともリンクしますが、直枝さんはそういう不思議なことも現実に起こり得るし、ものの見方はひとつではないという意識を常に持っているのだそうです。そういう視線が「EDO RIVER」の歌詞の「たまにはさかさまに世界をみてみよう」の一節にも現れているのかなと思いました。深沢七郎の「秘儀」の人形の裏側を見てみるなんてのもまさにそうですしね。

直枝さんは漫画では「悪魔くん」が好きだそうで、この日持って来ていた譜面を入れるファイル悪魔くん仕様でしたね。「みなさん漫画だと何を読むんですか?」と直枝さんは突然お客さんにアンケートを取り始め、「こち亀」とか「ガラスの仮面」とか具体的に挙がると「ああ、面白いですよね」と同意していて、直枝さんも意外に有名漫画も読んでいるんだなと思いました。

ゲオルゲ詩集レコーディング作詞の時期になると常に近くに置いている本だそうで、作業に煮詰まったりするとぱっと見開いたりして言葉を引き出すヒントにしているのだそうです。偶然古本屋で手に取り、字面が気に入って買ったのだそうですが、直枝さんの作詞のヒント本となれば気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

サム・シェパードの本はボブ・ディランが70年代半ばにローリングサンダーレビューとしてトラックで全米をツアーして回る様子が書かれている旅の記録ですが、直枝さんはこの頃のディランが大好きなのだそうで。「激しい雨」やブートレッグシリーズでこの頃の音源が聴けますが、これを読みながら聴くとより当時の空気がわかり楽しめるのではないでしょうか。この様子を記録した映画現在も未ソフト化の「レナルド&クララ」もいつかは見てみたいものです。

あと直枝さんは日記文学が大好きだそうで、他人がどんな生活を送っているか垣間見るだけでも何かしらのヒントや出会いが得られるのではないかとつい読んでしまうそうです。筒井康隆日記なども面白いのだそうですが、今回は文士が戦争中に何を考えていたのか興味があって読んだという高見順の「敗戦日記」を勧めてくれました。(高見順はそれこそ鎌倉の人なのだそうです。)あとライブ前に円覚寺へ立ち寄った際に小津安二郎のお墓も参って来たそうで、「小津安二郎全日記」という小津監督日記本をずっと探しているという話をしておりました。前に見付けた時は書き込みが酷くて断念したのだそうです。どこかで見かけた方はぜひ直枝さんに知らせてあげて下さい(笑)。直枝さん自身もどこかのタイミングで日記を再開したいと語っておりましたが、ぜひこれを機会にまた書いて欲しいなと思いましたね。直枝さんの日記が誰かのヒントや出会いに繋がることも間違いなくあるでしょうし。

今回は本の紹介の他にも岩井俊二監督の「花とアリス殺人事件」の何も起こらない日常光景表現の素晴らしさについてや、自身の創作への姿勢なども語ったりしてくれて、色々興味深い話をたくさん聴けましたね。昔は自作に対しての他人の批評レビューなどが気になったけど今は自信があるから気にしないし見ないし、自分表現をこれからどう広げて行こうか夢がある、などという熱い話にはグッと来ました。キャリア30数年のベテランの話す「夢がある」のかっこよさよ。直枝さん曰く「本は積んでおくだけでも意味がある」そうで、今回気になった本がある方はぜひ入手してみては如何でしょうか。そして直枝さんの欲しいブツを見かけた方はぜひ知らせてあげて下さい(笑)

この日はご近所カフェ、ディモンシュさんでたまたまヒックスヴィルライブもあり、終演後は両者合同で打ち上げを行いまして。鎌倉に豪華な面子が集う特別な一夜となりました。ゴメス山田稔明氏だけが唯一両方の会場を行き来して見てましたが(笑)、どちらも見たいというお客さんも多かったのではないでしょうか。私がフィッシュマンズ、妻が小沢健二さんのライブでついこの間ギターの木暮さんの勇姿を見たばかりで、「見ましたよ!」と木暮さんに別々なライブ感想を報告し合うという光景が繰り広げられました(笑)。直枝さんとヒックスヴィルのメンバーが揃うレアな様子に密かに興奮してしまった私です。

貸切り図書館、次回は10月10日に優河さんをお迎えしてお送りします。そちらもぜひお楽しみにということで。

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2016-09-03 夏の出口、海辺の音 高橋徹也ライブ

先日はmolnにて催された高橋徹也さんのワンマンライブ「海へ行こうよ」にたくさんのご来場をどうもありがとうございました。今回も私は数曲ゲストという形でギターで参加させていただきました。タカテツさんもmolnではすでに何回もライブをやっているので、リハの段階からホームのようなリラックスした雰囲気で進み。本番もまるで彼の部屋で聞いているかのような親密な空間になっていたと思います。とても良いライブでした。

前回ゲストで参加した時はライブ直前に譜面メールで受け取り、しかもそれが譜面写真で撮ったとおぼしきもので、光の反射でコード名がよく見えないという状況の中何とか曲をさらい、いざ本番前のリハで確かめようと思ったら「まあ本番で何とかなるんじゃないすか」とほとんどリハをしないという謎のプレイ(?)によりほぼぶっつけだったんですが、今回は事前に譜面いただきリハも出来たので個人的には良かったですね。(しかし曲順などは知らされないまま本番始まっちゃいましたが。)今回「夏の出口」という曲を一緒に演奏したのですが、ちょうど時期的にも夏の終わりが感じられる頃でマッチしていたのではないかと思います。この曲、コードを弾いているだけで「わ、タカテツワールドだな」という独特の妖しさと美しさで、一緒に音を添えられて嬉しかったです。途中E-BOWなど使ったり色々試してしまいました。この歌詞に出て来る「きょうだい」は兄と妹の兄妹ではないか?という話をしたら「いやーそこまで考えてなかったですね」とのことでしたが、歌詞カード表記が何であれ私の中では兄妹というイメージになっているので、それはそれで良いのではないかと思ったりした次第です。この夏よく材木座の夕暮れの海を見に行っていたのですが、海辺を走る幼い子供たちを見る度にこの曲を思い出しておりました。他にも「My Favorite Girl」「夜のとばりで会いましょう」「いつだってさよなら」の全4曲をセッションしました。「いつだってさよなら」の奇妙で切ない歌詞について本番で詳しく聞こうと思っていたのですが、この奇妙で切ない曲がラストアンコール曲で、トークする間がなかったのが少々残念でしたね。しかし「五十嵐さんのギター良かったですねえ!」とタカテツさんご本人に喜んでいただけたのが何よりでした。楽しいセッションでした。

この日のタカテツさんは曲が終わるごとにMCを挟み、いつもよりトークゾーンが多いなという印象でしたが、客席の受けも良く全体冴えていましたね。私が散髪ネタを喋ったら「いやー、女性に髪を洗ってもらうのは興奮しますね」という謎の喜びポイントを語ったり、某広告代理店への謎の偏見を主張したり、独特のタカテツトークにみなさんニヤリとされておりました。この日は普段やらない曲を演奏したり、新曲即興披露したり、いつもとはまた違ったステージになっていて面白かったですね。バンドセットのタカテツさんも勿論かっこよくて最高なんですが、こういう狭い空間での弾き語りで滲み出る魅力というのも確実にあるよなあと再確認した次第です。タカテツさんの曲は海をモチーフにしたものが多く、今回特にものが印象に残ったのですが、彼の歌とギターを聞いていると海をゆらゆらと漂っているかのような感覚を覚えるのですよね。海辺の街でこのようなライブを味わえてお客さんも喜んでくれたのではないでしょうか。

終演後、近くのお店で軽く食事したのですが、「打ち上げホットコーヒーを飲む」でお馴染みのタカテツさんは安定のブラックコーヒー片手にしょっぱい酒のつまみを食べておりました。「そういえばこの近所にゴジラ上陸していましたね」などとシン・ゴジラの話などしつつ。終始楽しい雰囲気で終えられて良かったです。

次回のmolnでのライブイベントは9月4日、貸切り図書館36冊目、カーネーション直枝政広さんをお迎えしてお送りします。そちらもぜひよろしくお願いしますということで。


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2016-07-29 図鑑と絵本 貸切り図書館35冊目

先日は恒例のイベント「貸切り図書館」の記念すべき35回目を、ゲスト久住昌之さんをお迎えしてお送りしました。ドラマ化されたり海外でも翻訳されたりと大人気の「孤独のグルメ」の原作者であり、ドラマテーマソング劇伴自身で手がけるミュージシャンでもある久住さんの登場ということで、遠方からたくさんのお客さんにご来場いただきました。本当にありがとうございました

当日会場入りされた久住さんは前の日もライブだったそうで、リハもほんのセッティングする程度で、あとは我々と今回サックスで参加のフクムラサトシさんと談笑しているうちに開場時間になりまして。入場して来るお客さんは楽屋にいるでもなく普通に会場にいる久住さんを見て驚いた様子で、中でも岐阜から来たという2人組の女性は「わ、本物の久住さんだっ!」とテンション上がりまくっていて面白かったですね。あとみなさん各々久住さんの著書を持参して来ており。「サインして下さいー」と開演前からすでにプチサイン会が開催されておりました。「花のズボラ飯」など「孤独のグルメ」以外の本を持って来ている方もいて、久住作品は愛されているなと思いましたね。

そんな中いよいよライブが始まりまして。1曲目から孤独のグルメ」のテーマ曲披露してくれたのですが、お馴染みのイントロが流れて来た時点で客席から「きゃあ〜」という悲鳴にも似た歓声が上がり。思わずリコーダーを吹いていたフクムラさんも「え、このイントロだけで?」と笑いながら戸惑っておりました。私も聞いていて「うわ、ドラマで流れてるのと同じだ!」とテンション上がりつつ、腹が減るという謎の現象が起こりましたね。(視聴者はあれを聞くだけで美味しそうなご飯をイメージしてしまうのです。)お馴染みの「ゴロ〜!」「イノガシラッ!」というフレーズも客席のみなさんで合唱し、いきなりの大盛り上がりでした。あのテーマ曲久住さんがコード進行を考えてフクムラさんに伝え、それを元にメロディを何種類かフクムラさんが事前に作ったそうなのですが、レコーディング当日にシャワーを浴びながら急に思いついたフレーズが結局採用になったそうです。シーズンから5まで全部微妙バージョンが違うということで、その場で全種類演奏してくれました。フクムラさんの巧みな演奏が素晴らしかったですね。

そして本の紹介のくだりでは久住さんのルーツとなった2冊についてトークをじっくり聴かせてくれまして。

まず紹介してくれたのは平凡社出版の「絵本百科」という本で。これは久住さんが幼少の頃お母さんが買ってくれたもので、値段が5巻セットで4000円という、当時としてはかなり高価なものだったそうですが、お母さんはわざわざローンを組んで買ったのだそうです。これを久住少年は気に入って熟読し、今でも読み返しているというのだから4000円以上の価値があったということでしょう。ちなみに5冊のうち3冊は久住さん、2冊は弟さんで作家久住卓也さんが所有しているそうで、1冊多いのは兄の威厳によるものだそうです(笑)。ただ久住さんが持っていない方の2冊を見たい時はわざわざ卓也さんの家を訪ねるのだそうで、兄弟仲の良さが伝わるエピソードだなと思いました。この本は図鑑なので世の中の森羅万象のことが載っているのですが、いきなり「アイヌから始まるというトリッキーな内容で、「アリ」だけで見開き使ったと思ったら魚全般を「ウオ」でまとめちゃうという大胆な編集で、久住さんはそのページを見せながら「何でウオなんだ、普通サカナだろう!さっきアリだけで見開き贅沢に使ったのに何で魚はぎゅっとまとめちゃうんだ!」などとツッコミを入れて笑いを取っておりました。このトークの妙味はいとうせいこうさんとみうらじゅんさんのスライドショー彷彿とさせ、ガロイズムを感じましたね。その後も絶妙図鑑イジりで会場を沸かせておりました。久住さん曰く、この図鑑の絵がまたかなりリアルで、およそ子供向きに作られていないのが良いとのことで。久住さんは子供用とか、どこか特定の層に合わせた感じで作られたものが好きじゃないそうで、子供子供なりに難解なものリアルものも受け取るものだし、自分もそうして来たのだそうです。確かに久住さんの作品受け手感性を信用するというか、特別誰に向けてというわけでなく自分面白いと思った独自世界プレゼンし続けている印象を受けますよね。漫画家、文筆家、イラストレーター音楽家など様々な肩書きを持つ久住さんですが、どれも全部自分仕事だと思っていて、自分面白いと思ったことは全部やりたいのだそうで、その根本にあるのはこの森羅万象を詰め込んだ何でもありの図鑑にあるのではないかと、ご自身創作活動ルーツについて語ってくれました。図鑑だけでここまで広がるのかとその話術にもすっかり引き込まれてしまいましたね。

途中「孤独のグルメ」についても話してくれたのですが、20年前に最初単行本が出た時は三刷りくらいで絶版になり、それほど売れなかったそうなのですが、文庫本になってからじわりじわりと売れ出したそうで。その後ネットで「五郎ちゃんごっこ」をする人が出現したり(原作に出てくる店に実際足を運んで同じものを頼んで同じ台詞を言う遊び)、幅広い人にも浸透して行ったのだそうです。ドラマ化の話は実は10年前からあったそうで、毎回会議にかけては落ちていたものがこちらも時間をかけて実現したのだそうで。ドラマ化されて久住さんが気にかけていたのは、モデルになったお店に視聴者殺到迷惑をかけるのではないかとのことでしたが、お店の人曰く確かに放送後お客さんは殺到したけれど、みんな一様に静かで行儀が良かったのだそうです。それはドラマ内で五郎さんが静かで行儀が良かったからでしょう。久住さんはそこに一番ほっとしたそうです。(お客さんはみな各々五郎ちゃんごっこに興じていたのでしょう。)ちなみに五郎さんが一度にたくさん食べるのは、久住さん自身が少食であるところからの憧れの表れだと後で話してくれました。あの細い体で3人前くらい食べますもんね。

そしてもう1冊は、バージニアリー・バートン著、石井桃子訳「せいめいのれきし」という絵本を紹介してくれまして。この本も久住さんが幼少の頃お母さんが新聞書評を見て買ってくれたそうで、当時の実物は弟の卓也さんが所有しているそうです。(久住さんは後で買い直したそう。)この本はタイトル通り、地球が生まれから、今この瞬間までの長い長い命のリレーを、劇場仕立てで壮大に物語ったもので、構成から装丁、絵の1枚1枚にまで細かい仕掛けが施されており、作者はこれを仕上げるのに10年かかったそうです。久住さんは最初自分の興味ある恐竜のページばかり見たり、文章を読み飛ばしたりしていたそうですが、何度も読んでいるうちに細部の面白さに気付き、最終的にこれがもの凄い作品だと理解するのにそれこそ10年かかったそうです。それだけ時間をかけて理解をする読書体験というものも有りだし、それを可能にする本作品は素晴らしいと絶賛されておりました。確かに久住さんの解説を聞いているとかなりの作り込まれ方なのがわかり、これは読んでみたいなと思いましたね。子供にはぱっと見理解出来ないものでも興味を惹かれたり、何度か読んでいるうちにわかってきたりするものだという、これも先ほどの「絵本百科」に通ずるものがあり、久住さんの表現方法に多大なる影響を与えたのだなとわかりました。

それこそ久住さんもご自身の息子さんに少々難しいかもと思いつつ「ロード・オブ・ザ・リング」の原作を読ませたことがあるそうなんですが、それなりに興味を持って読んだのだそうです。後で久住さんもその本を読んでみたところ、翻訳がとてもユニーク言葉使いで面白く、誰かと調べたら瀬田貞二さんという児童文学作家の方だったそうで。その後、先ほどの「絵本百科」について原稿を書く機会があり、詳細をよくよく調べてみたらこ図鑑の監修を手掛けたのがその瀬田貞二さんご本人だったそうで、驚くと同時に自分面白いと思う基準が変わってないことを確認したそうです。ちなみにその瀬田貞二さんは「せいめいのれきし」の翻訳をした石井桃子さんとも合流があったそうで、久住さんのルーツ瀬田さんありというのがよくわかりました。後々自分の好きなものが繋がる喜びというのはあるよなあと思いましたね。

今回はトークに重きを置いた貸切り図書館になりましたが、こういうのも面白いなと思いましたね。久住さんと言えばのラーメン屋江ぐちの話も聞けましたし。(江ぐちソングも歌ってくれました。)終演後は今度はCDへのサイン会写真撮影会となり、お客さんも喜んでおられました。残っていた方々と軽くビールなど飲みつつ談笑したりして最後まで盛り上がりましたね。ぜひまた楽しいトークをしに来ていただきたいなと思った次第です。

そんな貸切り図書館、次回はカーネーション直枝政広さんをゲストに迎えてお送りします。そちらもぜひよろしくお願いしますということで。f:id:fishingwithjohn:20160718173705j:image

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