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2017-05-20 猫町に奏でる 夜の科学in下北沢-rhapsody in tricolor

もう先月のことですが、下北沢風知空知で行われた山田稔明with夜の科学オーケストラライブ、ご来場下さった方々どうもありがとうございました。この日は山田氏の新刊エッセイ猫町ラプソディ」刊行記念ライブということでしたが、我々演者にとっては丸々ライブを録音するというレコーディングの日でもあり、いつもと違った緊張感に包まれた特別ステージとなりました。

録音をするということでこの日はリハからバタバタで。全員で機材を搬入し、やれアンプをどこに配置するか誰がどこに立つかパズルのように位置を決め、自身演者としてステージに上がる上野さんがエンジニアとしてマイクなどを立て、まさに手作りといった感じでステージが組まれて行きました。この日のシークレットゲストである近藤研二さんもリハから参加しまして。全員が近くに集まって弱音で演奏するとリハスタ演奏してるみたいで環境としてはやりやすかったですけどね。これで録音してなければ緊張せず存分に楽しめるのになあとちょっと思ってしまった私です(笑)。リハ後少しだけ時間があったので「行けるかも!」と思いディスクユニオンでレコを探ったりなどして(緊張をほぐす意味もあるのです)、早めに会場に戻ろうとしたら同じくディスクユニオンに向かおうとしている安宅さんとすれ違うという、レコ好きあるあるがあったりなどしていざ本番を迎えまして。

満員御礼のこの日は「どこへ向かうかを知らないならどの道を行っても同じこと」から始まりまして。去年のツアーでもこの曲やったなと回想しながら演奏しました。この日のメンバーは山田氏のソロ初期を支えた顔ぶれで、セットリストも初期の曲が割と多めで当時のことをふと思い出したりする場面がありましたね。「home sweet home」とか「glenville」とか私が初めて参加した時にも演奏した曲ですし。私は途中参加だったのでこんな凄いバンドに参加出来て嬉しいという気持ちと、自分が足を引っ張っていたら申し訳ないという気持ちと両方ありましたけどね。(まあ今もその気持ち継続中ですが。)でも楽しいという気持ちが毎回強いので、お客さんも同じように感じてくれるのではないでしょうか。ライブ中は緊張しながらもずっと楽しかったです。古い曲ばかりでなく新しい曲もたくさんやれましたし。草とten shoesでもカバーしている「小さな巣をつくるように暮らすこと」は「本家はこんなコード進行だったのか」と思いながら演奏しましたけどね。山田氏がライブでこの曲を弾き語りしている動画抜粋を見ながら勝手にアレンジしたのでさもありなんですが。

中盤ゲスト近藤さんが登場した時は客席からどよめきが起き。前回は会場のボードに「シークレットゲスト近藤研二」と書かれてしまい、全然シークレットじゃないじゃん状態だったそうですが、今回はリハ後も外に出ず存在を極秘にしていたので(笑)サプライズ成功しておりました。「ポチの子守唄」の時は間違えてはいけないと譜面凝視していたのでそれほどでもなかったですが、「日向の猫」の時は闘病中の近藤家のモイちゃんのことや山田家の亡くなったポチのこと、自分の家のミル坊のことなど周辺の猫たちへの思いが溢れてしまい、近藤さんの爪弾くイントロ聴くだけで泣きそうになってしまいこらえるのが大変でした。それこそ「猫町ラプソディ」には近藤さんイトケンさん、亡くなったきょうこさんのことも書かれていて、ページを開く度にこの曲を聞く度に猫にまつわる人たちや物ごとを思い出すのだろうなとしみじみ思った次第です。久々の「猫町オーケストラ」もそうですが、猫好きにとっては猫の歌は演奏していてもぐっと来るのです。

最後序盤に演奏した「home sweet home」をもう一度演奏し直す機会があったのですが、あろうことか2度目の方で私がコードを間違えるという痛恨のミスがあり、「出来れば1度目のテイクを使ってくれ〜い」とライス土下座ネタの如きテンション懇願に至ったのですが、もう本当に山に籠って修行し直すしかないと決意しましたね。下界に降りられぬよう片眉を剃った状態で。まあ本番では俺はミスなどしていないという涼しい顔で最後まで楽しく演奏し切りましたけどね(笑)。実際楽しかったですし。

この日の演奏がどれだけ使われるのかわかりませんが、夏に発売になるであろう山田氏のライブ盤に収録される模様です。後でこの日のラフミックスを聴かせてもらったのですが、何よりメインの山田氏の歌唱が良いしバンド雰囲気も良いので、自分プレイはさておき「うん、いいじゃんいいじゃん〜」と岩崎さんの如きテンションで思った私です。ぜひリリースを楽しみにしていただきたく。お願いしますということで。f:id:fishingwithjohn:20170520214147j:image

2017-05-19 それぞれの暮らし 貸切り図書館45冊目

先日は恒例のイベント「貸切り図書館」の45回目を我々fishing with johnと、ゲスト大森元気さんを迎えツーマンでお送りしました。たくさんのご来場をありがとうございました。大森さんが最近北鎌倉引っ越して来てご近所さんになったというのもあり今回の共演に至ったんですが、終始和やかな雰囲気楽しい一夜となりました。

fwjはライブ自体久々だったんですが、今回はカルテット編成でライブに臨みまして。何しろ久々過ぎて昔の曲も新しめの曲もメンバー全員ほぼ忘れているという状況だったんですが、それを「確かこう演奏してた気がする」「こんな構成だったに違いない」などとフル回転で思い出しながら新たにアレンジを加えながら本番までに仕上げたんですけどね。セットリストは以下のようになりました。

1、タンスマウンテン

2、一人二役スキップ

3、夏でもなく秋でもなく

4、ジャングルジムで鯨釣り

5、歩けリリー

6、サイクル曜日

7、読みかけの夏

今回弦楽器アンサンブルをどう聴かせるかあれこれ考える上で、ギターひじきさんとベース鎌田さんにはかなり力になってもらい。さらメロディ担当のあぐちゃんにも複数楽器演奏してもらい少人数での楽曲再現に臨みました。鎌田さんがコントラバスで弓を駆使したのもあるのか「それこそ(ドラマの)カルテットみたいだった」とか「オーケストラみたいだった」などと感想いただき励みになった次第です。衣装も「カルテットぽい」という理由で白に統一したんですけどね。私がMCボケても誰もツッコミを入れないという様子に「五十嵐さんのボケスルーされるの恒例なんですか」と質問されましたが(笑)、つっこまれたり放っておかれたりというユルい空気が持ち味なのです。久々の合奏は単純に楽しかったですね。

本の紹介では私は3冊、メンバーも1冊ずつ紹介しました。私の挙げたのは以下の作品です。

保坂和志「猫と散歩道」

小泉今日子黄色マンション 黒い猫」

山田稔明猫町ラプソディ」

猫縛りの3冊という感じでしたが、保坂さんは鎌倉出身作家鎌倉舞台にした小説も書いているし、このエッセイ本にも鎌倉のことが書かれているので紹介しました。鎌倉と猫という共通点もあり、以前にも増して保坂さんの文章が好きになり読む機会が増えました。キョンキョン文章は以前読売新聞アラーキー写真集書評を読んで「何て美しい文章を書く人なんだ」と感動して以来ファンになったのですが、そんな彼女の筆致を存分に味わえる1冊です。猫を看取るくだりは涙なしには読めません。山田氏の新刊は猫のことしか書いていない猫エッセイ本ですが、猫好きな方は勿論、そうでない人が読んでも楽しめる1冊です。仲間内宣伝するのも何ですが(笑)間内宣伝しないで誰が宣伝するのかという節もあるので紹介しました。本書に出て来る「猫の可愛さには慣れることがない」という文言は後世に残る至言かと思います。こちらに関しては公式宣伝コメントも書かせていただきましたのでぜひそちらもご覧いただきたく。

ベース鎌田さんは「伊丹十三記念館ガイドブック」という本をを紹介してくれました。こちらは伊丹十三記念館に行かないと買えない本だそうですが、文庫サイズながら写真テキストも充実していて素晴らしい本でしたね。東京ポッド許可局というラジオ番組で紹介されていたのを私も鎌田さんも聞いていてその話で盛り上がったのもあり個人的にもタイムリーでした。そしてギターひじきさんは「矢吹伸彦音楽図鑑」という本を挙げてくれました。はっぴいえんどのジャケやニューミュージックマガジンの表紙でもお馴染みのイラストレーター矢吹伸彦さんの作品集ですが、ひじきさんは以前結婚祝いで矢吹さんに夫婦イラストを描いてもらったことがあるそうなんですが、何とその絵もこの本に掲載されているそうで。本屋で見てびっくりしたのだそうです。私も中身を見せてもらいましたが、確かに若き日のひじきさんが載っていて驚きましたね。あぐちゃんは全国のライブ会場に出掛けてはそこでジャンプする写真を撮っているそうで、その写真をまとめた本を紹介してくれました。今やスマホで撮った写真を本にまとめたりなど簡単に出来る時代ですしね。面白いことしてるなーと感心してしまいました。メンバーの紹介する本に素でリアクションしてしまった私です。

続いて登場の大森元気さんですが、今回はペダルスティール宮下広輔さんとアコーディオンギターのくりすあすかさんとのトリオ編成で演奏してくれまして。フォークカントリー基調にした3人の確かなアンサンブル大森さんの力強い歌声が素晴らしかったですね。さらに3人のコーラスワークも巧みでCSN&Yみたいな曲もあり。残像カフェ、花と路地ソロと長きに渡るキャリアからたくさん歌ってくれました。良い曲ばかりでしたね。実は宮下さんも鎌倉在住なので地元同士の共演といった形になりました。(宮下さんは高橋徹也さんのバンドでも活躍しているので、個人的タカテツさん話で盛り上がりました。)

そして大森さんの紹介してくれた本は以下のラインナップでした。

小学館「花と葉でみわける野草

甲斐信枝「雑草のくらし」

ジョージ・カックルの鎌倉ガイド

百田直樹「永遠ゼロ

ロッキンオンコミックH」

小田島等「無 for sale」

元々植物好きな大森さんは北鎌倉引っ越して来てさら自然に囲まれた生活を楽しんでいるようで、草木に関する本が多かったですね。私も家の周りに知らない花や草が咲いているとこれって何だろうと思うことがあるので「花と葉でみわける野草」はちょっと気になる1冊でした。ジョージ・カックルさんは鎌倉在住のDJの方でラジオ番組などやられているそうで、宮下さん曰く駅でたまに見かけるそうなんですが、私は不勉強ながら知らず今後チェックしてみようかと思いました。百田さんの著書はその紹介と共に戦争観みたいなものを語ってくれたのですが、その後に歌ったさだまさしさんのカバーがしみじみ良かったですね。小田島さんの本はこれに収録されている「残像」という作品残像カフェ名前の由来なのだそうで、言わばルーツ的な感じで紹介してくれました。

そして最後にはfwjと大森トリオ総勢7人で大森さんの「暮らし」という曲をセッションしまして。私も僭越ながら一部を歌わせていただきました。新生活を始めたばかりの大森さんですが、鎌倉周辺での暮らしに想いを馳せながら、共感しながら楽しく演奏出来ました。大森さんとは彼が在籍していた泰山に遊ぶというバンド時代に知り合ったのですが、時を経てこうしてご近所さんになったりするのだから面白いものです。また何か一緒に出来たらなと思った次第です。

大森さんと宮下さんと鎌倉周辺の美味しいお店についてあれこれ話したのに、打ち上げは結局どこも空いておらずどこにでもあるチェーン系の居酒屋に落ち着くというオチだったんですが、大勢であれこれ話して楽しかったですね。久々に会えた友人もいましたし。

貸切り図書館、次回は6月11日朝日美穂さん、千ヶ崎学さん、高橋健太郎さんをお迎えしてお送ります。そちらもよろしくお願いしますということで。

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2017-04-12 音楽で表現すること〜永井宏作品展ライブ

先日巣巣にて行われた美術家永井宏さんの作品展オープニングライブ音楽表現すること」にオープニングアクトとして、我々草とten shoesも出演させていただきました。この日は満員御礼だったそうで、会場はたくさんの人たちで溢れておりました。ご来場下さった方々、本当にどうもありがとうございました。

我々が会場の巣巣に到着するとすでにこの日のメインアクトである山田氏とヒックスヴィル中森さん、カーネーション直枝さんがリハをしており。この初めて見る3ショットの見た目の豪華さと3人が織り成すギターアンサンブルハーモニーのかっこよさに「おお!」と初っ端からテンションが上がってしまいましたね。ウルトラマン仮面ライダーが合流したみたいな、ヒーローの競演といった様相で。そこへこの日のスペシャルゲストである女優片桐はいりさんが会場に現れまして。はいりさんはとても華やかで可愛らしく、いつもテレビ映画で見ている方が巣巣にいるという見慣れない光景に「おお〜」と思わず感嘆の声を上げてしまった私です。その片桐はいりさんが3人の並びに加わってセッションを始めるのだからそれはもう大変です。ウルトラマン仮面ライダーゴジラが合流するかのような(はいりさんが怪獣ぽいという意味ではないですよ)豪華さで。その場で「キーを下げましょうか?」「ここからはいりさんが歌いましょうか」などと打ち合わせをしながら仕上げており、そのプロ仕事っぷりを見ながら「おおおお〜」と感心してしまった私です。

ここまで「おお」という母音しか発声してない私ですが、続いて草とten shoesリハーサルを行いまして。短い時間でしたがざっと曲を通しました。この日女子メンバーはSa-Rahの衣装で揃えており、私は普通にシャツだけだったのですが、「五十嵐くんだけ服のテイストが違うじゃん。私の上着貸してあげようか?」とスタッフのりえさんに急きょ衣装を貸してもらいまして。さらにこの日のために全員分の可愛い花のコサージュを作っていただき、取り敢えず格好だけはいっちょまえになったんですけどね。肝心の演奏の方はどうなることやらという感じで、いよいよ本番を迎えまして。

前回は私が主に喋ったんですが、今回は永井さんをよく知る岩崎さんとアユミさんがメインで喋った方が良いということになり。岩崎さんは「え〜、私うまく喋れない〜、どうしよう〜」と事前にMC原稿まで用意して備えていたのですが、いざ話し始めると原稿関係なくベラベラと喋りまくり、客席の笑いをドッカンドッカンかっさらっており、「この人の度胸凄いな!」と感心してしまった私です。岩崎さんと永井さんの出会いや、その流れで弟子アユミさんに出会った話や、「誰にでも表現をすることが出来る」という永井さんの教えによってバンド結成に至った話などを滔々と語り、結果的に一番永井さんと密な関係であったアユミさんが口を挟む余地がないという状況でしたけどね。でも岩崎さんの話によってこの日の音楽会趣旨が伝わったので良かったのではないでしょうか。ボーカルのあやは満員のお客さんの視線に緊張がマックスになっていたのか前半2曲は声が震えておりましたが、後半は何とか落ち着きを取り戻してしっかり歌えておりました。山田氏のペンによる巣巣のテーマソング「小さな巣をつくるように暮らすこと」を巣巣で鳴らせたのは意義があったかと思います。岩崎さんもアユミさんもバッチリでした。新曲「草とテンシューズ」も初披露出来ましたし。初々しさが良かったという感想をいくつかいただきましたが、今後はその初々しさを残しつつ技術の方も上げていかないとなと思った次第です。曲を書いている私的には直枝さんから「何回か聞いてると曲をすぐ覚えちゃいますよ。とてもキャッチーですね」というありがたい感想をいただいたので、今後はこの言葉ポケットに入れて持ち歩こうと決意した次第です。

前座として草tenが場を温めた(温められたのでしょうか)後は、山田氏と中森さんによるデュオが始まり永井さんが聞きたがったであろう洋楽カバーというテーマで、CCRや、永井さんが訳詞をしたジョナサン・リッチマンカバーなどを披露してくれました。中森さんは「いやー低気圧でね…」という気圧トークでお客さんをつかみ、山田氏もいつもの軽妙なトークで場を盛り上げておりました。そしてアユミさんが加わっての本家による「小さな巣をつくるように暮らすこと」がまたしみじみ良かったですね。中森さんのスライドギターが泣けて。山田氏は「さっきの草tenとは別腹」という表現をしてましたが、この日のお客さんは名曲を2バージョン聞けてある意味お得だったんじゃないでしょうか。

その後はそこに直枝さんが加わりまして。直枝さんは「いやー低気圧がね…」と中森さんが先にネタにしていた気圧話でお客さんをつかんでおりましたが、アレルギーのせいでリハ中はずっと鼻をかんでいて辛そうでしたね。(本番ではそれが止まっていたようなので流石だなと思いました。)ここではAMERICAのカバーを2曲演奏してくれまして。「ヴェンチュラ・ハイウェイ」では中森さんと直枝さんの息の合ったツインギターが炸裂してこれがまたかっこよかったですね。(直枝さんはこれの練習にかなり時間を費やしたそうです。)3人のコーラスが重なるところも鳥肌ものでした。

そしてその後山田氏と中森さんが捌け、直枝さんのソロステージとなりまして。直枝さんも永井さんに向けたカバーということで、まずはトッド・ラングレンニール・ヤングの曲を歌ってくれました。直枝さんのこれまでの生き様が滲み出るような男の色気溢れる歌声にグッと来てしまいましたね。もう日本ニール・ヤングに対抗出来るのは直枝さんしかいないよという感じで。郷ひろみの「ハリウッドスキャンダル」と島倉千代子の「愛のさざなみ」のカバーも素晴らしく、直枝さんが歌うともはや直枝さんのオリジナルしか聞こえないのですよね。その凄みのあるパフォーマンスに震えました。直枝さんによる歌謡曲カバー集とか聴いてみたくなりましたね。ちなみに直枝さんは永井さんの「マーキュリーティ」という著書を愛読していたそうで、その文章を絶賛されていましたね。その後永井さんの展示も見に行き、中森さんに紹介してもらいご本人にも挨拶出来たという思い出話を語ってくれました。「マーキュリーティ」は絶対復刊して欲しいと力説しておりましたね。前に「貸切り図書館」に直枝さんに出演していただいた時には永井さんの著書は挙げられてなかったので、次回はその辺の話も詳しく聞きたいなと思った次第です。

その後、再び山田氏と中森さんが合流してビートルズの「Two of Us」を演奏したのですが、冒頭のジョンの台詞から終わりの口笛まで再現していて、直枝さんと中森さんのビートルズ愛が伝わって来ましたね。直枝さん曰く「永井さんはビートルズよりもストーンズ派だったんじゃないかな」とのことでしたけどね。その後山田氏のリクエストによりカーネーションの「Edo River」も演奏してくれまして。これがまたかっこよくてシビれましたね。「ロックンロールッ!」の掛け声に「おおおお!」と我が心に燃え滾るものがありました。この3人でこの曲を演奏するのは勿論初めてとのことなので、とても貴重なものを見られました。

そしてこの3人にこの日のスペシャルゲスト片桐はいりさんが加わりまして。4人でそれはもうスペシャルセッションを繰り広げてくれました。そもそもなぜに片桐はいりさんがゲストなのかというと、永井さんがマガジンハウスブルータスという雑誌編集仕事をしていた頃に、はいりさんが劇団広報担当としてよくマガジンハウスに出入りしていたそうで。その縁で永井さんがバンドライブをする時にボーカルとしてはいりさんが参加するようになったのだそうです。ちなみにその当時ブルータスカメラマン仕事をしていたのが中森さんという繋がりなのだそうで。山田氏は司会役としてはいりさんから上手に話を引き出し、お客さんに永井さんとの関わりをわかりやすく説明していて良かったですね。この日は永井さんのことをよく知らないお客さんが多かったようですしね。当時そのバンドでよく演奏していたという「ローハイド」とドアーズの「Hello,I Love You」とボブ・ディラン「くよくよするなよ」の永井さん訳詞バージョンカバー演奏してくれたのですが、はいりさんは舞台女優だけあって歌の発声表現力も素晴らしく、また見た目にも華があるし、自分がどうパフォーマンスすべきか瞬時に理解して1.2回のリハだけで完璧になっていたので凄いなと思いましたね。歌う姿に思わず釘づけになりました。「くよくよするなよ」は最後が何故か「イッツオールライトやで」と関西弁になっているのですが、実はそこだけはいりさんが訳詞をしたのだそうで、永井さんはそれを気に入ってずっとはいりさん訳詞バージョンを歌い続けて来たのだそうです。はいりさんは関西人ではないのですが、当時フォークソングを歌う役を与えられた時に関西弁訳詞してこの曲を歌ったことがあり、それをライブでも採用したのだそうで。はいりさん、山田さん、直枝さんと順番に歌い分けていたのですが、3人の「イッツオールライトやで」の歌い方がそれぞれらしい歌い方で何だか沁みましたね。優しく励ましてくれるような、力強く背中を押してくれるような、自らを鼓舞するかのような。はいりさんはこの日のために「くよくよするなよ」の他の部分の歌詞書き下ろして来てくれたそうで、それも印象に残りました。「桜の花を見ながら思った 死んでも終わりじゃないんだって」という内容でしたが、はいりさんが語っていた「死んだ人って凄い、生きている人には出来ないことが出来るんだもの」という発言にはなるほどなと思いましたね。実際永井さんの亡き後にも未だこうしてイベントが行われ、永井さんを知らない人たちが新たにその作品に触れたり、これをきっかけにして知り合う人たちがいたりと世界が広がっているわけですからね。このイベントを定期的に催している岩崎さんからしたら、はいりさんが歌いに来てくれたことはとても感慨深かったことでしょう。私もこのようなライブに少しでも関わらせていただき感謝です。良い夜でした。

終演後は長男堂さんの美味しいご飯をみんなでいただきまして。この日は元フィッシュマンズ小嶋さんとか高橋徹也さんとか色々な方が見に来ていて、よくこんなステージ初心者の草tenは堂々とライブをやったなと思いましたけどね。山田からタカテツさんからも「俺らは直枝さんと共演するのに何年もかかった(笑)」と言われましたけどね。私もバンドカーネーションと共演するのに7年かかって、この日共演するのはそれ以来16年振りだったので、そういう意味でも感慨深かったですけどね。直枝さんと中森さんは「俺はタカテツになりたいよ、理想だよ〜」とタカテツさんをイジっており、「いやーそんなこと言わないで下さいよ〜」と恐縮していたのが可愛くて面白かったです。良い光景を見ました。

巣巣での永井宏さんの展示は4月23日まで続いてますので、興味ある方はぜひご来場下さい。草tenのライブも夏頃あるかと思います。そちらもぜひにということで。


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2017-04-07 桜青春テンション

気が付けば4月なのです。本当に早いのです。時の流れは。桜もぼちぼち咲き始め、カメラスマホでその淡く儚い春の花の姿を永遠に閉じ込めようとしている人の姿をよく見かけるようになりました。しかし年配の方に多いのですが、桜の花びらを撮るのにそんな望遠機能必要ある?と問いたくなるようなバズーカ砲の如く長くごっついカメラ三脚に立てて覗き込み、暗殺する対象を眺めるかのような鋭い視線を注ぎながら撮影している輩がたくさんいらっしゃるのですよね。そんなゴルゴ13テンションで写さなくても良いんじゃないと毎回思ってしまうのですが。ああいう輩に男性が多いのはある種の狩猟本能みたいなものが働いているのでしょうか。桜を狩るぜと。俺の手中に収めるぜと。そんなカメラ小僧ならぬカメラおじさんに狙われながらも桜は優雅にその美しき花を風にそよがせているのです。春なのです。

先日は草とten shoesリハーサルを巣巣で行いまして。今週末のライブに向けての最終リハということで本番さながらにみっちり演奏しました。片桐はいりさん含む豪華メンバーの前座ということで場を温められればと思う次第です。岩崎さんは相変わらず演奏を間違えても「うん、大丈夫〜」と南国の太陽の如き笑顔を見せポジティブであるのできっと本番でもそのパワーを発揮することでしょう。

練習後は岩崎さんの自宅にお邪魔し、手巻き寿司パーティのようなものを行い。山田氏もミルブックス藤原さんも合流しわいわいと賑やかに寿司を巻きました。新鮮な刺身岩崎さんが手配してくれたので、それはもう美味しいのであり。みな凄い勢いで海苔酢飯を敷き具材をえいやと乗せパクパク食べておりました。手巻き寿司楽しいし美味しいし、最強だな!という結論に至りつつ。一応花見という名目ながら、この日は夕方に雷が鳴り強い雨が降り桜どころではなく。花よりも寿司という感じだったのですが、夜帰る頃には雨も止み。外に出ると夜桜が綺麗なのであり。雨上がりの夜の独特な空気に桜はどこか儚げで、我々の頭上で静かに春の到来を告げておりました。その下できゃっきゃとはしゃぐみんなの姿を見て私は密かに「青春だな」などと思ったのです。バンド青春説がここでも登場して来たのです。みんな40代のおじさんおばさんなんですけどね。桜の木の下ではそういうことで良いんじゃないすかとワインで酔った頭の片隅で思った次第です。そんな青春テンションでお送りするライブは今週末です。どんなイベントになるのでしょうか。果たして。(まあ我々は前座なんですけどね。)

4/8 等々力巣巣「音楽表現すること」

18:30 Start

3200円 (toricotのお菓子とSwan Coffeeのコーヒーつき) 

出演 山田稔明 中森泰弘ヒックスビル直枝政広カーネーション)イシカワアユミ 片桐はいり

草とten shoes(Opening Actf:id:fishingwithjohn:20170407083746j:image

2017-03-29 カルテット(小さな声で語られる)

先日、蕎麦屋にてざる蕎麦なんぞを嗜んでいたところ、突然後方からズズズボゥ!!!」という気の狂った猿が他者に威嚇をする鳴き声のような、古い掃除機が大きめなゴミを強引に吸い込んだような不穏なノイズが何度となく聞こえ、何事かと見やればおじさんがざる蕎麦を啜る音なのであり。昨今ヌーハラなどと、外国人日本人蕎麦を啜る音が不快であると唱える風潮があるそうで、日本蕎麦は喉越しで味わうんでい、てやんでい、音を立ててなんぼじゃい、郷に入れば郷に従えい、とその訴えに抗う気持ちでいた私でしたが、おじさんの蕎麦を啜る音はその意見を覆す程酷いのであり、これほど不愉快な音があろうか、いやない!と思わず反語を用いて激おこ状態になってしまった私です。外国人の方の気持ち何となく理解出来ました。蕎麦の啜る音は適度がよろしいのではないかと思った次第です。音もそうですが「蕎麦の啜り方が豪快なほど粋」と思っているその思想がうるさいのかもしれません。基本おじさんという生き物は蕎麦に限らず、喋り声や笑い声や咳やくしゃみなど自身が発信するサウンドが大きい傾向があると思うのですが、私はそれが苦手なのかもしれないなと思ってしまいましたね。がさつに感じてしまうというか。(まあ私もれっきとしたおじさんなのですが。)猫は声の大きい人や動作のうるさい人が苦手で、物静かな人や物腰の柔らかい人を好む傾向があるのですが、ついそれに同感してしまう私です。一緒に暮らすうちに猫の気持ちに近くなってしまったのでしょうか。声の小さい生き物の発するメッセージにこそ耳を傾けたい自分がいます。声の大きさに惑わされてはいけないのです。良いニュースというのは多くの場合さな声で語られると村上春樹小説にも書かれていたように思います

さて、これを読んでいる方にとって良いニュースなのかはわかりませんが取りあえず小さな声で発表すると、来る5月14日に鎌倉molnにて久々にfishing with johnバンド編成でのライブが行われるのです。これはもう是が非でも来ていただきたく思う次第ですが、先日それに向けてリハーサルなど行いまして。今回は楽曲再現出来る最小人数のカルテット編成で音を引き算しながら再アレンジしてみようと思い立ち、ひじきさんとあぐちゃんと鎌田さんと私の4人で集まったのですが、ちょうどドラマの「カルテット」を見出したタイミングでもあり、「fwjカルテットだ」「別府さんだ」「誰が松たか子なんだ」などと盛り上がったのですが、ドラマと違うのはすでに長年一緒にやっている仲なのであり。ドラマの話もそこそこにいつも通り黙々と練習したんですけどね。偶然集まったメンバーという点に於いては同じですが。まあ私もドラマを途中から見出したので初期の設定や伏線をかなり見逃したまま「え、どういうこと?」と戸惑いつつ見ていたんですけどね。後追いながらも良いドラマだなと思ってしみじみ見ておりました。ライブ時、高橋一生松田龍平のような仕草が見られたり、MC唐揚げレモンみたいな深読み出来そうな会話をし出したら完全にドラマの影響だと思っていただいて構いません。

カルテット」はコメディかと思えばサスペンスだったりラブストーリーだったり、親子や夫婦物語だったり、感情あっちこっちに持って行かれる凄いドラマだったなという印象でしたが、複数人数で音楽を鳴らしたことのある人にとってはあれはやはり音楽ドラマなのですよね。バンドもそうですが様々な人生を抱えた他人同士が集まってひとつ音楽を鳴らすという物語には惹かれてやまないものがあるのです。私が思うにそれって「青春」なんですよね。それを職業にしている人も趣味にしている人も多少ならずともそれがあるような気がします。箸にも棒にも引っかからないカルテットに対し「煙突から出たけむりのようなもの」と痛烈に批判する手紙へのアンサーが、満島ひかり演じるすずめが語る「自分たちの鳴らす音楽が人に届いた時のささやかな喜び」であるのは青臭いけれども真実であるのだよなあ、てへへ、と思ってしま自分がいるのです。それで言うと世の中けむりだらけになってしまうけど、出さずにはいられないのですよね。楽しいから。私も長年やって来て自分のけむりで真っ黒になっている人をたくさん見て来ましたけどね。

最近になって草とten shoesというバンドに参加し始めて、初心者岩崎さんが「今回はうまく演奏出来た!」と大喜びする様子を見て「そういや昔は自分もこんな感じだったな」と思い出したりしたのですが、初期衝動をたまに取り戻すのも大事なのかもしれません。fwjカルテット、届くと良いなあと思っています。すずめちゃんの気持ちで。(小さな声で。)f:id:fishingwithjohn:20170329222126j:image