富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2016-11-15

農暦十月十六日。十六夜の月を愛でるつもりが雲多く月は姿を見せず。晩にとらや謹製の栗蒸羊羹と練棹物の「むさし野」いたゞく。とらやの菓子説明書きはいつも可笑しいが「武蔵野は、その物寂しい風情から、古来、数多くの詩歌に詠まれてきました」と、とらや京からの東遷は百五十年過ぎても未だに「いかにも京都目線」。
露おかぬかたもありけり夕立の空より広き武蔵野の原(道灌)
▼香港立法会で香独派の2議員につき就任宣誓での無作法で香港の高裁が全人代常委の決定に準じて議員の資格取り消しの裁定。(翌日の蘋果日報で)マーチン李柱銘が投稿<醉翁之意不在酒 人大釋法不在「獨」>こちら

是次釋法絕對是後患無窮,除了一下子就把特區的行政管理權、立法權及獨立的司法權,一併架空,更是把一國兩制及高度自治全面摧毀了。可見釋法的目的根本不只是要褫奪兩位「港獨」議員的資格,故基本法委員會副主任梁愛詩日前也指,不相信會有大批議員會在人大釋法後,被司法覆核而失去議席。因為是次釋法根本是為了落實白皮書,實現中央對香港所擁有的「全面管治權」。

結局、若い運動家が立法会議員になり稚拙な行為で香港の自治を余計に最悪なものにする結果に。香港の一国二制度と民主主義を壊すのは北京中央ではなく香港自身といふクリス=パッテン卿の憂慮が現実に。
▼米国総統選でメディアのクリントン優勢といふ読み間違え。「都市偏重、有権者との距離」といふ分析あり(朝日新聞)。紐育、華府と羅府の3都市に米国の新聞記者の5人に1人が集中してゐるが3都市合はせても全米人口の1割程度。対照的に50州のうち21州では連邦議会担当する記者をおく地元紙がなく政府で何が行われてゐるのか報道されないと。もはや新聞のメディアでの役割が小さくなつてゐるとはいへ記者と市井の有権者との感覚のズレ。

すでにメディアの関心は次期トランプ政権の政策や対日関係に移っている。だが、それは些末なことに思える。倫理より鬱憤晴らし。そんな米国民の惰情の奔流こそ凝視されるべきだ。建前レベルですら善を優先しない政治。米大統領が映した闇の深さに立ちすくむ。(田原牧)

南スーダンにつき晋三が「駆けつけ警護」閣議決定。これほど重大なことが、あのカルト内閣の閣議だけで決定してしまふ恐怖。最初から「付与ありき」で思考ゼロ。TPPとて宗主国たる米国が否定に回るなかでの国会での強行採決。これも「決議ありき」。今年の夏に、これを詩にした時は、まだTPPが実現する可能性大で、この詩のニュアンスも不透明だつたが今になつて読み返すと現実的になつてしまつた。さすがの晋三も、このTPPの誤算には国会答弁で表情は「悲しみの安倍マリア」。

「TPP」 詩: A.A

母さん、僕のあのTPP、どうしたんでせうね?
えゝ、夏、永田町からか霞が関へゆくみちで、
谷底へ落としたあのTPPですよ。
母さん、あれは好きなTPPでしたよ、
僕はあのときずいぶんくやしかつた、
だけど、いきなり変な風が吹いてきたもんだから。
母さん、あのとき、向かふから若いが学生たちが来ましたつけね、
安倍政治を許さないなんてプラカードを持つた。
そしてTPPまで拾へないやうに、ずいぶんと邪魔をされましたね。
それで、たふたふ目だつた、
なにしろアメリカまで、それに民主党まで
TPP反対なんて次の大統領が言ふんですもの。
母さん、ほんとにあのTPPどうなつたでせう?
そのとき傍らに咲いてゐた増税の花も
もうとうに枯れちやつたでせうね、そして、
秋には、改憲の霧が霞が関をこめ、
あのTPPの下で毎晩ながた虫が啼いたかも知れませんよ。
母さん、そして、きっと今頃は、今夜あたりは、
あの谷間に、静かに雪がつもつてゐるでせう、
昔、つやつや光った、あのアメリカ製のTPPと、
その裏に僕が書いた
A.A といふ頭文字を
埋めるように、静かに、寂しく。

新派俳優の英太郎さん死去。八重子(初代)の芝居で「新派にも女形ってゐるんだ」と知つたが大人になつて好事家仲間と新派の話をする迄ずっと英太郎は「ひでたろう」なのだと思つてゐた私。哀悼。

怖っ