内容紹介
クソゲーカタログ最新版、ここに登場!!ゲームの名作・怪作・奇作を語り尽くす掟破りの一冊を引っさげて、
クソゲーハンター、ついに完全復活!!
プレステ2から最新機種まで、衝撃のクソゲー満載!!【第1章】PSP
【第2章】ニンテンドーDS
【第3章】プレイステーション2&3
【第5章】Wii
【特別企画】伝説の活字系ゲーム雑誌『ゲーム批評』は何に敗れたか?
あの『超クソゲー』シリーズの最新作が、10年ぶりに登場!
まあ、僕は『1+2』を最近読んだので、あんまり「10年ぶり」という感慨はないのですが。
『1+2』はけっこう遊んだことがあるゲームが多かったのに、この『3』は、1本も触ったことがあるゲームがなく、これは僕自身のゲームに対する熱意の問題なのか、ゲームの本数が多すぎるのか、この本で採り上げられているゲームの傾向によるものなのかと考えてしまいます。
いや、面白いかつまらないかというと、ゲーマーにとってはやっぱり「面白い」一冊ですし、書いている人たちの「クソゲー」への愛情も伝わってくるんですけどね。
今回、「こんなゲームがあったのか!』という驚きはかなりありました。
その一方で、「ああ、『バンゲリングベイ』、みんなやったよね。ハドソン!!」というような「共通のネタとしてのクソゲー」が、若い世代では、もう成り立たなくなくなってしまったのだなあ、という感慨もあります。
クソゲーとは常識の枠に収まらない、飛び抜けた何かを秘めたゲームのことだ。超つまらなくてもいい、超バカでもいい、人類の理解を超えたオーパーツでも構わない。
超つまらないゲームでも、面白おかしくけなせればモトが取れる。5000円で買ったなら、4980円分は「けなし代」……「超クソゲー』は、そんなライフスタイルを提案した。
しかしながら、現在のクソゲー界わいの惨憺たるありさまはどうだろう。ただの不具合にすぎないバグを根掘り葉掘り探し出し、重箱の隅をつつくみみっちさ。それでも、自腹を切ってゲームを買い、血反吐を吐いてやり込むならまだいい。
どこかの誰かがネットに公開した動画を見ただけで、「これはクソゲー」とレッテル貼りをしてわかった気になる……。
クソゲーを舐めるなーッ!! クソゲーの神に赦しを乞え――ッ!!
「ネットで公開された動画を見るどころか、ゲーム系情報サイトの記事だけを読んで、やったこともないゲームを大バッシング」なんていうことも少なくないですしね……
その一方で、「クソゲー」を小難しいものにしてしまった罪も、このシリーズにはあるのかもしれません。
「ただつまんないだけじゃ、『クソゲー』じゃない」というのも、わかるような、わからないような……
この本のなかでは、Xbox&Xbox360とWiiの章が非常に興味深かったです。
とくにXbox360については、僕自身、あまり馴染みが無いハードでもあり、こんな独自の洋ゲー文化が花開いていたのか……と今回はじめて知りました。
『Mass Effect』面白そう、『めざせ!ムービースター』なんて、中学校時代に友人たちとラジオドラマを一生懸命つくっていた僕にとっては、「あの頃、このソフトがあったら、絶対、自主制作映画ごっこやってたなあ……」と感慨深かったです。
ベセスダ・ソフトワークスによる『オブリビオン』『フォールアウト3』って、大規模なゲームだというイメージがあったのだけれど、予算は中規模(『オビリビオン』は推定で500万ドルから700万ドル。当時の為替レートでだいたい5〜7億円。『フォールアウト3』は、若干多い700万ドル前後)だったんですね。
これでも十分高額のような気もするのですが、
発売当時「ファイナルファンタジー12のオープニングムービーの予算だけで作られた」というのが、ある意味キャッチフレーズになっていた。
実際に開発費が7億円台だとしたら、日本だと大成功すれば『ペルソナ4』くらいの規模のRPGがゼロから開発できるだろう。悪ければ、もっとショボい感じの中堅RPGしか制作できない。
ゲーム制作って、すごいお金がかかるようになっているんだなあ、と思い知らされました。
あと、驚いたのは、Xbox360の『EAT LEAD』というゲームの紹介に出てきた、こんな話。
海外ゲームは原語のままでプレイするのが通とされますが、本作は日本語化された国内版に限ります。翻訳を監修しているのは、直木賞にもノミネートされた『天地明察』の作者、沖方丁さん。『セガガガ』のシナリオライターであり、海外の伝わりにくいユーモアを日本に移植できる第一人者にして超クソゲーの申し子です。
『本屋大賞』を受賞された沖方さん、あの『セガガガ』のシナリオ書いてたのか!仲間だ!
あと、Wiiでは、『ファミ通』のクロスレビューで12点を叩き出して注目された『プロゴルファー猿』もすごかったのですが、2010年の4月に発売されたという『盆栽バーバー』というWiiウェアの紹介が素晴らしかった。
プレイヤーは野菜たちの住む村にある床屋の店主として、Wiiの内蔵時計に合わせて毎日お店を訪れる村人の頭をカットしていく。村人一人ひとりと交流を深め、ときには感謝の手紙まで届く展開に癒される、ハートフル盆栽スタイリングゲーム。
こんなゲームもあったんだなあ、と、読んでいるだけで、ほっこりとした気分になれます。
このゲームの作者であるマーティン・ホリスさんという人は、『ゴールデンアイ 007』という、人気FPSの作者ですが、「プレイヤーが銃を仲立ちにゲーム世界と関わることを悲しく感じる」ということで、この『盆栽バーバー』をつくったそうです。
有名メーカーの「超大作」でもなければ、採り上げられることもないような、こんな「制作者の物語」、そして、「クソゲーを愛するゲーマーたちの物語」が読めるのが、このシリーズの醍醐味なのです。
ちなみに、この本の最後には、『超クソゲー4』は、10年も間隔を空けずに出せるのではないか、というコメントが書かれています。
その理由のひとつは、「携帯電話ゲーム」「スマートフォンのアプリ」の隆盛により、「ひとりあるいは少人数によって作られた、アイディア勝負の小規模ゲーム」が増えてきていること。
たしかに、iPhoneのアプリのなかには、有名メーカーによる大作もある一方で、「なんじゃこれは……」と良くも悪くも脱力してしまうようなゲームも多いのです。
これらのなかから、また、ファミコン時代のような、みんなの共通の話題となる『クソゲー』が生まれてくるかもしれません。