gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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<コラム>中国軍の大きな弱点、軍用ジェットエンジン技術の現状|レコードチャイナ

元米上院外交顧問が、ウクライナによる中国への軍用ジェットエンジンの供与について、「背信行為」だとして抗議している。
8月14日に中国国営メディアが、中国の新型ジェット練習機「洪都 JL―10」の公開を報じた。JL―10練習機は、中国海軍の空母パイロットの訓練に使用されると公式に中国軍が発言している。
(中略)
中国の軍用ジェットエンジン技術は、ここ約十年にわたって中国軍の大きな弱点のひとつと言われてきた分野だ。
(中略)
中国のジェットエンジン生産問題を解決するためウクライナが支援している、とアメリカの中国専門家で元アメリカ合衆国上院外交顧問のウィリアム・トリプレットは抗議している。
(中略)
ウクライナのエンジンで飛行する空母パイロット用中国ジェット練習機が公開されたのは、アメリカ国防総省ウクライナ軍を援助するために2億ドルを提供すると発表してから、わずか1カ月後のことであった。
(中略)
ウクライナ急進党党首オレグ・リャシコ議員が、批判に対して反論している。
(中略)
ウクライナのモトール・シーチ社の航空機エンジンが中国に売られるのを、アメリカ人が批判している。けれども、ウクライナが中国に航空機エンジンを売るのをアメリカ人が嫌がるのなら、アメリカがウクライナの航空機エンジンを買うべきだ。ウクライナが中国に売ることを禁止しながら、アメリカが買わないのなら、モトール・シーチ社は破産するしかなく、高度な技術を持つ数千人のウクライナ人が失業することになる」。
(中略)
ロシア軍事アナリスト小泉悠氏は、日本語ウェブメディアJBpress(2014年4月24日付)『ウクライナで軍事技術流出の危機』で、次のように書いている。「ロシアがウクライナに依存していたのと同様、ウクライナもまた、ロシアに大きく依存していたわけだが、両国の断交が今後も続けば、ウクライナ軍需産業がたちまち苦境に陥るであろうことは容易に想像がつく。(中略)そこで懸念されるのが、技術流出である」。
(中略)
中国の空母である「遼寧」は、元はソ連の未完成空母「ヴァリャーグ」だったのは、よく知られているところだ。ヴァリヤーグはウクライナの造船所で建造されていた。
(中略)
多維新聞(2017年9月4日付)によると、ウクライナの技師バレリー・バビッチ氏が、中国の空母遼寧の再生・建造においてコンサルタントをしたという。バレリー・バビッチ氏は、ウクライナの造船事業で働いていた設計技師だ。しかも、遼寧の前身である空母ヴァリヤーグの建造においては、バビッチ氏は同空母の設計技師長を勤めていたという。
(中略)
多維新聞の報道が事実なら、もはや遼寧は中国独自のただの劣化コピー品とは言えない。
(中略)
中国がまだ大量に運用するのに問題を抱えているとされるWS―10エンジンは、ロシアからすれば基本は約20年、もしくはそれ以上も前から実用化されていたAL―31という古いエンジンに相当するものにすぎない。
(中略)
中国もWS―15という次世代エンジンの開発を続けている。
(中略)
去年、中国政府メディアは、WS―15がアメリカのプラット・アンド・ホイットニーF119エンジンに性能で匹敵すると喧伝していた。
(中略)
しかし少なからぬ西側専門家たちは、WS―15にはまだ信頼性など、多くの問題があるとしている。
2015年に中国のWS―15エンジンが地上テストで爆発した、とサウスチャイナ・モーニング・ポスト(2018年2月10日付)が伝えている。エンジンが爆発した理由はさまざまで複雑だが、ひとつの原因としては、WS―15エンジンのタービンブレードの品質管理に問題があると考えられている。同記事では、この問題は未だ解決されていないとしている。
第5世代ステルス戦闘機としては低性能なエンジンを搭載している現在のJ―20には、推力不足が指摘されている。推力が足りない場合には、高速をだすためにはアフターバーナーを使用する必要がある。アフターバーナーは燃料消費が非常に激しく、ごく短時間しか使用できないと同時に、激しい炎を出すので赤外線センサーで探知されやすくなり、ステルス機にもかかわらず敵に見つかりやすくなってしまう。
中国航空工業集団の最高経営責任者、林左鳴が去年中国国営メディアに語ったところによると、中国はWS―10エンジンに改良を施し、稼働時間は800時間から1500時間に達したという。
(中略)
ロシアのAL―31エンジンの稼働時間は900時間だったが、改良を施して1500時間にまで伸ばしていた。しかし、最近ではその稼働時間は2000時間にまで達したという。国産エンジンがあるにもかかわらず中国がAL―31をロシアから購入しているのは、十分な数のWS―10を生産できないからだという報道もある。
(中略)
世界で最も進んでいる航空機エンジンを製造する三大メーカーが、アメリカのゼネラル・エレクトリック社とプラット・アンド・ホイットニー社、そしてイギリスのロールス・ロイス社だ。
(中略)
ゼネラル・エレクトリック社、プラット・アンド・ホイットニー社、ロールス・ロイス社で働いた多くの中国人研究者や中国人技術者が、中国に帰国して働くことでジェットエンジン開発のペースを著しく加速させているという。
(中略)
現在に至っても、中国が軍用ジェットエンジン技術で、アメリカやロシアに大きな差をつけられているというのは事実である。しかし、中国はリバースエンジニアリングによる海賊コピーやスパイ行為、サイバー攻撃を通じて最新技術を盗むなどして、なりふりかまわない。中国は、急速にその技術力を進歩させている。
(中略)
アメリカとの差はまだ少なくないとはいえ、軍事航空機エンジン技術で、中国との差は縮まり続けている。
(中略)
中国中央軍事委員会公認で人民解放軍が出資している英字軍事サイト「チャイナミリタリー」(2018年8月6日付)は、「近い将来中国が4隻の空母を展開するとされる状況で、中国海軍は緊急に約400人のパイロットを必要とする」という記事を掲載している。

https://www.recordchina.co.jp/b638751-s175-c30-d1175.html

ウクライナ独立によって、旧ソビエトの兵器廠をロシアから取り上げた代わりに、輸出先を失ったウクライナを不安定化させた欧米が、その主産業たる兵器部品を買わずに文句を垂れるのはまあ、不誠実だよね。
この記事では、遼寧ageしているが、そもそもソビエトアメリカに比べて空母後進国であり、本格的な正規空母の先駆けとなるのがアドミラル・クズネツォフだった。
とはいえ、過渡期の艦でもあり、アドミラル・クズネツォフは純粋な空母とは言い難い設計で、むしろ中国の国産一号空母の方が、純粋な空母としては完成度が高い。
その意味で、遼寧はやはり改アドミラル・クズネツォフ級でしかなく、その性能は脅威ではないと思う。
ついでに言うと、中国の国産一号空母も、カタパルト非搭載なので、戦力的には大差ない。
あと、ロシアのエンジンの寿命が短かったのは事実だが、既にそれは古い情報で、最新世代のエンジンは欧米並みの寿命に達している。
既に20年以上の時間をかけてロシアのコピーを続けた中国が、未だにロシア製エンジンの足元にも及ばない性能なのは、基本的な冶金技術が劣っているからと言われており、この分野は設備から積み上げていく必要があり、スパイでどうこうするのは難しいので、しばらくはこの状況が続くと思う。