ちょっと古い話になりますが、前回のNumber格闘技特集から(47P)
「先日、ジョシュとはいろいろ話す機会があって、今ではすっかり友好的な関係にあります。ほかにもマーク・コールマンやケビン・ランデルマンのことは尊敬しています」
ジョシュと仲良くなったエピソードも奮っている。5月5日、実弟のアレキサンダーがジョシュに敗れた夜だった。宿泊先のホテルのロビーでジョシュと鉢合わせになるや、ヒョードルは静かにつぶやいた。
「俺はお前のことが嫌いだ」
伏線はあった。アレキサンダーに勝った直後、ジョシュは弟のセコンドに就いていたヒョードルに向かって首を斬るポーズをとったのだ。プロレス好きのジョシュにとってはいつものパフォーマンスだったが、そのノリが理解できないヒョードルは激昂した。
「なぜあんな挑発をするんだ? 失礼な奴だ」
たまらずジョシュも言い返した。
「君は僕のことをきちんと知らないのに、なぜそんなことを言うんだ」
重苦しい空気が両者を包み込んだ。場の空気を和らげたのはヒョードルの一言だった。
「だったらとりあえず酒でも飲もうか」
ホテルのバーで杯を酌み交わした二人はすっかり意気投合したという。その一件を確認すると、ヒョードルはしきりに照れた。
「ジョシュは『試合中の振る舞いはサービスの一環。そんなに真剣には受け止めないで』と説明してくれました。いい人ですね」
話せばわかる。みんなが不誠実な人というわけではない。ジョシュとの乾杯によってアメリカ人に対する誤解は解けた。
まさに「(元ネタを)分からない人だったらどうするの!」(c;「げんしけん」)状態だったというわけでしたね。漫画やプロレスのパフォーマンスや言葉遣いを、そのまま披露するのは控えめに。
・・・・・・・・というのとは別に、あとひとつ連想したことがあります。(続く)
このブログでは佐藤優「国家の罠」の書評を書く書くといっておきながら、まだうっちゃってしまっているのであるが(そのうち、必ず!)その間に彼は予想を上回る、引っ張りだこの売れっ子評論家となってしまって、次々本が出ている。
その最新刊「自壊する帝国」
- 作者: 佐藤優
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/05/30
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 52回
- この商品を含むブログ (129件) を見る
で、この中に、やはり当然ながら、「国家の罠」と同様「酒とロシア人の在り方について」をいろいろ書いている。
「ロシアのインテリは酒を飲みながら人相見をする。要するに素面のときと酔ったときで言うことがブレないかよく観察しているのだ」
「ロシア人にとってウォトカは人間性を調べるリトマス試験紙の意味がある」
「外務省の研修で「欧米人は酒を強要しないので、日本の調子で酒を勧めると顰蹙を買う」と教えられたが、ロシアでは日本以上に酒を強要する文化がある」
「ロシアではウォトカやコニャックなどの強い酒をちびちび飲むのはルール違反だ。必ず一気に飲み干さねばいけない。そして乾杯の前には必ず口上を述べなければならない。こうして気の利いたテーブルスピーチに慣れていくのだ」
「外国人が水割りやソーダ割りを作るのを見ると、多くのロシア人は『度数の低いアルコールを作るのは簡単なんだぜ。なんで苦労したウォトカをわざわざ薄めるんだ』と顔をしかめた」
「普通、ロシア語で口上の後に続く乾杯の音頭は「ナ・ズダロヴィエ(友人のために)」だがこのとき(註:友人同士の特別な乾杯)は「ダ・ドゥナー(底まであけろ)」」と言う。文字通り乾杯だ。」
「これを断ると「お前とは友だちになりたくない」ということと受け取られる」
・・・こいつら、ダメ国民だーっっッ!!!
・・・・・というのは異文化への偏見ということになるので、そう考えてはイクナイ。(日本の酒席文化だって、上にあるように直訳したら他国の国民の中には目を丸くする人もいるだろう)
にしても、こういう文化を持った国の人に酒に誘われ、すっかり一晩で気に入られたということはジョシュ・バーネットの酒量も相当だったのだろう。恋人シャノンさんの証言によると
「普段は飲まないのに、飲むと底なしで大騒ぎするタイプ」
なんだとか、ジョシュは。