伊豆の夏(2)

harimaya2006-08-18

夏休みの家族旅行はいいものだ。
小さな孫たちと一緒の視線で自然を
捉え草むらを走り蝶やバッタを追う。
孫の一人がトカゲの尻尾を捕まえた。
とたんに尻尾が途切れて別の生き物の
ように激しく動く様子は目を丸くした。
一人が銀ヤンマを捕まえた。トンボは
捕まえられても食欲は関係ないとみえ
旺盛に小さな虫を食べるのをやめない。
自然の教材には事欠かない草むらでは
名もない花が咲き乱れ小さな昆虫達を
蜜で誘って一次元の小宇宙を形成している。
自分もそうだが子供の頃の自然との触れ合いは一生忘れない思い出となる。

隠居の独り言(157)

兵庫県姫路市から上京して今年で58年にもなるが何年間、東京で在住しても
一介の「流れ者」に過ぎない。江戸っ子の資格は東京湾から北、隅田川から東、
江戸城から西、浅草田圃から南に、両親とも三代以上に住むのが条件だそうで
どうあがいても江戸っ子クラブには入会不可能だ。徳川家康がこの場所に入り
江戸の町作りを始めて400年が過ぎたが未だに東京は成長を続ける発展途上だ。
江戸時代中期の元禄の頃は、人口は参勤交代の侍50万人、仕事人や家族など
いわゆる町民が50万人、合計100万人といわれて当時の世界の都市人口では
ロンドンを抜き世界一だったらしい。現代人の考えでは当時は封建主義時代で
士農工商の身分の差別が激しかったと思うが実の生活は武士が上に立つ意識も
少なく庶民が中心の住みやすい環境にあったらしい。芝居、寄席、相撲、俳句
歌舞伎、浮世絵など世界に広がっていった日本文化の役割は庶民から生まれた
エネルギーの傑作だし西欧文化の貴族階級を喜ばせるために生まれたオペラや
バレーなどとは根本的な部分で違うことを日本人は誇りに思っていいと思う。
江戸が誇る食の文化も寿司、天麩羅、蒲焼、蕎麦など屋台で売り歩くのが多く
庶民相手の外食産業はおそらく世界でも最も歴史が古くその中身も濃いもので
あったに違いない。私もときどき外食をするが西欧料理や中華料理はいかにも
貴族趣味的で日本料理の手軽さとは文化の違いを感じながら楽しんでいる。
務めの帰りに飲み屋に寄ってイッパイ飲んでオダをあげているサラリーマンの
情景は日本の庶民文化の象徴かもしれない。