Lonesome-happy-days

2017-02-19

[]タンゴソングス饒舌で芳醇なタンゴ単語)の世界

後期キャンディーズアルバム曲に、こんな斬新な曲があります。

まずは聴いてみて下さい。

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1978年5月に発売されたキャンディーズラストアルバムファイナルカーニバルプラスワン』キャンディーズファイナルカーニバルプラスワンに収録された「インスピレーションゲーム」という曲です。作詞阿木燿子さん、作曲穂口雄右さんで、そう、これは「微笑がえしコンビ。この曲の歌詞がとにかく型破りで、タイトル通りインスピレーションで「ブラックコーヒー」→「日曜日」→「スポーツ中継」ときて、たぶんそのオトコはぼんやりアメラグのスポーツ中継を見ていて、LAあたりのチームの試合だったのでしょう、イメージ太陽さんさんの砂浜に飛んで、とうとうビキニ姿の金髪娘に行き当たる、という(苦笑)なんとも不思議歌詞なのです(歌詞こちら。)。当時は百恵さんを素材に、思う存分に飛ばしていた阿木さん、解散するキャンディーズにもここぞとばかりにスゴイ歌詞をぶつけています。持前のユーモアセンスでそんなブッ飛んだ歌詞をシラッと歌いこなしているキャンディーズも、本当にステキです。

 

そんなわけで今回は、ある意味説明的な歌詞よりもはるかに豊かな世界観を作り上げてしまうような、タンゴ、ならぬ「単語」の羅列で出来上がった曲、その奥深い世界を味わっていただこうという企画です。

 

続いては、この曲。昭和名曲であり、大歌手、五木さんを一躍スターダムに押し上げた代表曲よこはま・たそがれ」です。

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作詞山口洋子作曲平尾昌晃歌詞こちら。この曲の舞台はかつて港の見える丘公園のふもとにあったクラシックホテル“バンドホテル”だったとかいうエピソードも、言葉がそぎ落とされたこの歌詞からこそ、得も言われぬノスタルジックイメージを広げてくれる気がしますよね。

 

さて、続いては洋楽です。私の大好きな曲。Billy Joelの「We Didn't Start The Fire」です。これは50年代からこの曲がリリースされた80年代後半までのアメリカ出来事、トピックや時代代表する人物名をただ羅列した歌詞ながら、途中で差し込まれる「火をつけたのは私たちじゃない」という印象的なフレーズですべてを物語ってしまうという、物凄いパワーのある曲でした。PVも、牧歌的50年代の家庭の風景からまり60年代70年代と、どんどん映像スピードアップして、最後には感情の動きが何も感じられないさめざめとした印象(近未来?)で終わる秀逸な内容だと思います。歌詞訳詞)はこちら

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単語で出来上がった曲のルーツをたどれば、結局はここに辿り着くのでしょうね。説明するまでもない、スタンダード・ナンバーですね。「My Favorite Things」。不朽の名作「Sound Of Music」より。歌うはジュリー・アンドリュースさん。

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歌詞こちらです。

 

↑の曲を翻訳したような曲を、あの佐良アニキも歌っているんですね。1967年発売のセカンド・シングル私の好きなもの」です。とはいえ「Sound Of〜」とは別物です。作曲はいずみたくさんで、詞はなんと、永六輔さんです。歌詞こちら

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「三味線の爪弾き」って。永さんらしいといえば、らしいですけどね。

 

饒舌で芳醇な単語タンゴ)の世界、楽しんで頂けましたか?では、また。

2017-02-16

[]あきらめるのが好き

毎日、流されているな、と考える。つい、そんな風に自分を責めてしまうのは、俺の悪いクセだ。

世の中はどんどん動いているのに、それをただ傍観するだけで、自分身の回りの些事に振り回されているばかりの毎日。。。

たとえば、アメリカに危なっかしい大統領が誕生して、世界ステージが確かにグーンと「分裂」の方向に方向転換しているのが、わかる。

そして、そんなアメリカに、忠犬よろしくただシッポを振って付いていくしかない、この国の主体性のなさ、実態の無さに今さらながら愕然として、しかしそう感じながらも、いざ自分を振り返れば、正直、他人事で、どこか遠いところの話にしか感じていないのも確かだったりするのだ。

最近とみに時の流れが早いように思えるのは、そんな、他人事感覚があらゆる場面で自分を覆っているからかも知れないナ。

なんて、反省するフリをする。

 

さまざまなことへの、諦め。そう言ってしまえばキレイに聞こえるけれども、年齢とともに感性に綻びと劣化が目立ってきたことに加えて、確実に加速してきている時代スピードに、もはやついて行けていない自分であることを悟り始めているのかもしれない。無意識のうちに。

まるで、テレビの前で、早送りビデオをただ呆然と眺めているような。

はたまた、行く先のわからない急行列車の窓の外を飛び去る 見知らぬ景色を 戸惑いながら傍観しているような。

 

ところで先日、こんな記事を見つけた。→http://news.yahoo.co.jp/story/505

滅多にないと思っていたことが、いつしか繰り返し起こり、それらにすっかり鈍感になってしまっているのは、どうやら自分だけではないようだ。どんなに大騒ぎしたことも、すぐに風化してしま時代であるのは、たしかなようで。

 

********************* 

 

私の父は、73歳で亡くなった。母は、68歳だった。

五十路を越えた今、自分の余生について考えざるを得なくなってきている俺がいる。

父が逝った年齢まで、あと20年。

たった20年なのか、まだ20年もあるのか。その先があるのか、無いのか。

加速していく時代に飲み込まれて、20年後自分は「20年なんてあっと言う間だった」とタメ息をついているであろう事だけは、間違いない。

それまでに何が出来るのか。

あれもしたい。これもしたい。それに、できればこんなことも…。

欲張ればキリがない。そして、最早実現させるには手遅れになっている夢の亡骸ばかりがいまだ、自分の心の大部分を占領していることも薄々分かっている。

 

由紀さおりさんが2009年に発表したアルバムいきる」に収録された、こんな曲がある。

♪「あきらめる」の語源たどると

 「明らかにする」らしいのよ

 自分自分だと はっきりわかっていく

   「あきらめるのが好き」 詞:山崎ナオコーラ

から今、自分にできること。

何よりもそれを優先させたいのだ。

愛しているよ。

それを、伝えたい。いまのうちに。ひとりでも・・・

それで、いいよね、もう。

 

いきる

いきる

2017-01-22

[]歌とともに流れる時間〜ワタシの好きなストーリーソング

 もう1月下旬・・・。ついこの間まで「良いお年を。」なんて言っていた気がするのに。。。

 とは言っても、年末年始はなぜか閲覧数が跳ね上がるこのブログ、ここにきてアクセスもすっかり通常ペースに戻って(苦笑)、世の中はすっかりお正月気分も抜けきったと思われる今日この頃でございます

 

 さて今回は、「ワタシの好きなストーリーソング」と題しまして、コーラスを重ねるにつれてストーリーが進んで行く、ドラマ仕立ての名曲たちを選んでみました。

 寒い夜は部屋を暖かくして、こんな曲にじっくりと耳を傾けながら、長い夜を静かに過ごしてみるのも良いかもしれません。

 まずは、太田裕美さん。代表曲木綿のハンカチーフ」は、曲が進むにつれて、時の流れとともに醒めていく恋愛感情ある意味残酷なまでに浮き彫りにしていくスゴイ曲ですよね。太田さんの曲ではその他にも、流れた涙が大地にこぼれて、空に昇って雲になり、雨になってたわわな葡萄を実らせて、ワインになって涙を流した人の下に帰ってくるという、自作による「僕は君の涙」(1999年)という名曲(→動画リンク)もあるのですが、今回選んだのは、冬にぴったりな6thシングル最後の一葉」(1976年)です。この曲はオー・ヘンリーという作家が書いた物語松本隆さんが翻案した歌詞ということで、そのままで良く出来た“物語”になっています歌詞こちら

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 続いては、歌詞太田さんと同じく松本隆さんで、歌うは聖子さんは聖子さんでも“三木聖子”さんの曲。彼女石川ひとみさんの「まちぶせ」の元歌でデビューした人ということで知る人ぞ知る70年代アイドルですが、今回紹介するのは同じく石川さんカバーしたサード・シングル三枚の写真」です。「♪ 16の頃 あなたは18」で始まる歌詞が、3コーラス目は「♪20才(はたち)の私 あなたは22」となり、さて、ふたりの恋の行方は?

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歌詞こちら。「ねえ 目をそらさずに 好きって言える?」というのが、3コーラス目では「ねえ 目をそらしてもいいのよ あなた」になってしまうところが、何とも切ないですね。

 

 時の流れを感じさせるストーリーソングの有名どころを紹介しようとすると、とても長い長い曲が多くなってしまうのは自然の摂理かもしれませんね(笑)

 リンクしておきますので、お時間のある時にぜひ。

 

 もう1曲、どうしても紹介したいのは、ユーミンの「5cmの向う岸」(アルバム『時のないホテル』(1980年)

収録)だったのですが、残念ながらご本人の動画は見つからずでした(カバー動画をとりあえずリンク)。時のないホテル

 歌詞こちら。「木綿のハンカチーフ」は、都会に出ていった男性の心の移り変わりを追っていますが、こちらは女性ならではの視点で、若気の至りで(見た目を気するあまり)思わず人の良い彼氏をフっちゃう(苦笑)という、チクリと心が痛むエピソード後日談を含めて鮮やかに切り取っています。機会があればぜひオリジナルを聴いてみて下さい。

 

 最後にご紹介するのは、昭和ウタです。ご本人も素敵なオジサマであられた浜口庫之助さんの作品花と小父さん」です。このメルヘンソング、色々な方がカバーされているスタンダード名曲です。短い曲ですが、しっかりと「物語」を見せてくれますよ。可愛くて純粋で、少し切ないこの世界ある意味とても平和でまさに「昭和」を感じさせてくれますよね。歌詞こちら

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 最近J-popも含めて物語性の高いストーリーソングは数多くあると思いますが、今回は「私の好きな〜」ということでほんの少しだけ紹介させて頂きました。お楽しみいただけたら嬉しいです。

2017-01-03

[]メモランダム2017.1.3

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 新年あけましておめでとうございます!昨年はあまり記事更新できなかったにも関わらず、多くの方にご訪問いただき有難うございました。今年もご愛顧のほどよろしくお願いします。

 ところで聖子さんの紅白でのパフォ、何だか印象に残らなかったですね〜。

f:id:hiroc-fontana:20170103212524j:image:medium:leftイントロが流れた瞬間に(映像ではあのYOSHIKIピアノ伴奏・・・)ワタシ、「え?CD?」って思いましたもの。まあ、忠実にCD再現した完璧に近い演奏だったのか、あるいは史上最高の「パク」パフォーマンスだったのか、どちらでも良しとしときましょう、ここは。新年ですし(笑)ライト聖子ファンが、「聖子、やっぱりウタうまいじゃない!」と思ってくれればそれでいいわ、なんて。(実際に、聖子には全く興味の無い友達(♂60代)が、“今回の聖子の歌、よかったね〜”なんて言ってましたしね。シメシメ(笑)

 でもね。ファンとしては、それにしては演出(なんでYOSHIKIがメインステージ聖子がサブステージやねん!)も、歌唱シーン(たとえ「パク隠ぺい工作」にしてもカメラ、引きすぎちゃう?)も、衣装ドレス、黒!)も、地味すぎて残念でしたわ〜。ヘンテコ演出が目立った(苦笑)今回の紅白の中では、インパクトが欠けていたような気がするのよね。土屋タオを(なぜ?の嵐!)ダンサーに引っ張り出したヒロミ・ゴーなみに、セイコの曲でも誰かを踊らせちゃうとか、すればよかったのにね。主題歌ドラマがらみでタッキーとか(無理だろうけど)。いっそ、ムカシのよしみでヒロミ・ゴー本人に頼み込んで華麗に舞ってもらっちゃうとかね(笑)。これ、話題かっさらったわね、実現したら。

 ・・・そんな感じで、今年も紅白、ナニゲに楽しませていただきました。文句言われようが存在価値を疑われようが、やっぱり紅白紅白話題性はもちろん、お金のかけ方が半端じゃない。これに代わる番組は、無い。それを痛感いたしましたわ。

 

 昨年末11月12月と2カ月立て続けに風邪を引いて寝込んだあげく、年末にはギックリ腰になってしまって、普段マイペースな私もさすがに落ち込んでしまいましてね・・・。そのとき周囲から一年の厄落としだったのじゃない?」なんて励ましを頂いて、あ〜そうかと思いましてね。一念発起、これを機に、古くなった身の回り品も全部新しくしてスッキリしちゃおう!なんて考えたんですね。

 ワタシ、もともと基本的に物持ちは良い方で、たとえ安物でも、気に入ったものは長く使うタチなんです。

 それで大晦日の日に、思いきって古くなった鞄と財布、スマホケースを買い換えたんです。何せ、鞄と財布は5年間、スマホでさえも3年間は使い続けてきたモノ。その間ほぼ毎日行動を共にしてきた訳だから愛着もハンパなくてね。いざ捨てる段になったらやっぱり捨てられないんです。

 結局は、使い古した鞄も財布もスマホケースも、新調したモノが入っていた箱やら袋やらに丁寧に収納して、押し入れの中に・・・。「ありがとうね」なんて言いつつ。こうしてまた、モノが増えていくのですね。振り返ればこの人生、色々な面で、同じようなことしているかもしれませんわ、ワタシ。

 古い自分は押し入れに押し込んで、気持ちだけは一新して、新たな年・2017年を迎えています(苦笑)。

 

 前にもちょっとだけ書いたことがあるのですけど、ワタシ、年末にその一年出来事や1年間にお世話になった人々との交流を振り返って、簡単一年の総決算のメモを作っているのです。10年前くらいから。それを見ますとね、あ〜、この年はこれがあったんだ〜と、忘れ去っていた人や出来事を改めて思い出したり、あのころとは環境自分も随分変わったのだな〜なんて、多少は(自分の)変化を実感出来たりもするのです。

 実はそれと一緒にワタシ、毎年「●●年(翌年)の自分」というテーマ未来日記も書いていましてね。年末年始の、できるだけ誰にも邪魔されない、心が透明な時間帯に、そのときの自分潜在意識の中で感じている自分課題をあぶりだして、それを克服するイメージで、未来日記を作るのです。文章はできるだけ明瞭に、断定する形でね。

「予想もしなかった。1000万円の宝くじが当たって、セレブ生活を送ることになった。俺はシアワセだ。」とか。

←ウッソで〜す!こんな非現実的なことは、書いたことはないの・・・怖くて。ワタシが書くのは、あくまでも今の自分課題を乗り越えたあとの、今よりスッキリとした未来日記

 この未来日記も書き始めて10年になるわけで、読み返すと、もちろん結果が全く違っていることも沢山あるけれど、現実化していることも少なくないことに気付くのです。

 要は、どんな良い未来を迎えたいか、年に一度でも前向きにそれを考えることが大事なのかな、なんて思うのです。そうした集団意識が、よりよい未来を創っていくのかな〜、なんて。

 一年のはじめなので、ちょっとコッ恥ずかしいポジティブ過剰なお話。ご容赦くださいね。

 

 今年も、皆さまにとって良い年となりますように!

2016-12-23

[]セイコ・アルバム探訪2016冬編〜その2『Snow Garden』

f:id:hiroc-fontana:20161219211203j:image:w240:right 今年の年末紅白に出演する聖子さん。歌う曲は「薔薇のように咲いて桜のように散って

【早期購入特典あり】薔薇のように咲いて 桜のように散って(初回盤A)(DVD付)(特典:ポストカード付)に決まったそうで、やはり今年のこの曲のヒットは彼女にとっても特別だったのかしらね。昨今の紅白を考えれば、彼女クラスベテランがその年に出した曲を歌えるというのは、大したものよ。(さゆりさんなんて、今年も「天城越え」だものねっ!)

 さて、お約束通り、Stereosound誌監修による再発クリスマスアルバム&ハイブリッド盤レビューの2回目は、オリジナルでは1987年11月21日発売、『Snow Garden』です。

 発売当時の記録は、オリコン最高位1位、29万枚の売上。先行シングルPearl-White Eve」収録があったとは言え、イレギュラー企画盤でこの最終売上は、スゴイわね。この時期の聖子さん、サヤカちゃんの子育て時期という事もあって、メディア露出が少なくてファンは飢餓感を煽られていたわけだけど、その一方で休養たっぷり、心身とも充実していたに違いない聖子たんのフィジカルコンディションは最高で、長いキャリアを通してみても、この時期の声の美しさは格別。透明感があって、表現も非常に繊細なものが多い。そんな時期のアルバムが、声の輪郭がくっきりと出るリマスタで再発された訳で、ホント幸せよね。プロダクションノートによれば、デジタル化が進行していた80年代後半の制作にも関わらず、このアルバムマスターのほとんどがアナログ・テープに録音されていたとのこと。そこに録音されていたアナログ特有の艶のある滑らかな音をなるべく手を加えずにDSD(ダイレクトストリーム・デジタル)変換したものが、このSACD盤。

 実はね、前回『金色のリボン』のときとはこちらの試聴環境も違っていまして、晴れてSACDプレーヤーが我が物になったのです!(メリークリスマスフォー・ミーよ!)ということで、今回はきちんとSACD層を聴いた感想も加えます。

 アルバムのオープニングは、かなり前にセイコソングスでも取り上げた名曲Prease don’t go」(作詞松本隆作曲南佳孝編曲井上鑑)。こちらは冒頭にクリスマス街角喧騒から、彼が旅立つ駅に迷いながらも向かう女性の靴音、そして駅から蒸気機関車が走り出す車輪の音…イントロに至るまでの効果音だけでもまるで、短編映画を観るかのようなドラマチックな作り。このアルバムプロデュース松本隆さんなのだけど、同年に映画微熱少年』を監督しただけあって、かなり演出にリキが入ってるわ〜、という印象。一方の聖子さんのボーカルは全編ウィスパーを駆使して繊細な世界を作り上げていて、見事にそれに応えている感じ。SACDの音はドラマチックなバックのど真ん中に、情感を細やかに紡いでいく聖子さんの歌声がくっきりと浮かび上がっていて、SE含めて7分半という長い曲にもかかわらず、終始とても贅沢な時間が流れていく気がするのよね。

 2曲目は「妖精たちのTea Party」(詞:松本、曲:鈴木康博、編:西平彰)。ファンタジックテーマからいって同年5月発売の『Strawberry TimeStrawberry Timeに収録されてもおかしくない曲だったはずが、何らかのオトナの事情でこの盤に収録になったのかもね。とはいえ元オフコースオリジナルメンバーだった鈴木さん、かのバンド小田さんワンマンバンドになってしまった鬱憤を晴らすがごとく、ここではポップで印象的なメロディー聖子たんに贈っています。確かこの曲、「なるほど!ザ・ワールド」のテーマ曲にもなったのよね。イイ曲だからシングルカットしても良かったのにね。音の方は、いかにも80年代後半を感じさせる打ち込み系サウンドをバックに、まるで子供童話読み聞かせるようなママドル・セイコの優しい歌声が鮮やかに蘇っています。

 3曲目には先行シングルの形でリリースとなった「Pearl-white Eve」(詞:松本、曲:大江千里、編:井上PEARL-WHITE EVE(CCCD)イントロに、教会の聖歌風のコーラスを加えたロング・バージョンを収録。この曲のこの”聖なる世界”は、やはり唯一無二という感じ。この当時の聖子さんの声でなければ創りえない世界、と言っても過言ではないと思う。今までのリマスタではボーカルエコーでぼやけてしまいがちなところを、SACD盤では慎重にコントロールされた美しい発音発声リアルに浮かび上がってきて嬉しい。それと、バックで微かに聴こえる鐘の音がとても綺麗に響いてくるところも素敵。

 “Today’s Avenue Side”と題されたLPでいうA面最後収録曲は切ないバラード恋したら・・・」(詞:松本、曲:辻畑鉄也、編:奈良部匠平)。「♪一人の時間は長くてこわい そばにいて」などと、松本さんにしては体温高めな(笑)恋歌を、ママになった聖子さんのアクが抜けたボーカルがより大きな世界観を湛えた曲に昇華させている感じ。『Strawberry Time』でもアルバムラストに「Love」という名バラード聖子たんに提供した辻畑さん、こちらもA面最後を飾るに相応しい出来。米米なんかを手掛けていたという奈良部さんのやや大仰なシンセアレンジは、ちょっと好みじゃないのだけどね(汗)。

 さて、“Yesterday’s Street Side”となるB面の残り6曲は、冬をイメージした過去曲の再収録5曲(「一千一秒物語」「瞳はダイアモンド」「ハートのイアリング」「愛されたいの」「Let’s Boyhunt」)に、1982年クリスマス企画盤『金色リボン』の収録曲星のファンタジー」(曲編:大村雅朗)を改題・改詞して歌い直した「雪のファンタジー」を収録。

 過去曲では「一千一秒」のボーカルのくっきり具合にしびれ、「瞳は」では喉を酷使した当時の聖子さんの声の荒れがあまりにリアルでびっくりしたり、どれもやはり新鮮に聴こえてくる。なお「Let’s Boyhunt」のみ、エンディングにスキーのエッジ音がミックスされた特別編集最後の「雪のファンタジー」は、声の切なさで聴かせた1982年録音「星の〜」と比較すると随分とアクが抜けてあっさりとした印象だけれども、静けさ湛えたこの曲に寄り添うようなピュアで繊細なイメージはこちら(1987年録音)のボーカルが勝っていて、メロディとアレンジは同じでも、全く違った印象の作品に仕上がっているのが凄いところ。ちなみに聖子さん、「ファンタジー」では曲の最後に“Merry Christmas.”と控えめに囁いていたのが、5年後の「ファンタジー」では“I Wish You a Merry, Merry Christmas, with this song!”などと自信たっぷりイングリッシュを「披露」していて、これぞ聖子たん、という感じ(笑)

2016-12-18

[]セイコ・アルバム探訪2016冬編〜その1『金色リボン

 これから2回連続で、Stereo Saund誌監修によるSACDスーパーオーディオCD)盤で再発されたクリスマス・アルバム2枚を取り上げます。

 今回は、1982年冬に発売された『金色のリボン』。f:id:hiroc-fontana:20161218155739j:image:medium:right

 ユーミン三部作(赤スイ、渚バル、小麦色)の連続大ヒットで、タダのトップアイドルから時代を切り拓くアーティストのひとりに変貌した感のあった、1982年聖子たん。ユーミンブランドをまとって以来、ナニゲに高値感を醸し出し始めて、アルバムも『Pineapple』『Candy』の2作がニューミュージック系の大御所作品を凌ぐ大傑作&大ヒットになって、もう絶好調だったこの年の年末に、さらにこんな素敵なクリスマス・アルバムも出してしまうという、まさに当時の聖子スタッフ、離れ業よね。

 そんな作品SACDとして、アルバムとしては例の10万円BOX以来となる再リリース収録曲的には1984年編集盤『Seiko Avenue』Seiko・Avenue2009年の『Christmas SongsSeiko Matsuda Christmas Songsでほとんどリイシュー済みとはいえ、やはりオリジナルのパッケージで且つイイ音での再発というのは、価値があるというもの(とはいえ、ワタシの場合、まだSACDプレーヤーは持っていないのだけど・・・涙)。

 さて、聴いてみましょう(ハイレゾ・ウォークマンちゃん、オネガイ!(笑))。まずは「クリスマス・メドレー」。赤鼻のトナカイジングルベルサンタクロースがやってくる・・・。ワオ!スタンダードクリスマスソングの数々を、丁寧に歌いあげる20歳の聖子ちゃんが確かにマイクの前にいる!シンセのバックがちょっと安っぽいのがイタダケナイものの、このテの企画ありがちな、肌が泡立つような恥ずかしさもなく、しっかりと聖子節でチャーミングに童謡を歌いあげる聖子さんの天才ぶりに改めて感動。続くはユーミンカバー恋人がサンタクロース」。最後にはサンタに遠い街に連れて行かれてしまう“隣のオシャレなお姉さん”こそがユーミンで、このウタの主人公聖子ちゃんしかいないわ、というくらいにピッタリ自分の歌にしている。音程甘くくぐもりがちな低音も、なんと瑞々しいボーカル再現

 続くはオリジナル3曲。「Blue Christmas」は財津和夫さん作曲バラード。“♪青い〜っ キャンド〜ル〜 火をと〜っ もして〜」。しっとりと透明感のある声を絶妙にしゃくり上げながら切なく歌いあげる聖子たん。くっきりとした音で聴くと、声の閉じ方に独特の情感がこもっていて、本当にうまいな〜、と思わされる。続いてはセイコ・ソングスでも取り上げた「ジングルベルも聞こえない」。“♪イヤ!来ない〜でよ”。この、リアルニュアンス恋人同士の痴話ゲンカが、ホント、愛くるしく思えてくる。さて、発売当時は2枚組LPで、45回転アルバム企画盤で「Blue Christmas」と題された1枚目の最後を飾るのは、大村雅朗さん作曲ワルツバラード星のファンタジー」。SACD的には、静かな低音の歌い出しで微妙ファルセットを絡めた優しさ溢れるボーカルが、聴きどころ。この曲、もう1枚のクリ・アル『SNOW GARDEN』では「雪のファンタジー」として詞を変えて再録されるのだけど、個人的にはこの若くて新鮮な情感にあふれる82年バージョンの方が好きかな。

 さて、2枚組LPの2枚目は題して「Seiko ensemble」。シングル小麦色のマーメイド」をオープニングに、聖子たんのラジオ番組主題歌HAPPY SUNDAY」、シングル風立ちぬ」のカップリングRomance」、映画サントラから野の花にそよ風〜サブテーマ」」、「野ばらのエチュード」のLPテイクという、アルバム未収録の5曲に、「赤スイ」「チェリブラ」など、季節的に違和感の無い人気曲を寄せ集めた(苦笑)10曲。

 この中ではやはり1曲だけ「夏!」な(苦笑)、「小麦色のマーメイド」のアンニュイボーカルが鮮やかに再現されていて、やっぱり素晴らしいな〜、と。打ち寄せる波をイメージさせるイントロギターリフレインの艶やかな音色もさることながら、「♪プールに飛び込む あ〜なた〜」の「た〜」のところが吐息声になりながら「た〜」としっかり甘えて終わるところなんかが今回のリマスタで見事に再現されていて、もう、たまりませんわ。

 LPテイクの「野ばらのエチュード」は、テンポシングルバージョンよりゆったりしていて、なるほど収録アルバムCandy』のシックイメージに近いとはいえ、歌い方がずいぶんとブリッコな印象で、ああこれじゃ、あのアルバムでは浮いてしまったかもね。でも今聴くと、ある意味、新鮮で、貴重だわ。

 

 さて、次回は1987年冬発売の『Snow Garden』の予定です。いつになるか、わからないけど・・・

2016-12-17

[]メモランダム2016.12.17

  • 何があったにせよ

 俳優の成宮さんの薬物疑惑、そして突然の引退表明・・・

 直筆のメッセージでは心の動揺もあってか、ハッキリとしない部分があるにせよ、「引退」という結末を選んだことで、ゲイであることも、薬物を常用していたことも、認めてしまったことになるのでしょうね。

 仕事場では「真面目な苦労人」として振る舞い、仕事仲間からの評判も決して悪くなく、着実に俳優としてキャリアを積んできたところにいきなり、それを覆すようなプライベートの部分を、信用していた仲間から暴露されてしまったショック、その心理的ダメージは、想像に難くない。

 でもね。やっぱりちょっと腑に落ちないのです。

 引退メッセージには、禁止薬物を使っていた(かもしれない)という事(こと)の重大性については否定説明もお詫びもなく、ただ「仲間から裏切り」という被害者的側面ばかりを強調し過ぎているように思えてしまうのです。

 精神的な未熟さが露呈していますね。

 ゲイであるわが身を振り返ると、その辺りもどこか身につまされる気がしてしまうところも、残念でなりません。

 

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 傑作!との呼び声が高い本作、観てきました。

 漫画家、こうの史代さん原作ということで、私はこうのさんの作品では2004年に出た「夕凪の街 桜の国夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)という漫画本をずっと前に買って読んでいまして、その淡いながらも、じわじわと胸を締め付ける切なさが大好きで、今回の映画も楽しみにしていたんです。

 期待に違わぬ素晴らしい映画でした。絵の美しさでは先の「君の名は。」も素敵でしたけど、こちらの「世界の片隅」の方は、まさに水彩画日本画的な、儚い美しさ。日本人の心の原風景でもある戦前自然あふれる風景を見事に再現していて、一見淡々と進んで行くストーリーからこそ、この穏やかな淡い風景の中に主人公と一緒に自分も溶け込んでいくような、そんな錯覚さえ覚えました。

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 舞台は、昭和20年前後の広島。日本が戦争にのめり込み、そして敗戦を迎えるころまでの時代を、主人公・すずという平凡な女性を通じて描きます。すずさんは、少しのんびりした性格で、絵を描くのが大好き。映画の中では、彼女の目を通して、瀬戸内の海に立つ白波が跳ねる白ウサギになったり、呉が軍港ゆえに何度となく襲われる空襲では、青い空に現れては消える白い爆煙が、まるで画用紙に落とした絵具の滴のように描かれたり、はたまた主人公が悲しくも時限爆弾の爆発に遭って大けがを負う場面では、無音の暗闇に白チョークのパラパラ漫画のような絵が続く・・・といった感じで、暗い時代背景でありながら、主人公純粋な心の目を通して、全編がイマジネーション豊かな世界観に彩られている気がします。

 そして、特筆すべきはやはり、主人公すずの声を演じた、のん能年玲奈)。あの、とぼけたような話し方がのんびりとした性格のすずさんに活き活きと命を与え、健気さと独特のユーモアを感じさせて、人物像に深みを加えています。それがゆえに淡々した印象のこの物語が、市井の人々が健気に懸命に生きて行くということの背景に横たわる、何とも言えぬ“切なさ”を強く感じさせるものになっているような気がするのです。この映画が傑作になったのは、彼女の声があってこそ。そう言っても過言ではありません。

 淡々と生きる主人公・すずは、10代で言われるままに何の疑問もなく嫁入りし、気が付けば夫を愛している自分に気付くのです。そんな彼女人生のある時期、戦争が始まり、空襲が酷くなって身のまわりから物が無くなり、彼女自身も大けがを負い、心も大きく傷つき、でもいつしか戦争も終わって、港に沈む軍艦を横目に、また闇市に買い物に出る彼女がいるのです。そして街は廃墟になりますが、すずが住む、丘の中腹の家の周りには戦争前と変わらない、のどかな田園風景が広がっている・・・

 たとえ大きな力によって人生を歪められることがあるとしても、それでも人は健気に生きて行くのです。小さな楽しいこと、嬉しいこと、自分にとって素敵なことを探しながら、それぞれの心に小さな希望の灯をともして。それで、いいのですよね。最後はそんなシンプルメッセージが、心に響いてきました。

 いい映画でした。

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2016-11-28

[]額の刻印

 また、やってしまいました。

 その日、久しぶりに会った友達と盛り上がって、つい調子に乗って日本酒をグイグイ。少し前に風邪で寝込んで、しばらくお酒が飲めなかったこともあって、もう、ホントに美味しくて。

 でも私、過去に何度となく日本酒で失敗していることをその時は都合良く記憶から消し去っていたんですね。

 友達と別れたころ、おそらくすでに酩酊状態だったワタシ。帰りの駅の階段で蹴つまずいて、おでこを強打。と言ってもそこは酔っぱらいです。さほどのダメージを感じずに改札に向かっていたのです。それで、駅のホームに向かう途中、若い女性に突然、呼び止められたんです。

 「大丈夫ですか〜?!」と。

 え?と振り返る私に、女性はバッグから取り出したティッシュを数枚渡してくれ、「これで、とりあえず…」と、顔を拭く仕草

 言われるままに顔を拭いてビックリ‼️

 流血してる!それもかなり多量に…

 女性心配そうに、さらにバッグから絆創膏セットを渡してくれて、「本当に、大丈夫ですか〜?」と。

 私、これはヤバイ、と思いつつも、これ以上見ず知らずの人に迷惑をかけてはいけないという気持ちと、それ以上に恥ずかしさから

 「だ、大丈夫、と、とにかくだいじょ〜ふ、れす、から…。」

 呂律も回らないままに言い訳しながら、彼女から逃げるように踵を返して、とりあえず駅の外に出て、タクシーを止めたのです。

 あとはショックで、急に回り出したアルコールのせいで家の住所を運転手さんに告げるのもやっとこさ。クルマが走り出したのもわからないくらいに、あっと言う間に前後不覚状態に陥ってしまい、着きましたよ!と叩き起こされてやっと、ああ・・・帰れたんだわ、と。そんな状態で。

 

 翌朝。あの状態でいつの間に自分で貼ったのか、眉間に十字に貼られて血の滲んだ絆創膏を恐る恐る剥がすと、眉間のすぐ下に、パックリと3センチほどの傷が・・・。そして鼻の真ん中が無残に腫れて、まるで私はロッキーか?アバターか?みたいな。 アバター 3Dブルーレイ&DVDセット(2枚組) [Blu-ray]ロッキー(特別編) [DVD]

 この傷、しばらく消えそうにありませんが、これから忘年会シーズンに向けての自分への戒めとして、むしろ残っていて欲しいくらいです(苦笑)。

 それにしても、です。見ず知らずの酔っぱらいオヤジにきちんと声をかけてくれて、ティッシュと絆創膏をくれたあの若い女性。その優しさに、今更ながら感謝です。この世の中、捨てたもんじゃないですわ。生きてて良かった。いろんな意味で、そう思いました。

 あの時の彼女に。しっかりとお礼も言わずに申し訳ありません。本当に、ありがとう!

2016-11-21

[]スマップオトナ買い

世界に一つだけの花

 最近マイブームスマップ比較的新しいシングルをゴッソリと買って、聴き漁ってるのだ。

 すっかり解散カウントダウンに躍らせてるわよね、全く。

 まあ、以前も記事にした通り、元々スマップの曲はキライじゃなかったのだけど、カネにモノいわせた事務所戦略には決してだまされないわ、と意地で聴かなかった部分が大きいわけでね。実際、今回聴き漁ってみて、改めて良く出来た曲がとても多いナ〜と思ったし。

 今回の“オトナ買い”のきっかけは、25周年のベスト盤のインフォSMAP 25 YEARS (初回限定仕様)があって、有終の美を飾ってくれるならこれは買ってみようかしら…と楽しみにしていたのに、いざ正式発表された曲目を見てみたら、あら前に買った2枚のベスト盤(『VEST』『SMAP AID』)Smap VestSMAP AID(スマップエイド)期間限定発売げんきのRED-AIDハンカチVerで充分だわ〜という感じだった上に、自分としては聴きたかった「僕の半分」が入ってないし、これなら別にシングル買っちゃった方が安上がりだわ、なんて思ってね。

 でもそこがミステイクで、そこから始まっちゃったの、悪い癖。「僕の半分」をアマゾンポチっとやったら、横に「さかさまの空」が表示されて。あっ、この曲もイイのよねー、ポチっ、なんて。笑。そんな調子で結局、あれもこれもと計8枚をオトナ買い…。

 血迷った独身中年ゲイ無駄遣い?いいえ!思わぬ出費にはなってしまったけれどね、無駄遣いではなかったわ。キッパリ。ちなみに買ったのはこれらの曲。

 ああ、スマップ、いいわ。特に晩年(?)の曲は間違いなく…。もう、そう言ってしまってもいいわよね。

 まずボーカル。何事もとにかくソツないキムタクはいはい、巧いのはわかりましたよ…みたいな)を中心に、キムタクグラニュー糖をまぶしてアイドルチックに仕上げた感じ(何気にこちらも技巧派ボーカル)の吾郎くんに、グループ随一のオトコ声のストレートさが時に驚くほどイイ味を出す慎吾ちゃん。ふんわりとした人柄が歌声にも現れたようなソフトさが魅力のくん。そして年を重ねる中で見事そのグニャグニャなヘタウマボーカルを“オンリーワン”にまで昇華させてくれた中居くん。初期中期のスマップのウリが息の合ったユニゾンコーラスだったとすれば、後期からはいつの間に完成された5人それぞれの個性的ソロボーカルをフィーチャーした曲が中心になって、後期スマップはそれでまた魅力が倍増してるのは確かで。

 そして作家たち。古くは山崎まさよしマッキーからデリコ斉藤和義、クボジャーサカナクション、林檎ちゃんにヒャダインに果てはゲス乙女まで…旬な作家(と新進気鋭の若手たち)から今どき信じられないほど贅沢に曲提供を受けて、後期のその作品群の充実ぶりはまるで、ビートルズ解散までの道程を辿るようで(ちょっとオーバーなのは承知の上でね)。

 そして、彼らの曲の魅力は、何故かどの曲にもそこはかと漂う、哀愁。たとえタイトル曲が元気イッパイでも、カップリングではほぼ例外なく泣かせてくれるのね。そう、スマップカップリング曲も洩れなく素晴らしいというのが、シングルオトナ買いしたからこそ知り得た事実

 尤も、こうしてライトなファン(ということにさせて!)たちが騒ぐほどに渦中の彼らは解散イベントを楽しめていないだろうことは、あの解散謝罪会見を見ただけでも充分わかるわけで、だからこそ、今のうちに音楽面だけでもその足跡をキチンと再評価してあげましょうよ。

 これまでに発売したシングルが55枚すべてトップテン入り。連続10位内獲得曲数の歴代1位は勿論スゴイけれど、「世界に一つだけの花」「夜空のムコウ」「らいおんハート」など、音楽使い捨てられるこの時代に、これからも歌い継がれていくに違いない名曲の数々を残してくれたという、それだけでも、ジャニ系で成功したグループは数あれども、やはり彼らは「別格」だと思うのよね。

 歌う時の一人一人のポージング(いわゆるダンスではなくて)の優雅さではピカイチだった彼らが、もう揃って歌う姿を見られなくなるというのは、やっぱり少し、寂しいわね・・・

2016-11-12

[]『宇宙図書館松任谷由実

宇宙図書館(初回限定盤)(DVD付) ユーミン38枚目、3年ぶりの新譜です。アルバムチャートではオリジナル盤としてほんっと〜に、久しぶりのウィークリーNo1を獲得(おそらく97年の『Cowgirl Dreamin'』以来)。御年62歳での1位。女性ではライバルまりやを抜いての“最年長記録”だとか(苦笑)。

 デビューから40年以上の歳月を経る中で、人として、良くも悪くもおそらくは市井の人々には想像も出来ないような経験を重ねてきたに違いない、この方。凛とした強気姿勢を崩さずに、常に才気溢れる“ユーミンであることを求められ、その期待に応え続けてきたそのプレッシャー想像するだけでも、平凡極まりない人生を送って来た自分なぞは目が眩むばかり。

 でも。どんな人生にも分け隔てなく、そして容赦なく、刻々と時は刻み続けているわけで。

 70年代のユーミン、80年代のユーミン。90年代、00年代、そして2016年・・・。その間にユーミンが重ねてきた「時」がいま、こうした形で表現されて、自分の重ねてきた“時”と重なっている、そこが、奇跡・軌跡・奇跡・・・に思えて。

 『宇宙図書館』を聴いて最初に感じたのは、そんなこと。

 かつての、その時代に落とし込まれた縦糸・横糸を拾い上げて、次々にキラキラと輝くタペストリーを織り上げていく言葉メロディー職人ユーミンの影は、もう随分と薄くなって、今の彼女は、黙々と土を練り釉薬を慎重に選び抜いて、深く静かに自分の色を表現していく陶芸職人のように思える。いま、ユーミンが創る音楽は、まずは彼女自身との対話であり、彼女が重ねる時であり、おなじ時を伴走してきた者のみがその価値を分かち合えればよいもの、もしかしたら今、彼女はそんな風に考えているのかもしれない。

 このアルバム新譜だし録音もとても良いけれど、その一方メロディーもアレンジ(「AVALON」は80年代TOTOみたいだし、EDMの「星になったふたり」はユーロビートに聴こえるし)も、新しいものははっきり言って、何も無い。歌声も少し錆びついて、かつのての“α波ヴォイス”はほとんど失われてしまった。でも、これでいいのだ。この作品こそ、ユーミンが重ねてきた時間、そのものから。俺にはなぜか強く、そう思えたのよね。

 ダウンロードで1曲1曲がキリ売れされ、便利さ・手軽さを前に、総合芸術であるべきCDアルバムの意味さえ忘れ去られた現代、いささか気合いの入り過ぎた、この素晴らしすぎるアルバムジャケットの装丁だけを見ても、ユーミンの想いが痛いくらいに伝わってきて。

 穏やかなバラード宇宙図書館」に始まり、荒涼とした荒野を思わせる勇壮な曲調の中に、失った人を追慕する果てしない想いが切ない「残火」、ふとした瞬間のこの世界の美しさと儚さ、その一瞬を切り取った「Sillage〜シアージュ」は鮮やかな抽象画を見るようで。オープニングから3曲を聴いただけでも、ここにいるのは、いつもの・変わらないユーミン

 懐かしい声、耳に馴染むメロディー。曲を聴きながら自分もいつしか何度も過去に旅して、そのときどきの思いを探りながら、それでいてユーミンが時折繰り出す、言葉の鋭さにハッとして我に返る。それはまるで、時空を越える旅。そんな感じ。

 夢の中であなたは なつかしい服着て

 忘れていた未来を 教えてくれる

  「宇宙図書館」詞:松任谷由実

 

 『宇宙図書館』は、ユーミンによれば、すべての人の過去記憶が収められた、宇宙の図書館アカシック・レコードね。まさしくそんなイメージがこのアルバムを通じて出来上がっているのが凄くて、私も時空の旅、いつのまに何度も・・・

 過去に戻って、忘れていた未来を取り出してこよう。

 穏やかでどこか懐かしいこのアルバムからユーミンがくれた素敵なメッセージ。じっくりと味わいたい。