スルット関西春の3Dayパス

今回初めてこの3Dayパスを購入したのですが、非常に有益であることがわかりました。私の場合行きは私鉄に乗るには遠回りをする必要があるのが難点ですが、その難点を補っても十分な使い勝手のよさがあることが今回よくわかりました。今度は秋の芸術・行楽シーズンにまた購入しようと思います。

「20世紀の始まり ピカソとクレーの生きた時代」展 兵庫県立美術館

スルット関西3Dayパスの期限ギリギリ(期限が10まで)の今日、展覧会を2つ見てきました。まずは、1つ目の「20世紀の始まり ピカソとクレーの生きた時代」展の感想です。

ドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館(私はこの州の名前自体を初めて聞きましたが、デュッセルドルフ←これなら聞き覚えがある!がある州だそうです。)が改修のため休館中なのでこんかい大量に所蔵作品を展示できたとの事。ちなみに、タイトルには「ピカソ」と入っていますが、実際には6点の展示で、他にはマティスシャガールなんかが展示されていました。

ほぼ全体的に抽象画なので、正直凡人にはわからない作品がほとんど(爆)でした。解説の方も

解体されてしまっており、何が描かれているのか難解である

とはっきり書かれている作品もあったりとなかなか芸術は難しいです(笑)

それでも、有名な作品(まぁ、私でも教科書なんかで見たことがある作品ですね)は何点かありまして、たとえば、ピカソの「鏡の前の女」なんかは明らかに他の作品とは違うオーラが出ていました。解説によるとピカソの恋人とのことでしたが、なるほど、優しい感じが絵から出ていました。

また、クレーという人は今回初めて知りました。ピカソ同様、キュビズムの画家のため私にはどこに手があって足があるのか?よくわかりませんでした。その中でも、一点、四隅に顔や手や足がばらばらに描かれた上で中央にハートが描かれている絵があったのですが、これは不思議な暖かさを感じる絵でしばらく立ち止まって見てしまいました。

フロインドリーブ

昼食は、三宮まで行きまして「フロインドリーブ」というパン屋さんのカフェに行き、サンドイッチを食べました。ここで私は生まれて初めてナイフとフォークで食べるサンドイッチを食べました(笑)。
 
詳細は、ネットで調べていただくといろいろ出てくると思いますが、想像するようなサンドイッチではなくかなりボリュームのあるサンドイッチです(あまりにも分厚いので串でとめられています)。そして、おいしい!スープや付け合せのサラダ・特にピクルスは美味しかったです。まぁ、値段もサンドイッチとは思えない値段ですが(笑)。

また、最初に水と小さなクッキーがサービスされるのですが、このクッキーがうまい!。そんでもってお土産に買って帰りました(しかし、クッキーも高い!サービス料が高いんでしょう)

杉本博司 歴史の歴史

さて、神戸を後にして向かったのは、大阪の国立国際美術館で行われている「杉本博司 歴史の歴史」展です。

私がこの方の名前を知ったのは、この国立国際美術館の年間展示予定に載っていたのが最初で、U2の最新アルバム「No Line On The Horizon(2009-02-26の日記)」のジャケット写真に使われていたことで「見に行ってみよう!」と決定付けられました。

展示は、杉本氏が自ら収集した古物品を展示した上でそれが実際の写真にどのように影響を与えているのかを並べて展示するという、面白い展示となっていました。展示品の幅の広さは驚くものがあり、「化石(アンモナイト・恐竜など)」「仏像」「仏教画」「経典」「能面」「古木材(昔のお寺のもの)」「銅剣」「隕石」「宇宙食」「ロケットの着陸時に使用したパラシュートの切れ端」「解体新書」「解剖図(西洋のもの)」「アメリカのTIME誌の第2次大戦前後のコレクション」などなどまさに「なんでもあり」の状態でした。そのため見ながら「博物学」という言葉が思わず浮かびました。


なかでも、私が印象に残ったものは、

  1. 能面のコレクション

 主に、室町時代の作品が展示されていましたが、この時間の重みが能面からは出ていました。以前にTVで「能面は、顔の角度を上げ下げすることによって、表情が笑ったり、悲しんだり、怒ったりという表情を見せるように考えて作られている」というのを見ましたが、実物を見るとなんだか不思議な感覚でした。

  1. 隠れキリシタンのろうそく立て

 背景にはマリア像の絵がかけられており、その前にろうそく立てが置かれていました。最初は「なんだろう?」とわからなかったのですが、花瓶のようなその陶器の模様をよく見ると十字に墨でさりげなく十字架が描かれていたんですね。キリスト教禁教時代の危険を冒してまでの隠れキリシタンの厚い信仰心には驚くと同時に、この事実を理解できた瞬間からこのろうそく立ての強烈な存在感が前面に出てくるには私は驚き、思わず「凄い・・・」と小声ですが声を出してしまいました。

  1. 海景シリーズ

 U2のジャケットで使われた海の水平線を撮影したシリーズの作品群が10枚ほど並べて展示されていました。今回展示されている写真はすべて両手を広げてもまだ広いぐらいにまで拡大された写真ばかりで、最初は離れた場所から見ていたのですが、ふと海の「波」が写っているのに気が付いて近くまで寄ってみると驚いたことに拡大したときにどうしても出てくるノイズが全く見当たらない!!極めて精緻な写真であることに気が付き、これには驚きました。あとで、作者本人の解説映像で

写真を拡大するとどうしても埃(ドット)が写りこんでしまう。そのため、筆を使って手動で手直しをしている

との事でした。もはや、写真というよりは絵画に近いように感じました。
 もう一つ興味深かったのは、場所は違えども同じアングルで撮影された水平線にもかかわらず1枚も同じものが存在しないこと。昨年、神戸で見た「コロー 光と追憶の変奏曲(2008-11-07)」のコローのイタリア・コロッセウムの3枚の習作を思い出しました。この3つの習作では朝・昼・夕方とほぼ同じ位置で描いていたのですが、3枚とも同じ建物にもかかわらず建物の表情が全く違うのに驚いた記憶があったのですが、この水平線シリーズはそれに通じるものが私にはありました。

  1. 米国の雑誌TIMEの表紙

 第2次大戦前後のTIME誌の表紙がズラッと展示されていました。興味深いのは、当時の情勢を的確にあらわしている点です。日本が劣勢になっていく様子や、米国の当時の情勢、さらにはのちのスターリンの大粛清などまで見抜いていたには驚きました。


全部を通してみてみると、なかなか面白い展覧会であったと思います。杉本博司氏に興味が無くてもものは試しに1度は覘いてみるものいいと思います。

しかし、この国立国際美術館には何度か来ていますが、一人のアーティストで全館展示というのは私が来た中では今までありませんでした。この辺も、異例の扱いなのかもしれません。