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法華狼の日記

3000-01-01 このダイアリーについて

hokke-ookami3000-01-01

日記の主な話題は、アニメやネットや歴史認識についての感想。


記事リストは以下。自作小説、へのへのもへじ、アニメや諸文化や歴史にまつわるデマ、等々。

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2016-06-30

[][]さまざまな批判に対する朴裕河氏の反論で、ひとつ気にかかるものがあった

朴裕河氏に時間的な余裕ができたとのことで、少しずつ日本語での反論をインターネットで提示しはじめている。

朴氏自身で反論すること自体は良いことだろうし、朴氏の視点による事態の説明は興味深いところもある。

批判が向う地点はどこなのか? – 鄭栄桓(チョン・ヨンファン)の『帝国の慰安婦』批判に答える – parkyuha.org

たとえば研究会での家父長制をめぐる徐京植氏との衝突は、事実であれば重要な争点になりうるだろう。

私が在日僑胞社会の家父長制問題について発表してから、彼らの態度は変わった。徐京植は「ジェンダーより民族問題が先」だと露骨に話したこともあった。当時研究会のメンバーの中には、公的な場ではそう話す徐京植を批判しなくても、私的な場では徐京植を批判する人もいた。

ただし、こうした主張は最初に発表された2015年の時点で、鄭栄桓氏から反論されていた。

朴裕河の徐京植批判について : 日朝国交「正常化」と植民地支配責任

2000年代前半の徐は「ジェンダーより民族問題が優先」などという粗雑な議論はしておらず、むしろ植民地支配が二つのカテゴリーによる複合的な差別を生み出し、解放後の在日朝鮮人たちも二重の桎梏のもとにあったことを指摘していた。

つづけて鄭氏は1998年の徐氏の文章を引き、「手先」なりの罪が朝鮮人業者にあるという主張や、強制連行を植民地支配の問題としてとらえるべきという主張が朴氏より先行していたことを指摘していた。

むろんジェンダーを問題にしたかった朴氏にとって、複合的な問題ととらえるべきという主張であっても「ジェンダーより民族問題が先」と解釈された可能性もある。


こうした鄭氏に批判されている部分をのぞいて、私個人が気にかかった朴氏の反論は、下記のくだりだ。

徐京植や尹健次は、私の本が日本右翼の思考を「具体的に」批判した本でもあるという点を全く言及せず、ただ「親日派の本」として目立たせたがっていた。

彼らの他にも私が知っている限り、私の本以前には慰安婦問題に対する否定派の考え方を具体的に批判した人は殆どいなかった。韓国や日本の支援者たちは慰安婦問題に否定的な人々に対しては頭ごなしに「右翼!」という言葉で指差しており、金富子が私に対して「右派に親和的」という言葉で非難したことはその延長線上のことだ。

2005年に原著が出版された『和解のために』について、このような自己認識を2015年に提示したことには目を疑う。


私が知らない「韓国」の言論状況については朴氏を信じるとしても、「日本の支援者」が具体性に欠けた頭ごなしの批判ばかりしてきたわけがない。

たとえば下記の2冊は、具体的な事実関係否認論へ反論しているだけでなく、否認論の価値観や枠組みも批判していた。

「従軍慰安婦」をめぐる30のウソと真実

「従軍慰安婦」をめぐる30のウソと真実

脱ゴーマニズム宣言―小林よしのりの「慰安婦」問題

脱ゴーマニズム宣言―小林よしのりの「慰安婦」問題

もちろん具体的な否認論を相手にせずとも、従軍慰安婦問題を解説するにあたって否認論の思考への批判として成立している書籍はあまたある*1

いくら「殆ど」という留保をつけたとしても、有名な裁判でも争われたベストセラーと、第一人者ふたりの共著を無視していい理由にはならないだろう。

先行研究の矮小化と自画自賛がすぎる。これでは先に引いた鄭氏の批判が妥当だろうと感じざるをえない。

*1:むろんインターネットでも、少なくとも2005年より以前から同様の批判がなされていた。発言録の「日本軍性奴隷」という項目で、1990年代後半のメーリングリストでおこなわれた論争が収録されている。

2016-06-29

[][]人材採用コンサルタントで社会保険労務士の稲田行徳氏の、かなり極端な保守論調が気にかかる

存在に気づいたのは、桜井誠氏の都知事出馬会見に対するコメントから。

はてなブックマーク - 【東京都知事選】在特会の桜井誠前会長が出馬表明「トランプに負けぬナショナリズムを」 パチンコ規制も主張(1/2ページ) - 産経ニュース

id:srsrbilly 桜井誠さんが、どういう出馬表明会見をしたかは必見。比べると分かるが他の候補者があまりにも薄っぺらい中。。。。会見動画→ https://www.youtube.com/watch?v=DAKRP5ahOjQ

はてなブックマークでこれまでsrsrbilly氏を見かけた記憶がないので、どのような意見をもっているのかさかのぼって読んでみた。

srsrbillyのはてなブックマーク

全体として、保守としても極論ばかりなことと、福岡県新卒採用の話題が多い。

話題の対象についてメタブックマークスパムと指摘されるほどに偏っている。

はてなブックマーク - はてなブックマーク - srsrbillyのブックマーク


そこで目にとまったひとつが、下記エントリへの無言ブックマーク*1

いわゆる従軍慰安婦問題とはをわかりやすく学べる動画 | 稲田行徳の政治ブログ?福岡市と日本を良くしよう?

慰安婦はいたとか、いなかったとか、ただの売春婦だったとだけ言っていれば良いかと言えばそうではなく、ちゃんと理解することが大事です。

しかし、「慰安婦問題」に関して、ちゃんと学べる教材はありませんでした。一昨日の2015/5/6までは。。。

中韓による歴史捏造から日本を守るべく正しい内容を、英語や韓国語中国語などに多言語化したクオリティの高い動画でYouTubeを通じて公開されているWJFプロジェクトさんが遂に、慰安婦に関しての動画を完成させてくださいました。(完成までに数年かかっているかと思います)

YOUTUBEで学ぼうとする態度は、会見記事のコメントでYOUTUBEを紹介した態度に通じる。


さらにsrsrbilly氏はブックマークだけでなく、はてなダイアリーで面接のノウハウを書こうとしていた*2

そして稲田行徳氏のツイッターに対して、iaia01氏とともに無言ブックマークをしている。

はてなブックマーク - saiyouinada

srsrbilly 採用成功請負人 稲田行徳 採用コンサルタント 人材採用コンサルタン 面接のいなだ

2009/09/07

iaia01 採用コンサルタント 面接いなだ 社会保険労務士 面接官

2009/08/07

iaia01氏のはてなブックマークも、かなりsrsrbilly氏と近しい論調と話題でしめられている。

iaia01のはてなブックマーク

おそらくsrsrbilly氏とiaia01氏は稲田行徳氏のアカウントか、そうでなくてもスタッフあたりが担当しているのだろう。


そして稲田行徳氏のツイッターを見れば、ブックマークより高い頻度でツイートしており、それに比例して思想もだだもれになっている。

稲田行徳@中小企業専門の採用支援(@saiyouinada)さん | Twitterからの返信付きツイート

これでさまざまな大学にまねかれたりメディアに出たりしているそうだが、呼んでいる側はコンサルタントの思想を把握しているのだろうか。

マスコミ・メディア・雑誌・新聞の取材、掲載履歴 | 採用の教科書®〜失敗しない採用・求人・面接の仕方マニュアル〜

また、専門家が非専門領域で素人以下な態度をとる姿は珍しくないにしても、桜井誠氏を推すレベルになると、本業でも厳しいものがありそうだ。

それとも面接官の研修をするような立場なら、極端な保守でも問題ないのだろうか。

2016-06-28 上げたのは1日後

[][]「日本アニメ史上初!女性主人公がロボットを操縦する」というボケに対する反応を見ていて思ったこと

『レガリア』を紹介するブログが勝手に「日本アニメ史上初女性が主人公のロボアニメ」と称して議論勃発!で該当作品ってなんなんだ? - Togetterまとめ

なんで「『レリックアーマー レガシアム』のこと?」というボケ返しがないのだろう。

1987年の作品だから1985年の有名作品『イクサー1』『幻夢戦記レダ』とも近いし、いろいろ話題にできる要素があるのだけども。


それはさておき、2ちゃんねるスレッドで勝手に過大評価するような煽り文句をつけられ、まとめブログで拡散されたという経緯は難儀なもんである。

日本アニメ史上初!女性主人公がロボットを操縦する『レガリア』に期待

よく読めば、スレッドタイトルが制作側と無関係につけられたものだという指摘が初期からある。

19 :アキレス腱固め(茸)@無断転載は禁止2016/06/26(日) 08:54:16.11 ID:Xnc5pHDH0

こういう喧嘩だけを売るスレタイやめろよカス

39 :ニールキック(東京都)@無断転載は禁止2016/06/26(日) 08:56:39.67 ID:y8MbLtVp0

ツッコミ狙いでつけたタイトルだろ

記事にそんな記載ないし

つまんね

しかし下記のようなブログは、こうした指摘がされているのに、それを削ってまとめていた*1

はてなブックマーク - 日本アニメ史上初!女性主人公がロボットを操縦する『レガリア』に期待:(*゜∀゜)ゞカガクニュース隊

捏造への加担といって過言ではないだろう。

*1:多少でもアクセス数をあげたくないので、はてなブックマークへリンクする。

2016-06-27

[][][]『エルミタージュ幻想

エルミタージュ美術館で目ざめる誰かの視点。その誰かは監督らしき独白をする。

その監督らしきロシア人は、古き時代にロシアをおとずれたヨーロッパ人と出会った。

ヨーロッパ人とロシア人は時空を超えたかけあいをしながら、エルミタージュ美術館をめぐっていく。

それはロシアという国の300年の断片をたどる小さな旅だった……


96分間1カットで有名な、2002年に公開されたロシア映画。ドイツや日本との合作であり、NHKの撮影機材が活用されたという。

NHKオンデマンド | ハイビジョンスペシャル エルミタージュ幻想 RUSSIAN ARK

ドイツからロシア皇帝にとついできたエカテリーナ2世のコレクションにはじまる巨大美術館を舞台に、1テイクで撮影された。VFXのような特殊な撮影技術は一部分だけ*1。基本的には入念なリハーサルとカメラマンの努力によって完成されている。

しかしアレクサンドル・ソクーロフ監督が観客に1カットと気づいてほしくないと語っているように、カットがとぎれないこと自体に意味を見いだす作品ではない。冒頭で暗がりに入ってほとんど見えなくなる場面があるし、途中でも絵だけを大写しにする時間がある。1テイクをアピールするなら別の見せ方をしたことだろう。

これはカメラを何者かの視点に見立てて、パートナーとかけあいしながら歴史を体験していく作品だ。だからカメラの視点はずっと人間の目の高さにあり、狭い廊下も群衆の中へも自由につっきっていく。豪勢な舞踏会から退出していくまでのクライマックスは、1カットという趣向を抜きにしても素晴らしいカメラワークだった。


物語としては、アート映画のようでもあるし、教育映画のようでもある。だが、恐れていたほど退屈ではない。

個人的に最も近いと思ったジャンルは学習漫画だ。それも、たかしよいち作品のように時空を超えた旅をして、パートナーと自由に対象を論評するようなタイプの。

まんが世界ふしぎ物語 - 株式会社 理論社

この映画で視点人物のパートナーとなるヨーロッパ人も、ロシアを遅れた国ととらえて、美術館の意匠や収蔵品へ暴言を吐きまくる。さらに廊下で女性を追いかけまわしたり、舞踏会に乱入して女性とダンスしたり。そうした傍若無人すぎる態度が見ていて楽しくなってくる。おかげで映画が辛気臭くならないし、ロシアへの率直な批判もしばしば入る*2

ちなみにヨーロッパ人の正体は、19世紀の旅行記においてロシアの実態アジアだと非難したフランス人の外交官キュスティーヌ。映画の中で正体が明かされることはないが、エルミタージュに代表されるヨーロッパへのアンビバレンツな距離感を、ヨーロッパの側から指摘していった。


ただ、私のようなロシア史を知らない観客に優しい映画とまではいかなかった。断片的に再現された過去の事象が、それぞれ歴史的にもつ意義については、何となく感じるくらいしかできない。映像ソフトのブックレットを読んで、ようやく細部の意味や意図が理解できた。

映画鑑賞というものは感じるだけでも充分かもしれないし、最低限の説明はかけあいで語られるのだが、ロシア史にくわしければ違う感想を持つのだろうな、という残念な気持ちもあった。

*1:舞台の真実を示す情景に使っている他、撮影機材が写るようなバレの修正もしている。バレ隠しについては見ていて気づかなかった。

*2:ヨーロッパ人が知らないソ連時代については、監督の独白で批判的に言及している。