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法華狼の日記

3000-01-01 このダイアリーについて

hokke-ookami3000-01-01

日記の主な話題は、アニメやネットや歴史認識についての感想。


記事リストは以下。自作小説、へのへのもへじ、アニメや諸文化や歴史にまつわるデマ、等々。

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2017-10-19

[][]「日本の新聞記者でよかった」と産経抄はいうけれど、赤報隊事件だけでなく、長井健司氏の銃殺事件もあるよね……

酩酊したかのような与太話が産経抄に掲載されることは珍しくない。それでも今回はひどすぎる。

【産経抄】日本を貶める日本人をあぶりだせ 10月19日(1/2ページ) - 産経ニュース

 日本の新聞記者でよかった、と思わずにはいられない。地中海の島国マルタで、地元の女性記者が殺害された。車に爆弾を仕掛けるという残虐な犯行である。彼女は「タックスヘイブン」(租税回避地)をめぐる「パナマ文書」の報道に携わり、政治家の不正資金疑惑を追及していた。マルタとはどれほど恐ろしい国か。

ミャンマーの民主化デモで、路上でビデオ撮影していたカメラマンの長井氏が射殺されてから、ちょうど十年目だ。

反政府デモ10年、ミャンマーで式典 故長井さん追悼も:朝日新聞デジタル

デモではジャーナリストの長井健司さん(当時50)が射殺された。会場には長井さんの写真入りの布が用意され、多くの人がメッセージを書き込んだ。

「日本の新聞記者」であっても、いくらでも危険な地域で取材する機会はあるはずだ。

せめて巨悪を追及していたジャーナリズムにエールを送ることくらいはできないのか。


さらに産経抄は報道の自由度ランキングへの疑惑を語るが、たいした根拠はない。

 ▼今年4月に発表された「報道の自由度ランキング」では47位、なんと72位の日本よりはるかに上位だった。ランキングを作ったのは、パリに本部を置く国際ジャーナリスト組織である。日本に対する強い偏見がうかがえる。

この文章からは、あたかも日本が常にランキングが下位であるかのような錯覚をまねきかねない。

もちろん状況によって何度となく変動するのがランキングだ。かつての日本は欧米の主要国と前後する順位だった。記者クラブ外にも取材がひらかれた2009年から2012年にかけては、米英よりも高くなったほどだ。そもそも日本が60位より低くなったのは近年が初めてだという。

「報道の自由度」ランキング、日本はなぜ61位に後退したのか? | 日本大学大学院新聞学研究科

2008年までの間は欧米の先進諸国、アメリカイギリスフランスドイツと変わらない中堅層やや上位を保っていたが、民主党政権誕生以降、政権交代の実現という社会的状況の変化や、政府による記者会見の一部オープン化もあり、2010年には最高の11位を獲得している。

2011年の東日本大震災と福島第一原発事故の発生の後、2012年のランキングでは22位に下落、2013年には53位、2014年には59位を記録した。そして今年2015年にはついに過去最低の61位までランキングを下げる結果となった。

自由度ランキングは、権力者による圧力だけではなく、報道側の抵抗も加味されるという。つまり権力におもねろうとする報道が増えるほど、記者が明確な危険にあうまでもなく、ランキングは下がっていく。


さらに産経抄は、権力の疑惑や問題を追及することへの反発をあらわにしていく。

 ▼特定の政治的主張だけを取り上げる、国連教育科学文化機関(ユネスコ)には、困ったものだ。いよいよ問題だらけの慰安婦関連資料の登録の可能性が強まっている。田北真樹子記者は昨日、登録されたら脱退して組織の抜本改革を突きつけろ、と書いていた。

 ▼そもそも国連を舞台に、実態からかけ離れた慰安婦像を世界にばらまいたのは、日本人活動家だった。何ということをしてくれたのか。

実態からかけ離れた慰安婦像を国連でばらまいた活動家といえば、先ごろ自民党から公認された杉田水脈氏のことではないだろうか。

杉田水脈ブログの「【日本国の恥晒し】流石に怖かった今回の国連」というエントリタイトルが自己紹介としか読めない - 法華狼の日記

言及されている田北氏も、記名記事を見るかぎり、一報道を攻撃する日本政府へ追従しているようにしか読めない。

【慰安婦問題】「朝日新聞が『捏造』を報道」「20万人も混同」…政府が国連委でようやく反論 (1/2ページ) - 産経ニュース

杉山晋輔外務審議官は強制連行を裏付ける資料がなかったことを説明するとともに、強制連行説は「慰安婦狩り」に関わったとする吉田清治氏(故人)による「捏造(ねつぞう)」で、朝日新聞が吉田氏の本を大きく報じたことが「国際社会にも大きな影響を与えた」と指摘した。また、「慰安婦20万人」についても朝日新聞が女子挺身隊を「混同した」と説明した。

問題だらけの政治的主張が嫌なのであれば、日本の歴史学会が連名で出した声明を採用すればいいのではなかろうか。

「慰安婦」問題に関する日本の歴史学会・歴史教育者団体の声明 - 東京歴史科学研究会

日本軍が「慰安婦」の強制連行に関与したことを認めた日本政府の見解表明(河野談話)は、当該記事やそのもととなった吉田清治による証言を根拠になされたものではない。したがって、記事の取り消しによって河野談話の根拠が崩れたことにはならない。強制連行された「慰安婦」の存在は、これまでに多くの史料と研究によって実証されてきた。強制連行は、たんに強引に連れ去る事例(インドネシア・スマラン、中国山西省で確認、朝鮮半島にも多くの証言が存在)に限定されるべきではなく、本人の意思に反した連行の事例(朝鮮半島をはじめ広域で確認)も含むものと理解されるべきである。

少なくとも朝日新聞固有の誤報と呼べるものが存在しないことは、元朝日記者の植村隆氏との対談で、産経記者も認めたことのはずだ。

植村隆インタビュー詳報において、産経側の主張が自壊していくまで - 法華狼の日記

この植村氏が脅迫を受けて大学を追われたことを、産経も上記対談で認めているはずではないのか。マルタの事件はけして他人事ではない。

2017-10-18

[]『相棒 season16』第1話 検察捜査

何度も結婚しては妻を殺害した富豪が、自白後に警察を告訴する。取調べで脅迫を受けたというのだ。名指しされた杉下と冠城は身におぼえがない。

しかし特命係をつぶす思惑をもった検察が告訴を受理することとなり、その手先として検察官の田臥が特命係に接触してくる……


橋本一監督、輿水泰弘脚本というメインスタッフによる初回SPで、1時間半枠。しかし物語は終わらず次回につづく。おそらく2時間半枠を想定した物語を、放送の都合で2回にわけたのだろうな、と見当がついてしまう。

このドラマには、放映時間が長くなっても物語内容が通常放映と変わらないため、画面だけ派手で密度が薄くなるという傾向がある。前編だけで物語が終わらなかったことで、いっそう内容が薄く感じられた。


まず事件の謎解きが終わった時点から導入し*1、田臥の視点から特命係の立場や手法人間関係説明していく展開は、今シーズンが初見の視聴者への説明にはいいだろう。

しかし旧シーズンから視聴してきた者としては、捜査時の脅迫を特命係が否認するという物語の基盤が納得しがたい。過去回をふりかえれば、違法な捜査に手をそめることはもちろん、威圧を用いて自白させることは何度もあったはずだ。その暴走する正義ぶりこそがドラマの味わいだといっていい。

今回の事件に限っては、取調べ自体に関与していないという説明がされているのだから、少なくとも今回は違うという説明で押し通すべきだった。


また、劇中の現時点では捜査が終了している連続殺人事件も、新味がなくて娯楽としてつまらない。

異常な性格の富豪が事故に見せかけて殺したというだけで、あまりにフィクションでありふれている設定だ。犯人と気づく手がかりも、豪邸の庭に不似合いな焼却炉を置いていて、不要物を燃やす性格だという心理的なそれだけ。

取調べの全面可視化をテーマにもりこんでいたり、それによる違法捜査をレギュラーメンバーが担当していることで先行きが見えなかったりと、興味深いところもいくつかあるのだが。

*1:見はじめた当初は以前のシーズンの続編かと錯覚したくらい。

2017-10-17 上げたのは1日後

[]カップ麵の米国進出を題材にした映画『燃ゆるとき』の予告編で、労働組合が敵視されていた件。

少し昔のDVDを見ていて、収録されている宣伝に「そういえばこんな映画があったな」と思うことがある。

そんな映画のひとつ『燃ゆるとき』で、ふりかかる難題のひとつとして組合結成をテロップしていた。それでいて予告を見つづけると、主人公が従業員を守るという宣言をしていて、失笑するしかなかった。

要するに権利を勝ち取って自衛しようとする社員を敵視して、あくまで庇護下での社員を保護するという関係は変えたくないわけだ。


もちろん予告が映画の実態を正しく伝えているとは限らないわけだが、角川映画の公式サイトを読むと、いろいろ不安な文言がならんでいる。

燃ゆるとき : 角川映画

現地従業員の一時的なレイオフ。大幅なコストカット。旧態に凝り固まった営業担当や工場長など古株の社員との対立。アメリカ人の嗜好に合う新たな安くておいしいカップ麺の開発。工場のスピードアップ化や新規オイルの導入…。

軌道に乗り始めた矢先、川森は全幅の信頼を寄せていた女性部下からセクハラの嫌疑をかけられ、また、水面下では会社の買収工作の不穏な動きなど、波乱の連続。

2017-10-16

[][][]カズオ・イシグロ氏が日本への愛着を語るほど、排除した日本という国家のおかしさが浮かびあがるだけ

ノーベル文学賞を授与されたことで、文化勲章をおくる計画が報じられている。

イシグロ氏:文化勲章? 「国家に功績」解釈分かれ - 毎日新聞

「国家に功績のある人」に、日本も舞台にした作品を英国を拠点に英語で執筆しているイシグロさんが該当するか、解釈が分かれるからだ。文部科学相の諮問機関・文化審議会で近く検討される。

記事にあるように、外国籍の受賞者は複数の前例がありはする。

外国籍は、米国人で日本文学研究者ドナルド・キーンさん(後に日本国籍を取得)ら3人。月面着陸したアポロ11号の乗員3人は、外国人を対象とする「儀礼叙勲」で69年度に特別受章している。


しかし日本は国家制度として、イシグロ氏が日本国籍をもちつづけることを許さなかった。そしてイシグロ氏は英国籍を選んだ。

ノーベル文学賞 カズオ・イシグロが語った日本への思い、村上春樹のこと | 文春オンライン

――イシグロさん自身のことについて、おききしたいと思いますが、国籍は日本と二重国籍を持っておられるのでしょうか。


イシグロ 残念ながら、日本は二重国籍を許しません。イギリスは許しますが、もし日本のパスポートを持とうとすれば、だめですね。少なくとも私がイギリス国民になったときは、100パーセント日本人になるか、日本のパスポートを捨てるかどちらかでした。今でもそうだと思います。人生のある時点で決意しなければなりませんでした。最終的には感情的には日本ですが、すべての実用的な理由から、私はイギリス国籍を選びました。

ちなみにこのインタビューによると、イシグロ氏が愛着をもっている日本文化は、必ずしも現代の現実のそれではないこともわかる。

私は日本についての小説を書き終わるまで、日本に戻らないという決意を意識的にしました。本当の日本が、自分の脳裏にある日本に干渉をすると思ったからです。

日本を書き終えて初めて、日本に行きたくなりました。それで戻ったのです。それはすばらしい経験でした。でもそれは脳裏にあった日本とは異なっていました。

私が日本だと思っていたものは、あくまで長崎のことだと気づきました。それは日本の他の部分と全く違っていました。長崎の記憶は私にとっては子供の世界であり、それに「日本」という名前を与えたのです。

いまでは日本の小説界との交流もあるイシグロ氏だが*1、特に現代日本を特筆的に賞揚したいわけではないらしいし*2、現代日本への興味関心も強くはないようだ。


そんなイシグロ氏が日本文化への愛着を語った報道について、それが日本批判への反証になるかのように読解する匿名記事があった。

イシグロ氏の発言が出るたびにサヨクの元気がなくなっていく

それどころか日本の思い出、日本への親しみや日本人作家との交流の話ばっかりされる

https://mainichi.jp/articles/20171006/k00/00m/040/132000c


サヨクメディアもサヨクブクマカ

当初は「お前等は関係ない!ジャップども!」と鼻息荒かったのに

最近ではイシグロ氏のニュースに寄ってこなくなってしまった


ここからわかるサヨクメディア・サヨクブクマカの信条や本質って

リベラルでも左翼思想でもなく

日本への敵意・執着とか日本人への差別意識のみだよね

いわゆる藁人形叩きは何度も見てきたが、ここまで的を外していると感動的ですらある。

文化や郷土への愛着と、制度や政府への批判が両立するということすら理解できていない。前者を重視するからこそ、後者を表明するということはよくあることだ。

さすがにこの匿名記事は釣りであり、あえて反論を引き出そうとしているのかとも思ったが、はてなブックマークを見ると同調するコメントもある。

はてなブックマーク - イシグロ氏の発言が出るたびにサヨクの元気がなくなっていく

id:giyo381 パヨクはつらいよ、というかパヨクって日本の何が好きでここにいるの?

id:serio 左翼の人は反日というより、ナショナリズムを避けるという意識が強すぎて、「羮に懲りて膾を吹く」状態になっちゃってるのだと思う。人間の場合と同じで、国についても健全な自己肯定感はあった方が良いと思う。

個人がどの共同体帰属するか選ぶことと、共同体が個人を恣意的に帰属させたりや排外することを、正反対と理解できていないコメントもある。

id:songe 在日の人たちのルーツの尊重とか言ってたのに日系人だとすぐに態度を変えるんだなと思った

*1早川書房副社長の仲人をつとめたこともあるという。カズオ・イシグロ - 月村了衛の月録

*2:なお、私自身はイシグロ原作の映画『わたしを離さないで』を観ただけなので、小説固有のディテール等は語れない。映画については、謎学校を導入としたベタなディストピアSFという印象で、普通に娯楽作品として楽しかった。少し百合要素もある。