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法華狼の日記

3000-01-01 このダイアリーについて

hokke-ookami3000-01-01

日記の主な話題は、アニメやネットや歴史認識についての感想。


記事リストは以下。自作小説、へのへのもへじ、アニメや諸文化や歴史にまつわるデマ、等々。

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2017-01-19 上げたのは1日後

[][][]南京の人口が20万人から25万人に増えたから30万人も虐殺されていないと主張する人々は、5万人も増えたことをどう考えているのだろう

大前提として、20万人都市で30万人を殺せたはずがないという主張は、きわめて古典的な詐術にすぎない。

「20万都市で30万虐殺は不可能」論は欺瞞 - 南京事件FAQ

まず、基本的に南京事件の犠牲者数は、民間人だけでなく軍人もふくむ。台湾の40万人説はもちろん、中国の30万人説もそうだ。だから民間人の数字を操作して30万人説を否定しようとしても、それは数字への反論として成立していない。

また、よく日本軍進攻前の南京の人口が20万人だったという主張だが、これは南京城内で外国人が管理した安全区の数字にすぎない。南京市は城外にまで広がり、その周辺には南京行政区がある。せまい一区画、それも外国人が保護していたため比較的に日本軍の手がとどかなかった場所の人口増減が、全体の殺害の有無を決定づける証拠になるはずがない。

しかし後述するように、こうした知識をあらかじめ持っていなくとも、人口が増えたから虐殺が起きていないという主張には、疑問をもつことができるはずだ。


さて、日本政府までまきこんで話題になっているアパホテルニュースリリースだが、先日はコミンテルン陰謀論にしぼって批判した。

アパホテルによる歴史認識を謝罪しない文がちょっとすごい - 法華狼の日記

掲載された見解を読むと、そもそも歴史的事実に当てはめてどうこういう気が失せていく。

しかし私の批判は「核心」に対する批判ではないという反応があった。ニュースリリースは人口にまつわる第一段落が「重要」なのだという*1

南京“大虐殺”に関してアパホテルに反論しない左派: ニュースの社会科学的な裏側

著しく物証に欠くし、特に人数に関しては南京事件前後の人口推計との整合性が無い。

はてなブックマーク等ですでに批判されている論点*2ということもあり省略したのだが、それでは第一段落と、追記された部分を読み返してみよう。

客室設置の書籍について | 【公式】アパグループ

中国は日本軍が南京で三十万人を虐殺したと主張しているが、そもそも当時の南京市の人口は二十万人であり、三十万人を虐殺し、その一ヶ月後には人口が二十五万人に増えていたなどあり得ないことだ。

犠牲者は、「三十万人」ということになっているが、日本軍が南京を制圧した昭和十二年十二月十三日当時、南京市内には、約二十万人の民間人しかいなかったという記録があり、併せて、約一カ月後、昭和十三年一月十四日の時点では、人口が五万人以上増えて、約二十五万人〜三十万人になっていたという「南京安全区国際委員会記録」が残っている(田中正明著『南京事件の総括』二十九頁)。

この文章を読んで説得力を感じるような人は、疑問に思わなかったのだろうか。いったい5万人はどこから来たのだろうか、と。

まさか、わずかな期間にそれだけの子供が産まれたなどと考える人はいまい。もし出生による人口増加だとするならば、いったい人口のどれだけを妊婦がしめていたというのか。


ひとつ考えられるのは、人々が南京に移動してきたという可能性だ。実際たいていの虐殺否定論は、5万人も移動してくるくらい南京が平和だったという傍証として人口がもちだされる。

しかし数万人が1ヶ月で移動したと考えていいのなら、それ以上の人数が移動してきた可能性を考えてもいいことになる。単純な算数として、35万人が周辺から逃げてきて、もとの住人とあわせて30万人が殺されたなら、人口が5万人増えることになる*3。5万人しか移動してこなかったという根拠は、アパホテルのニュースリリースのどこにも書かれていない。


もうひとつ考えられるのは、20万人と25万人という数字の一方もしくは両方が、あてにならないということ。居留していた外国人が出した一区画の数字という知識がなくとも、激しい戦闘の前後に正確な調査をすることが難しいという想像はできるはずだ*4

だから20万人と25万人という数字に対して、誰がどのように計測したのかという疑問をもってしかるべきだろう。数十万人という住人に1ヶ月で数万人規模の増減があったとして、それを誰がどのように調査したのか。先述のように数万人規模での移動があったなら、ますます調査は難しくなる*5。そうした疑問にアパホテルのニュースリリースは答えてくれない。


そもそも、アパホテルのニュースリリースを読んでいくと、中国軍に民間人が虐殺されたと最後に主張している。

敗残兵が住民に対して略奪、虐殺を行なった。それらの敗残兵が民間人の衣服を奪って便衣兵(ゲリラ)となったことから、日本軍は便衣兵の掃討作戦を行った。便衣兵(ゲリラ)の殺害は国際法上認められているものであり、一般住民を虐殺したのはこの敗残兵達(督戦隊が撃ち殺したのは、逃亡中国兵であった。)であった。

なるほど虐殺の主体が中国の敗残兵だったとしよう。しかし“殺されていないから人口が増えた”“殺されたが犯人は日本軍ではない”は両立しえない。つまるところ、人口が増えたことは虐殺の充分な反証にはならないと、語るに落ちているのだ。

*1:なお、民間人の犠牲者数についても「伝聞」どころかスマイス報告という同時代の調査が残されている。スマイス報告とは何か - 南京事件FAQ

*2:20万人は安全区の人口という指摘などが複数ある。はてなブックマーク - 客室設置の書籍について | 【公式】アパグループ

*3:事実、南京は中核が城郭都市であり、人々が逃げてくる理由となった。そして背後が大河であるため、さらに遠くへ逃げることを困難にしていた。

*4:実際のところ、安全区の外国人が出した数字は概数にすぎなかった。人口調査する余裕も必要もなかったと思われる。ちなみにスマイス報告は時間をかけつつ、全数調査ではなく抽出調査をおこなっている。

*5:ニュースリリースの最後にあるように、敗残兵が民間人のふりをしていたなら、さらに住人の正確な人口調査は困難になる。

2017-01-18 上げたのは1日後

[]『相棒season15』第12話 臭い飯

とある廃倉庫で白骨死体が発見される。殺害かどうかもはっきりしなかったが、近くから大手米穀販売会社タキガワの食品偽装を告発する証拠が見つかり、骨髄のDNA型から身元も判明した。

タキガワの社長が犯人視されるなか、タキガワの広告塔だった女性オーナーシェフや、死者の周辺にいた累犯受刑者がからんできて、事態は複雑さを増していく……


社会復帰と食品偽装という、ふたつの社会派テーマを融合させた物語。立場が弱い元受刑者だからこそ、隔離して偽装作業させられるという思いつきに、実に嫌なリアリティがある。

若手らしく技巧をこらして陰影を濃くした杉山泰一演出の画面。不可能状況をシンプルなトリック*1で成立させる池上純哉脚本の技巧。状況全体をコントロールする累犯受刑者を演じた笹野高史存在感。スタッフのこめた力がドラマに反映され、粗い部分がありつつも満足できた。

最終的に元受刑者がひとつの犯罪をおかした真相があばかれるが、弱い立場ゆえの限られた選択肢として共感できる。それをいつものように叱責する杉下も、序盤で元受刑者への偏見を批判したり社会復帰の重要性を語ったりしていたから、冷酷な理想論とは思いつつも理解はできる。冠城の活躍も、女性オーナーシェフとの接点に終わらず、元法務官僚として協力雇用主制度をつくった一員として社会派テーマとも関連してくる。

ただ、女性オーナーシェフとタキガワ社長の不倫は、いくらアリバイの証明のためだとしても、今回のテーマからすると余剰になってしまったように感じる。他に必要な描写が多すぎて、冠城の失恋ドラマとしては薄くなってしまった。そもそも不倫するような間柄では、アリバイの証言者として不十分だろう。あくまで現地視察に同行したという説明で良かったのではないか。

*1:特殊な共犯という意味では、元日SPの前半を抽出したようなものともいえる。コンセプトの明確化という意味で、感想エントリで求めたものを見られた気分。『相棒season15』第10話 帰還 - 法華狼の日記

2017-01-17

[][][][]アパホテルによる歴史認識を謝罪しない文がちょっとすごい

諸外国からの批判*1を受けて形式だけは謝るだろうと思っていたので、意外ではある。

客室設置の書籍について | 【公式】アパグループ

本書籍の中の近現代史にかかわる部分については、いわゆる定説と言われるものに囚われず、著者が数多くの資料等を解析し、理論的に導き出した見解に基づいて書かれたものです。国によって歴史認識や歴史教育が異なることは認識していますが、本書籍は特定の国や国民を批判することを目的としたものではなく、あくまで事実に基づいて本当の歴史を知ることを目的としたものです。したがって、異なる立場の方から批判されたことを以って、本書籍を客室から撤去することは考えておりません。日本には言論の自由が保証されており、一方的な圧力によって主張を撤回するようなことは許されてはならないと考えます。

田母神俊雄氏が航空幕僚長をやめる原因となった懸賞論文を、いまも毎年のようにつづけていることを考えれば、予想するべきだったか。

インターネットなどではアパホテルのこういう態度を応援するという主張も散見され、現代社会ではビジネスにおける失点にはならないのかもしれない。


とはいえ、主張をとりさげないどころか、ニュースリリース内で再掲するとは、いま読んでいても目をうたがう。

本書籍P6に記載しています、南京虐殺に関する見解を掲載いたしますので、事実に基づいて本書籍の記載内容の誤りをご指摘いただけるのであれば、参考にさせていただきたいと考えています。 

誤りを指摘されるという仮定において、撤回ではなく参考という表現を選ぶあたりが“本物”っぽい。


実際に掲載された見解を読んでいくと、なるほど事実に基づいて批判することが難しい。

コミンテルンの指導で第二次国共合作が成立したことで、国民党政府軍は中国共産党への攻撃をやめ、国民党政府軍に共産党勢力が入り込み、日本軍を挑発して、日本を戦争へ引きずり込んでいったことが背景にある。

つまり日本は挑発にのったと。

中国盧溝橋付近で北京議定書に基づき合法的に駐留していた日本軍の軍事演習中に、日本軍とその近くにいた国民党政府軍の双方に対して実弾が発射されたことをきっかけに、戦闘状態になった(盧溝橋事件)。

敵軍のすぐ近くで軍事演習すること自体が挑発になるのでは……

日本を激怒させ国民党政府軍と戦争をさせる為に、同年七月二十九日、中国保安隊によって日本人婦女子を含む二百二十三人が残虐に虐殺された「通州事件」

傀儡政権に反乱された時*2、なぜか日本の激怒する対象が国民党になると予測しきったコミンテルンすげーな。

同年八月九日に起こった「大山大尉惨殺事件」

中国軍に惨殺させるため、まず大山“中尉”を中国陣地に接近*3するよう誘導できたコミンテルンすげーな。

上海に合法的に駐留していた日本海軍陸戦隊四千二百人に対して、三万人の国民党政府軍が総攻撃を仕掛けた第二次上海事変

合法だったか、えらいぞ。もちろん他国の植民地も合法だから、それを解放するため大東亜戦争をしたという理屈はあきらめるわけだ。

そもそも既に南京を攻略した日本軍にとって、南京で虐殺行為をする理由はない。

ずっと中国側の行動をコミンテルンの陰謀で説明しておいて、急に我に返って動機の有無を検討しだすのずるくね?


掲載された見解を読むと、そもそも歴史的事実に当てはめてどうこういう気が失せていく。ちょっとは世界観の統一をはかろうよ。

2017-01-16

[][]“or”と“and”の区別ができてないコメント、他

日韓合意を破棄すべきと語っているのは誰のこと? - 法華狼の日記

日韓合意については、日本政府が過ちをおかしたか、合意そのものが過ちか、今のところ二択だと思っている - 法華狼の日記

合意を重視したいならば、国連での日本政府の過ちが合意に反しているとみなすか、国連での日本政府の過ちすらふせげない合意とみなすか、どちらかを選ばなければなるまい。

まず前提として、上記エントリは従軍慰安婦問題についての日韓合意が存在することを前提として、日本政府がどのような行動をとっているかを示して、どう評価するべきなのかということを語っている。

もちろん日本政府の行動などが海外でどのように評価されているかといったことも紹介しているが、日韓合意を破棄すべきという主張はまったく書いていないし、過ちだという評価は即座に破棄を求めることを意味しないし、日韓合意が過ちだと結論づけているわけですらもない。

上記エントリに対して、はてなブックマークでまたしても困惑するしかないコメント群がついていた。

はてなブックマーク - 日韓合意を破棄すべきと語っているのは誰のこと? - 法華狼の日記

もっとも、それらは下記のコメントの延長と考えれば、急に読解力があがってもそれはそれで困惑するかもしれない。

はてなブックマーク - 韓国の少女像を殺すため、アンネ・フランク像を殺す人々 - 法華狼の日記

私に反論しているつもりらしきコメントの大半が、被害者が違う国籍でもホロコースト表象が建てられるという主題にまったく関係のない、まさに話題逸らしというしかないものばかり*1

さらに、はてなスターの引用機能を知らないだけならしかたないが、その無知をひけらかすようなコメントにいたっては見ていていたたまれない。


しかし、「捨て垢がとかブクマ数がとかどうでも良い方面に逃げるような余計なことは言わない方がいいと思うの。そうじゃないアカウントにも散々突っ込まれてるのに今更何言ってんの」*2と主張していたCapricornus氏もコメントをつけていたので、その「散々突っ込まれてる」の程度がいかほどか示すため、いくつか応答しよう。

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*1:そうでないのは、一点、「後から検索しやすくするために無言スターでチェックした上で、自分のブログの方で文句を垂れる、というスタンスをとることもある」という使用法を語ったid:tomemo508氏くらいだろうか。たしかに既読の意味をこめてスターをつける場合などもある。ただ、だからこそ他で批判している様子が見当たらないことは確認したし、結論のレトリックにおいてもスターをそのまま賛意の表現とは確定しない「見逃す」という表現を選んだ。

*2はてなブックマーク - はてなブックマーク - 日韓合意については、日本政府が過ちをおかしたか、合意そのものが過ちか、今のところ二択だと思っている - 法華狼の日記