自治体法制執務雑感

2016-12-02

[]例規の立案で間違いやすい例(47) 22:12

海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行規則等の一部を改正する省令平成26年国土交通省令第81号)
海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行規則の一部改正
第1条 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行規則昭和46年運輸省令第38号)の一部を次のように改正する。
  (略)
第6条(見出しを含む。)中「第1条の9第1項第5号ただし書」を「第1条の10第1項第5号ただし書」に改め、同条中「第7条」を「次条」に改める。

第6条の見出し以外の部分に見出しの改正とは異なる語句の改正がある以上、見出しの改正とそれ以外の改正は、次のように別々に行うことになる。

第6条の見出し中「第1条の9第1項第5号ただし書」を「第1条の10第1項第5号ただし書」に改め、同条中「第1条の9第1項第5号ただし書」を「第1条の10第1項第5号ただし書」に、「第7条」を「次条」に改める。

2016-11-25

[]雪で立ち往生の車に罰金 21:38

雪で立ち往生の車に罰金=チェーン装着を促進−国交省検討
国土交通省は22日、積雪時に幹線道路で立ち往生の原因をつくった車に対し、罰金を科す方向で検討を始めた。タイヤチェーンの装着を促すことで、立ち往生による渋滞を防ぐのが狙いだ。また、降雪予測を早めに住民などに周知し、大雪の際は車による移動を控えるよう呼び掛ける方針
気象庁の統計データによると、近年は短時間に大雪が降る「ゲリラ豪雪」が局所的に発生。直近6年間に観測史上最高の積雪を記録した地点は全国の32%を占めており、雪の降り方は極端になった。2014年2月に関東甲信越を襲った大雪では、長野県軽井沢町の国道などで車の立ち往生による大規模渋滞が発生。除雪作業の妨げにもなるなど問題となった。
国交省は今後、具体的な金額などを詰め、道路法で罰則を規定する方針だ。来冬以降の実施を目指す。担当者は「鉄道を止めると損害賠償が請求されるケースがあるが、道路も同じ。勾配が5%を超える区間では立ち往生が多く発生するのでチェーンを装着してほしい」と話している。
15年度に国が管理する国道で立ち往生があったのは547件。9割以上がチェーンを装着しておらず、ノーマルタイヤの車も25%あった。
JIJI.COM 2016年11月22日配信

規制の必要性はともかくとして、立ち往生した結果のみに着目して規制することはないだろうから、果たしてどのような行為を規制対象とするのだろうか。上記の国交省の担当者は、鉄道を止めた場合と同列に論じているが、少なくとも両者の結果を引き起こす行為態様を比較した場合、同じものとは言えないだろう。

2016-11-19

[]書き振りが気になる規定の例(12) 22:02

次の規定は、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律平成26年法律第83号)」第23条の規定により、「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律(平成18年法律第84号)」の附則に追加された規定である。

(移行計画の認定)
第10条の3 経過措置医療法*1であって、新医療法*2への移行をしようとするものは、その移行に関する計画(以下「移行計画」という。)を作成し、これを厚生労働大臣に提出して、その移行計画が適当である旨の認定を受けることができる。
2 移行計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
(1) 医療法人であって、次に掲げる医療法人のうち移行をしようとするもの
イ 医療法第42条の2第1項に規定する社会医療法人
ロ 特定の医療法人(租税特別措置法昭和32年法律第26号)第67条の2第1項の規定による国税庁長官の承認を受けた医療法人をいう。)
ハ 基金拠出型医療法人(その定款に基金社団たる医療法人に拠出された金銭その他の財産であって、当該社団たる医療法人が当該拠出をした者に対して返還義務(金銭以外の財産については、当該拠出をした時の当該財産の価額に相当する金銭の返還義務)を負うものをいう。)を引き受ける者の募集をすることができる旨を定めた医療法人をいう。)
ニ イからハまでに掲げる医療法人以外の医療法
(2)〜(5) (略)
3〜5 (略)

附則第10条の3第2項第1号の柱書は、要は、移行しようとする新医療法人が、どのような形態の医療法人であるかを記載させようとするのであるから、例えば「移行しようとする新医療法人が次に掲げる医療法人のいずれであるかの別」のようにしたほうがよいのではないだろうか。

*1:平成19年4月1日前に設立された社団たる医療法人又は施行日前に医療法第44条第1項の規定による認可の申請をし、施行日以後に設立の認可を受けた社団たる医療法人であって、その定款に残余財産の帰属すべき者に関する規定を設けていないもの及び残余財産の帰属すべき者として同条第5項に規定する者以外の者を規定しているもの(平成18年法律第84号附則第10条の2)である。

*2社団たる医療法人であって、その定款に残余財産の帰属すべき者として医療法第44条第5項に規定する者を規定しているもの(平成18年法律第84号附則第10条の2)である。

2016-11-12

[]定義規定を準用する規定 19:42

次の規定は、「租税特別措置法施行令等の一部を改正する政令平成27年政令第148号)」第1条の規定により租税特別措置法施行令に追加された規定である。

(未成年者口座内の少額上場株式等に係る譲渡所得等の非課税
第25条の13の8 この条において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 振替口座簿又は株式等 それぞれ法第37条の14第1項に規定する振替口座簿又は株式等をいう。
(2) 金融商品取引業者等又は営業所 それぞれ法第37条の14第5項に規定する金融商品取引業者等又は営業所をいう。
(3) 未成年者口座内上場株式等 法第37条の14の2第1項に規定する未成年者口座内上場株式等をいう。
(4) 払出し時の金額又は基準年 それぞれ法第37条の14の2第4項に規定する払出し時の金額又は基準年をいう。
(5) 未成年者口座、未成年者口座開設届出書、非課税管理勘定、継続管理勘定、課税未成年者口座、課税管理勘定、未成年者非課税適用確認書又は未成年者口座廃止通知書 それぞれ法第37条の14の2第5項に規定する未成年者口座、未成年者口座開設届出書、非課税管理勘定、継続管理勘定、課税未成年者口座、課税管理勘定、未成年者非課税適用確認書又は未成年者口座廃止通知書をいう。
(6) 契約不履行等事由 法第37条の14の2第6項に規定する契約不履行等事由をいう。
2〜16 (略)
17 第25条の13第2項から第4項まで、第6項、第7項、第10項、第11項及び第14項から第24項まで並びに第25条の13の2から前条までの規定は、法第37条の14の2の規定を適用する場合について準用する。この場合において、これらの規定中「非課税口座開設届出書」とあるのは「未成年者口座開設届出書」と、「非課税適用確認書」とあるのは「未成年者非課税適用確認書」と、「非課税口座異動届出書」とあるのは「未成年者口座異動届出書」と、「非課税口座移管依頼書」とあるのは「未成年者口座移管依頼書」と、「出国届出書」とあるのは「未成年者出国届出書」と、「非課税口座開設者死亡届出書」とあるのは「未成年者口座開設者死亡届出書」と、「非課税口座年間取引報告書」とあるのは「未成年者口座年間取引報告書」と読み替えるほか、次の表の上欄に掲げるこれらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
  (表略)
18 第1項の規定は、前項において準用する第25条の13第2項から第4項まで、第6項、第7項、第10項、第11項及び第14項から第24項まで並びに第25条の13の2から前条までに規定する用語について準用する。
19〜26 (略)

第18項のような規定は、私は初めて見たが、上記の例で言うと、用語を読み替える際に「第25条の13の8第1項第○号に規定する○○」とするのを避けることを意図したのだろう。

「準用」と言われればそれでいいようにも感じるし、「適用」ではないかとも感じるし、むしろ、次のように第1項を読み替える方法もあるような気がする。

18 前項の場合において、第1項中「この条」とあるのは、「この条並びに第17項において準用する第25条の13第2項から第4項まで、第6項、第7項、第10項、第11項及び第14項から第24項まで並びに第25条の13の2から前条まで」とする。

いずれにしろ、上記のような立法技術が一般化すれば、読替え規定を書くのがかなり楽になるだろう。

2016-11-04

[]共通見出し 21:58

消費者基本法の第5条の前には、次のとおり同条から第8条までの共通見出しが置かれている。

(事業者の責務等)
第5条 事業者は、第2条の消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念にかんがみ、その供給する商品及び役務について、次に掲げる責務を有する。
(1) 消費者の安全及び消費者との取引における公正を確保すること。
(2) 消費者に対し必要な情報を明確かつ平易に提供すること。
(3) 消費者との取引に際して、消費者知識、経験及び財産の状況等に配慮すること。
(4) 消費者との間に生じた苦情を適切かつ迅速に処理するために必要な体制の整備等に努め、当該苦情を適切に処理すること。
(5) 国又は地方公共団体が実施する消費者政策に協力すること。
2 事業者は、その供給する商品及び役務に関し環境の保全に配慮するとともに、当該商品及び役務について品質等を向上させ、その事業活動に関し自らが遵守すべき基準を作成すること等により消費者の信頼を確保するよう努めなければならない。
第6条 事業者団体は、事業者の自主的な取組を尊重しつつ、事業者と消費者との間に生じた苦情の処理の体制の整備、事業者自らがその事業活動に関し遵守すべき基準の作成の支援その他の消費者の信頼を確保するための自主的な活動に努めるものとする。
第7条 消費者は、自ら進んで、その消費生活に関して、必要な知識を修得し、及び必要な情報を収集する等自主的かつ合理的に行動するよう努めなければならない。
2 消費者は、消費生活に関し、環境の保全及び知的財産権等の適正な保護に配慮するよう努めなければならない。
第8条 消費者団体は、消費生活に関する情報の収集及び提供並びに意見の表明、消費者に対する啓発及び教育、消費者の被害の防止及び救済のための活動その他の消費者の消費生活の安定及び向上を図るための健全かつ自主的な活動に努めるものとする。

これは、議員立法として提出され成立した「消費者保護基本法の一部を改正する法律平成16年法律第70号)」において設けられたものであるが、田口義明「かくして『消費者の権利』法定へ−消費者基本法制定への道程」新堂幸司『日本法の舞台裏』(P116)によると、消費者に関する規定の見出しを、これまでどおり「役割」とするか「責務」とするか問題となり、「努力」とか「努め」という代案も検討されたが、結局共通見出しという手法解決したとのことである。

大したことではないように思えるが、基本条例の制定過程において、責務規定の書き方についてこだわりを持つ人がいてもめるケースを経験したことがあるため、どこも同じようなことがあるのだと感じたところである。

ところで、この共通見出しを付す平成16年法律第70号の改め文は、次のようになっている。

第4条の見出しを「(事業者の責務等)」に改め、同条第1項中……に改め、同項に次の各号を加える。
(中略)
第4条第2項中……に改め、同条を第5条とし、同条の次に次の4条を加える。
(以下略)

ここは、条の見出しを共通見出しとするわけだから、次のようにすべきだろう。

第4条の見出しを削り、同条第1項中……に改め、同項に次の各号を加える。
(中略)
第4条第2項中……に改め、同条を第5条とし、同条の前に見出しとして「(事業者の責務等)」を付し、同条の次に次の4条を加える。
(以下略)