自治体法制執務雑感

2017-04-21

[]書き振りが気になる規定の例(13) 21:41

少年院法(平成26年法律第58号)
法務大臣の措置)
第126条 法務大臣は、救済の申出の内容がその申出をした者に対する次に掲げる少年院の長の措置に係るものであって、その措置が違法又は不当であることを確認した場合において、必要があると認めるときは、その措置の全部又は一部を取り消し、又は変更するものとする。
(1)〜(10) (略)
2 (略)

太字の部分は、後ろに二重の条件を用いている関係で「ものであって」としていると思うが、これに対応する語句が出てこないので、しっくりしない文章になっている。

次のような文章で十分ではないだろうか。

法務大臣は、救済の申出の内容がその申出をした者に対する次に掲げる少年院の長の措置に係るものである場合において、その措置が違法又は不当であることを確認し、必要があると認めるときは、その措置の全部又は一部を取り消し、又は変更するものとする。

2017-04-15

[]区切り過ぎではないだろうか 19:59

国家公務員法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令平成26年政令第195号)
(退職手当・恩給審査会令の一部改正
第33条 退職手当・恩給審査会令(平成21年政令第97号)の一部を次のように改正する。
  (略)
第5条を削る。
第6条第3項を削る。
第6条を第5条とし、同条の次に次の1条を加える。
  (庶務)
第6条 (略)

旧第6条の改めと新第6条の追加は別条に係るものなので、第6条第3項の削りと同条の移動を別の改め文としているのではないかと思うが、普通は「第6条第3項を削り、同条を第5条とし、同条の次に次の1条を加える」というように一の改め文にするだろう。

2017-04-07

[]防災ヘリコプターの運行業務有料化 21:36

登山者ヘリ救助、埼玉県有料化 全国初、条例成立
埼玉県内の山で遭難した登山者を県の防災ヘリコプターで救助した場合、遭難者から手数料として約5万円を徴収する条例改正案が27日、県議会で成立した。自治体防災ヘリによる山岳救助が有料化されるのは全国で初めて。
「5万円」はヘリが1時間飛行した場合の燃料費を想定しており、救出にかかる時間や燃料費に応じて負担額は上下する。施行は2018年1月1日。
有料化を巡っては、無料で人命を救助する隣県ヘリとの整合性のほか、埼玉県内で登山が盛んな秩父地域の観光協会や山岳連盟から「『秩父の山は有料』とのマイナスイメージが先行する」と懸念が出されたが、条例案を議員提案した最大会派・自民党県議団などの賛成多数で可決した。
朝日新聞デジタル 2017年3月27日配信

上記の措置は、「埼玉県防災航空隊の緊急運行業務に関する条例」に手数料を徴収する規定を追加するものであるが、その規定は、以下のとおりである。

(手数料)
第10条 県の区域内の山岳において遭難し、緊急運航による救助を受けた登山者等(登山者その他の山岳に立ち入った者をいい、知事告示で定める者を除く。)は、知事告示で定める額の手数料を納付しなければならない。
2 知事は、災害、経済的困難その他の特別の理由があると認めるときは、前項の手数料を減額し、又は免除することができる。

具体的な額の定めを告示に委任したのは、燃料費を勘案して決めるのであれば、その額は頻繁に変動するから、手数料の額も頻繁に変更する必要があるためということであり、それは合理的な理由と思うが、例えば「○○を勘案し、知事告示で定める額」といったような形で委任すべきであっただろう。

それはともかく、当初は民法の規定を根拠として徴収することを検討した者もいたようだが、2010年10月15日付け記事「防災ヘリコプターの運行費用を利用者に求めることの可否」及び2010年12月2日付け記事「防災ヘリコプターの運行費用を利用者に求めることの可否(その2)」で触れたとおり、私は、収入の内容は地方自治法根拠があるものとすべきだと考えているので、その点では問題はないのだが、それが手数料というのは、やはりしっくりこない。

(関連記事)

2017-03-31

[]理屈先行の制度設計 21:31

平成14年地方自治法改正により住民訴訟制度が変更された後、住民訴訟の前提となっている地方公共団体の有する損害賠償請求権放棄するという事態が生じたことにつき、櫻井敬子『行政法講座2』(P230〜)には、次のように記載されている。

……住民訴訟が「今後とも健全な成長を続けることができるように、一部に剪定の鋏を入れて枝ぶりを正した」はずの改正法のもとで、制度を根底から揺るがすモラルハザードそのものといってよい債権放棄議決が相次ぎ、結果として、それが最高裁判決により正当化されることで、住民訴訟制度は癒しがたい大きな傷を負ってしまったということになろうか。翻って考えるならば、代位請求という住民訴訟の基本構造はそのまま維持したうえで首長の責任に上限を設ける等、旧制度の延長上に改善策を施す素朴な法改正のほうがどれほどましであったかわからない。しかし、今となっては文字通り「後の祭り」であり、理屈先行の制度改正が空振りに終わっただけでなく、想定外の事態を招いた具体例として、関係者は胸に深く刻むべきであろう。

上記の事態が結果として制度改正を行ったことによって生じたとしても、制度改正自体が間違った方向のものであったとは、私には思えない。

しかし、私自身も、良かれと思って創った制度が実態にあまり合っていなかったといった経験はある。そういった意味で櫻井教授の記載にある、理屈先行の制度改正が時として適切でない事態を生じることがあるということについては、例規審査を行う者は肝に銘じて置かなければいけないのだろう。

2017-03-24

[]例規の立案で間違いやすい例(52) 21:43

警察法施行規則の一部を改正する内閣府令(平成27年内閣府令第13号)
   (略)
第7条を削り、第8条を第7条とし、第9条から第12条までを1条ずつ繰り上げ、第13条の前に次の1条を加える。
 (厚生管理室)
第12条 (略)

「前に」をできる限り避けるのであれば、「……、第8条を第7条とし、第9条から第11条までを1条ずつ繰り上げ、第12条を第11条とし、同条の次に次の1条を加える」とすることになろう。