7月20日に「名古屋市議会解散請求代表者」である「平野一夫」から「『市議会リコール解散署名受任者名簿に関して選挙政治活動に使用しないことを求める請願』に関する、リコール請求代表者としての見解」という長いタイトルの文章が提示された。(記者会見として記者を集めて発表された。その場には減税日本の広沢県議も同席した)
下らない文章であるが批判のために書き起こさなければならないかと思っていたところ、思わぬところに掲載されたので参照していただきたい。
"受任者名簿に関する記者会見内容(河村サポーターズ オフィシャルブログ) 2012年07月24日" ( 同魚拓 )
この文章(以下「今次見解」)は決定的に間違っている。
主な指摘事項は2点ある。
1)現代社会人としての常識の欠落
2)人間としての欠落
現代社会人としての常識の欠落
現代において「個人情報」の取り扱いは非常に重い問題となっている。長野県警における情報漏えい問題もこの「個人情報」の取り扱いに関する問題である。( 参照 )
現代において「個人情報」というものは「その当事者本人のもの」であり、名簿を所持している事業者というのはその情報を「預かっている」だけで、本人から申し出があれば当該情報を消さなくてはいけない。( 例1:Google 、 例2:三菱東京UFJ銀行 )
つまり、個人は自分の情報を、誰が、どこに、どのような目的で持っているか知る権利が有り、その自分の情報について自分の意に反して利用されないと言う原則がある。
個人情報保護法の罰則規定は政治団体、宗教団体、報道機関には適用されない。しかし、個人情報というものの取り扱いについての原則は一貫しているのであって、これら適用除外団体といえども勝手な利用は個人情報の権利者である当人の権利を侵害している事に代わりはない。
「今次見解」を見ると次のような記述がある。
受任者名簿はネットワーク河村市長が管理しており、その使用範囲(例えば選挙に使わせるかどうか)の判断はネットワーク河村市長に帰属する。
この解釈は間違っている。
個人情報の使用範囲を規定できるのは、あくまで個人情報の権利主体である「本人」にあるのであって「その使用範囲の判断はネットワーク河村市長に帰属する」などという解釈は個人情報の原則、つまり現代社会の原則に反している。
「目的外使用」と断定されているが、そもそも「目的」である「名古屋市政改革活動」の範囲はネットワーク河村市長が規定する問題であり、第三者が目的に合致しているかどうか判断することは不当。
目的である「名古屋市政改革活動」の範囲をあえて定義することができる主権者を指すとするならば、名簿に個人情報を記載している「本人」たちである筈だ。そして、この請願提出者が当の本人である「受任者」であれば、それは「第三者」ではない。逆に名簿の管理責任者として、「預かった」個人情報の取り扱いについて、権利主体である「本人」の意向を無視するという姿勢は現代社会人として失格である。
「市議会リコール受任者の会」を名乗っているが、代表者のF氏*1以外の受任者がどれだけいるのか、全く分からない。仮に「本請願の趣旨に賛同」した97名が全員受任者であったとしても、4万5千人の受任者を代表する立場には無いことは明らか。
論理性の欠如した妄言である。
一人でも受任者が居るのであれば、それは当事者の意向であり尊重されるべきだ。
4万5千人の受任者を代表する意思は必要ない。
*2
言葉を積上げれば、嘘も積上がる泥沼
ここで一つ大切な事を確認しておきたい。「平野一夫」が「名古屋市議会請求代表者名古屋市議会解散請求代表者」の立場で「ネットワーク河村市長」の意向を表明していることである。
つまり、この記者会見、「今次見解」は、<ネットワーク河村市長>と<減税日本>、更に<請求代表者>と、今回、<河村サポーターズ>のHPにも掲載されたということで、これらが一体不可分であることを示している。
更に付言するならば「平野一夫」なる人物は<河村事務所>の職員だろう。
次の発言をご確認いただきたい。平成24年2月13日の市長定例記者会見の発言である。( 参照 )
(記者)リコール署名簿の流出の関係なのですが、(略)今のところ請求代表者から何の説明もないのですが、市長としてはこの状況をどう思われますか。
(略)
(市長)大体、僕が聞いたところですけれど、一番の責任者の方はやっぱり請求代表者の皆さん、責任者というか、担当者はね。
ある時には<請求代表者>が責任者、担当者として責任を回避し、ある時には別団体と強弁する。 そして ある時には下部組織と言いつつ、結果として「名古屋市議会請求代表者」も「ネットワーク河村市長」も「減税日本」も「河村事務所」もすべて一体であるのではないのか?
一体的に責任を取るべきだ。
そのような前提に立つと、次の一文の醜悪さが際立つ。
受任者が、自分たちの個人情報取扱について疑義があると考えたならば、まずはそれを管理するネットワーク河村市長に申し立てるのが社会通念上常識と考えるが、その様な申し立ては行われていない。
これは論理的に間違っていると言うだけではなく、虚偽だ。
そもそも「ネットワーク河村市長」には実態となる連絡先は既に無いだろう。
そして、その一体である「請求代表者」に対しては疑義を述べている。
この請願者も述べているし、この私も直接疑義を述べている。
その請求代表者は こちら のページにある 「平成23年1月の名古屋市公報(本号) 圧縮自己解凍書庫」 をダウンロードして解凍すると生成できる 「23hongou889.pdf」の中の 93ページに*3記載されている、平野一夫、福島操(通称、成田操)、船橋旭*4、三宅功*5、村上一子である。つまり、現在も減税日本周辺に居る者や「ナゴヤ庶民連」のメンバーである。
これらの者に上記の様な個人情報の趣旨を伝えても聞く耳を持たずに、何ら対応もしていない。
それでいて今頃このような言い分、「社会通念上常識と考えるが」とは如何なものか。
人間としての欠落
同文書では、
本請願が、「誰に」対して、「何を」求めたものかを見てみれば、請願として全く不適切であることが容易に分かる。
(略)
市議会に対し、特定会派に何らかの行動を求める事自体、請願として不適切。また減税日本ナゴヤは受任者名簿を管理しておらず、前提が間違っている。
というが、では「減税日本はネットワーク河村市長の下部組織である」とする5月17日の記者発表を行ったのは誰であろうか。減税日本ナゴヤの余語幹事長ではないか。( 参照 )
また、減税日本ナゴヤは5月7日にも会派名で「受任者名簿を使う根拠について」とコメントを発表している。
逆に、受任者名簿を管理していない減税日本ナゴヤがかかる公式発表紛いの言動をすることが異常なのか?
それとも、やはり、減税日本ナゴヤ、請求代表者、ネットワーク河村市長、
私は今まで、このブログでも、そして直接の場でも、名古屋市議会解散請求の請求代表者に、リコール署名簿の流出問題について何等かの対応をとるべきであると訴えてきた。
権利を侵害されている数万人の名古屋市民に事情説明と注意喚起、そして問い合わせ窓口を作るべきと訴えてきた。 ( 参照 )
ある請求代表者は「その責任は河村事務所にある」と言い。ある請求代表者は「ネットワーク河村市長の管理責任」と言い逃れた。
そして上で述べたように河村市長も「請求代表者の責任」と責任を逃れようとしている。
「46万6千人の署名者、および4万5千人の受任者に対する冒涜」を行っているのは誰だろうか!
請求代表者=ネットワーク河村市長=
満腔の怒りをこめて言いたい!
ふざけるな!
権利の背後には責任がある。
小学生でも判る理屈だ。
リコール署名簿の流出問題に対して、何ら対応を取らず、一切の責任を回避してきた人々や河村たかしに、その権利が有るか無いかなど、法律解釈以前の問題だ。
人間として疑う。
そんなに受任者名簿が使いたいなら使うが良いだろう。どのような批判や法的問題があるか知った事ではない。
しかし、少なくとも権利を主張するのであれば、責任を果たせ。
流出したリコール署名簿に対する対応を取るべきだ。
追記:細かい事だけれど。その「今次見解」において「団体自治」という言葉が使われている。(一文に6箇所)
「任意団体の内部事情/内部統治」という意味で使われているようだが、一般的に(というよりも、地方自治/地方政治の文脈では)「国の一定地域を基礎とする独立の団体(地方公共団体)が、自主的に団体の事務(地方の行政)を担当する権能を有すること。住民自治と並ぶ地方自治の基本。( 参照:三省堂 大辞林 )」という意味で使われる言葉で、「団体」というのは暗に「地方公共団体」を指すのが「常識」である。
こういった常識とも遠いのが減税日本、河村たかしという事になるのだろう。
追記:興味深いデータが送られてきた。
一年ほど前に平野一夫氏と名刺交換した人がその名刺のイメージを送ってきてくれた。
減税日本の広報室長の肩書きの裏に、
「広報担当 請求代表者 ネットワーク河村市長」と
「地域政党 減税日本」が併記されている。
(請求代表者はネットワーク河村市長の一部門なのだろうか?)
電話番号等は判読できないようにモザイクをかけておいたが、住所は河村事務所そのものとなっている。
とうの昔に一体だったわけではないか。
流出問題が盛んであった頃は、あたかも別組織の様に装って、
その「ほとぼり」が冷めてきたから、責任問題は無視のまま権利だけを主張しに出てきたということなんだろうか。
しかし、そうだとすると河村市長の市長としての2月の発言は、自分の事務所職員の責任とする発言なのだろうか。
追記(7月25日):待機児童についての報道があった。
名古屋市の待機児童数、政令市で最多 2年連続 (2012/7/25 1:47日本経済新聞)
名古屋市の4月1日時点の待機児童数(1032人)が、2年連続で全国の政令指定都市で最多だったことが24日、同市の集計で分かった。市は保育施設の新設など待機児童数の減少に取り組んでいるが、汚名返上とはならなかった。(略)
名古屋市の待機児童数、政令市で最多 2年連続 :日本経済新聞
待機児童、大都市で昨年比8%減…地方は増加
(略)
大手小町
今回待機児童が最も多かったのは、昨年に続き名古屋市で1032人。これに札幌市929人、福岡市893人が続く。待機児童は都市部に集中しているが、保育所の整備が一定程度進んだ首都圏などに比べ、地方都市での増加が目立つ。
(2012年7月9日 読売新聞)
守山区選出の減税日本ナゴヤ市議、富口潤之輔氏は「待機児童ゼロ」は「議員報酬の半減により実現可能です」と選挙公報で訴えました。
完全に誤った公約です。
なぜ、このような誤った政策を主張してしまったのか。
議員報酬半減は実現できたのに待機児童対策は進まない現状で、今後どうしていくのか、市民に説明と釈明をする必要があるはずです。
(まあ、市議失格と思っていますので期待はしませんが)